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脱原発をめざす首長の輪:第七首「市民の命のために原発に頼らない社会を」

by 中川智子(宝塚市長)

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「宝の塚」

2014年宝塚市は、宝塚歌劇100周年、市制60周年、市立手塚治虫記念館20周年のトリプル周年にあたります。この記念の年を盛り上げようと、宝塚駅前や花のみち周辺には「祝・宝塚歌劇100周年」と書かれた目にも鮮やかな赤色のバナーと、「祝・宝塚市制60周年」と書かれ、市の特別観光大使であるかわいい「サファイヤ」が微笑む白色のバナーがお目見えしています。ところで、「宝塚」の地名の由来はご存知でしょうか。その昔、この地にある古墳にお参りした村人に幸福が訪れるようになり、「宝の塚」と呼ばれるようになったことが由来です。現在でもこの宝塚にお越しいただいた方、すべてに幸福が訪れるといいなと思っています。

女性首長

少し脱線しますが、私は2013年4月の選挙で再選を果たすことができた現在2期目の市長ですが、全国に女性の首長はどのくらいいるか、ご存知でしょうか。答えは、わずか23人(2013年4月時点)。自治体の数を1800とするとわずか1%程度です。宝塚市職員の女性管理職の割合を見てみても20%程度。国全体でも法整備が進んでいますが、宝塚市でも「男女共同参画宣言」を行い、「男女共同参画プラン」を定めています。経済政策の面でも女性の社会参加が今後ますます求められています。子育てしながら仕事をつづけられる社会の仕組みももちろん大切です。女性首長として、積極的に情報発信しながら女性の社会参加のリード役も使命も担っていると最近とくに感じています。

他人事ではない距離

さて話をもとに戻しましょう。宝塚市は福井県の原発から80~90キロメートル圏内です。これは他人事ではない距離であることを忘れてはなりません。牡丹の花を通じて交流のある福島県須賀川市は、福島第一原発から60キロメートル離れているものの、福島第一原子力発電所事故以降、農作物が売れなくなり、子どもたちは外で自由に遊べなくなりました。これまでの原発に依存する社会を作ってきたのは、今を生きる私たちです。そのことを再認識し、福島で故郷を奪われた方の辛さや健康被害の深刻さを、重く受け止めなくてはいけません。もっともっと深刻なことは、じつは報道されていないかもしれません。福島から宝塚へ避難されておられる方のお話をお聞きするといまでも涙がこぼれます。他人事ではない、当事者意識を持ち続けることが大切、そう思っています。

宝塚市の再生可能エネルギー

宝塚市では東日本大震災後の2012年4月に新エネルギー推進課を設置しました。市民や事業者の方と協働で安全安心なエネルギーをつくっていくことが目的です。これまでエネルギーのことは国任せで地方自治体にも当事者意識が薄かったと思います。これからは地方分権や地域分散による「地域力」、「市民力」が試されていると感じています。エネルギー分野はその際たるものだと思います。宝塚市ではその点、恵まれている部分があります。ISEP(認定NPO法人環境エネルギー政策研究所)の支援を受けて実施しているセミナーや懇談会には、毎回、熱心な参加者が来られます。長く放射能の危険性を考えてきた市民団体もあります。市が新エネルギー推進課をつくることを知り、「NPO法人新エネルギーをすすめる宝塚の会」も立ち上げられました。その市民発電所第1号(宝塚すみれ発電所)は一昨年12月に市民が縁石やパネルを運んで、手作りの市民発電所を敷設。昨年1月には連系が完了して売電をはじめています。また、第2号はそのノウハウを活用し、規模を大きくして昨年11月から稼働を始めています。こうした熱心な市民たちにも支えられ、一歩一歩ですが、地域主体のエネルギーの導入推進を図っています。

市の揺るぎない姿勢を示す

これまで宝塚市では再生可能エネルギー基金の創設や再生可能エネルギー推進審議会の設置などを行ってきましたが、いま目指しているのは、再生可能エネルギー導入に関する条例制定です。また条例に基づくビジョンなども策定する予定で、市が再生可能エネルギーでまちづくりを行っていくのだという揺るぎない姿勢を示し、そして市民や事業者の方にも同じ姿勢になってもらうこと、さらに大阪や神戸のベッドタウンとして発展し、これまではたんに電力の消費地のひとつであった宝塚市の取り組みが、近隣自治体によい影響を与えることができればと考えています。行政が揺るぎない姿勢を示せば、もともと意識の高いまちですから、市民の力がどんどん湧き出てくると思っていますし、すごく期待もしています。

市民の命を守るのが首長の仕事

私の政策の原点は「命を守る」ことです。それは国会議員時代もつねに持ちつづけてきた信念です。現在の立場でできることや市独自の取り組みはもちろんですが、首長として国務大臣や近隣の市長さんに「原発に依存しない社会を一緒につくっていきましょう」と要望したり、呼びかけたりしてきました。普段すごく親しくしている市長さんでも、この問題だけは避けてしまう、避けようとする首長さんには、残念ながら何人もお会いしました。市民の生命や財産を守ることが仕事であるはずの首長です。これからの世代にこのすばらしい環境を引き継いでいくことを考えなければいけない立場です。子どもたちが外で元気に体を動かし、将来に希望がもてる社会をいまの大人たちが考えないといけません。最初は小さな取り組みでも、地方自治体としてエネルギー施策に真正面から向き合うこと、そのことがスタートであると、私は信じています。

地方自治体が発信源となる

私は市長就任以降、これまで交流のあった自治体に加えて、災害時などに相互に応援を行う自治体間の協定を増やしてきました。平常時から交流を深めることや、いざという時の自治体同士の協力体制「絆」が必要だと感じているからです。宝塚市からは被災地東北の復興のために職員を長期で派遣。彼らは現地で頑張ってくれています。「脱原発をめざす首長会議」にもすでにたくさんの現職首長や首長経験者などが加入されています。これからは、一自治体からだけの考えや要望などで相手にされなかったことを、多くの自治体で共通認識を深めながら、大きな力に変えていく。原発に依存しない社会の実現に向けて、そのような連携した動きが期待されていると思います。市民にいちばん身近な存在である地方自治体が声を上げていくことの重要性は、ますます増していきます。これからも、市民に寄り添う存在である自治体の長として、「命を守る」政策実現のための取り組みを着実に進めていきます。

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【コミュニティパワー国際会議2014 in福島 中川宝塚市長のメッセージ】

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宝塚市HPURL:
http://www.city.takarazuka.hyogo.jp/

宝塚市役所新エネルギー担当FB:
https://www.facebook.com/takarazuka.city.renewable.energy

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関連記事

循環型社会の構築をめざして by 東京都武蔵野市長 邑上 守正

脱原発をめざす首長の輪:

第一首「地産地消エネルギーから生命が優先される国へ」 by 上原公子(脱原発をめざす首長会議事務局長)
第二首「首長の皆様へ」 by 三上 元(脱原発をめざす首長会議世話人、湖西市長)
第三首「原子力から元気力のまちづくり・くにづくりへ」 by 中山泰(京丹後市長)
第四首「自治体からのエネルギー転換」 by 保坂展人(世田谷区長)
第五首「地域での暮らしを問い直し、自分なりの楽しみを創り出そう」 by 曽我逸郎(長野県中川村・村長)
第六首「再生可能エネルギー地域自給を目指す小田原の歩み」 by 加藤 憲一(小田原市長)
第七首「市民の命のために原発に頼らない社会を by 中川智子(宝塚市長)

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行動を起こそう

「脱原発を目指す首長会議」の会員になることを求める請願を

お住まいの自治体の首長に「脱原発をめざす首長会議」の会員になることを求める請願をしましょう。ハガキは全国のパタゴニア直営店でもご用意しています。また、こちらからダウンロードもしていただけます。「脱原発をめざす首長会議」の詳細および現会員については mayors.npfree.jp をご覧ください。

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コメント

市町村トップの意識により随分と未来へのビジョン、施策が違います。
たくさんの裁量権、大きなけん引力をどう使うか、トップが市民側を見ているのかどうか、ほんとの姿がわかりますね

脱原発をめざす首長の輪に参加の首長さんたち、もっともっと増えて欲しいものです
地方が引っ張ってエネルギー政策を変化させていけば、おのずと国も変わらざるを得ないでしょう。今の政権ではこういうやり方で変えていくより方法がないと思います。
宝塚市のとなり、西宮市在住ですが、残念ながらわが市長はまったくそのような姿が見えてきません。顔の向きが国のほうのようです。住民が請願を出すまでもなく、市民を守るためには市長自らが脱原発へシフトをきることが当たり前と私は思うのです。いったい福島原発事故で何を学んだのでしょうか。何も学んでいないのではないでしょうか

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