ジャンボ・ワイルド:聖域と野生地

by ロビン・ダンカン

Top
ジャンボ・バレーのパーセル山脈のパウダーの秘められた奥地には、ちっぽけなコンクリートのスラブがあります。放棄されたジャンボ・グレーシャー・リゾートの基礎です。それは環境認可書が無効になる前にグレーシャー・リゾートが公式にスキー場の建築に着手しようとした最後の試みの名残りです。

地元民が25年間戦いつづけているジャンボ・グレーシャー・リゾート計画はまったく意味をなさないものです。ブリティッシュ・コロンビアにもう一つ別のスキー場は必要なく、しかも野生のパーセル山脈のど真ん中に、またすでにすべての街に独自のスキー場がある地域ではなおさらです。私たちに必要なのは野生地であり、クトゥーナーハ族の神聖な価値への尊敬の念とグリズリーベアが自由に歩き回ることのできる場所なのです。

【 「いつかジャンボ・バレーのような野生地を私の子供たちに見せたいです。彼らが自分の内に野生地を培い、私たちに委ねられた世界を気遣ってくれるように」—リア・エバンス。ブリティッシュ・コロンビアのパーセル山脈ジャンボ峠にて。写真:Garrett Grove 】

続きを読む "ジャンボ・ワイルド:聖域と野生地" »

「その熱意、きちんと伝わっていますか?」:第5回草の根活動家のためのツール会議

by 中西悦子(パタゴニア日本支社 環境社会部)

1集合
1994 年の第1回目の「草の根活動家のためのツール会議」は、パタゴニアが環境保護団体にたんに資金提供する以上の支援を行いたい、またパタゴニアのもつ資産を緊急な環境問題の解決のために活用したいという願望からスタートしました。以来アメリカで、さらに2008年からは日本でも2年ごとに開催しつづけ、これまでに1,000人以上がこの会議に参加してきました。

日本の環境保護団体が直面している財政基盤、市民の意識、法律、メディアなどの状況はアメリカとは異なりますが、その状況に対応する適切なツールが必要なことは同じです。効率よく行動するには、効果的な戦略を構築し、メッセージを明確化し、そのメッセージが伝わるため有効な手段を見つける必要があります。

第5回となる2016年11月、54年ぶりの雪に覆われた山梨県清里高原キープ協会清泉寮に、未来の世代のために空気や水や土を守ろうと全国各地のローカルコミュニティで活動する草の根環境保護団体の皆さんが集まりました。不安、緊張、期待、半信半疑等、さまざまな気持ちを抱えながらも、大切な3泊4日という時間をパタゴニアに預けて、自分たちの取り組む問題の解決や新たな世界を作ることを少しでも前に進めたいという思いでした。

【 写真上:11月25日(金)、未来の世代のために空気、水、そして土を守ろうとする日本の草の根環境保護団体の皆さんと。全写真:パタゴニア日本支社 】

続きを読む "「その熱意、きちんと伝わっていますか?」:第5回草の根活動家のためのツール会議" »

高千穂平

by 島田和彦

1

静粛と躍動へのグライド

"現代は「多様な価値観」という言葉で、本当に価値のあるものが退けられる時代のように思う。価値あるものはそう多くない。やるに値することを探し当て、生を全うすることは、砂漠で針を探すほどに困難なことだ。アルピニズムとは、その数少ない価値あるものなのだ。" ー 新谷暁生著「北の山河抄」

「いやー、この雨のおかげでスパイン並みの雨溝とカチンカチンの硬い雪になっちゃいましたよ。しかも、ボトムはデブリのオンパレードです。どう考えても無理ですね。コンディションが元に戻るためにはあと2、3回はドカ雪が降らないとダメですよ」
僕は光に照らされて壁に映る影を、力なくただ見つづけるだけだった。

【 中千穂平ルンゼ全容。全写真:MATSUO KENJIRO 】

続きを読む "高千穂平" »

北極圏の遊牧民:写真家フロリアン・シュルツとのインタビュー

by ユージニー・フレリックス

Top
昨年12月に発行したカタログで北極圏国立野生生物保護区を特集しました。写真構成としては、北極の海岸平野を神聖な地として捉えるグウィッチン族の暮らしと野生生物の両方を取り上げたいと考えていました。ドイツ人環境保護写真家のフロリアン・シュルツが過去2年間のほとんどをこの保護区でキャンプや撮影をして過ごしていたことを知っていたので、野生生物側の写真家の選択は簡単でした。

私は以前からフロリアンの写真が大好きで、保護活動にたゆまなく献身する彼の姿には深い感銘を受けています。北極圏キャンペーンにおける共同も例外ではありませんでした。何か月にもおよぶEメールや電話でのやり取りのあと、ようやくカタログとキャンペーンで使用する最終写真を決定することができました。本プロジェクトを通じて、フロリアンは寛大に彼の時間を割き、知識を共有してくれました。その彼に数週間前、電話で近況を聞きました。私はベンチュラから、南ドイツにいる彼に、彼の活動についてさらに詳しく話を聞くことができました。

【 写真上:気温の上昇にともなって北極海の氷が急速に消滅しつづけるなか、ホッキョクグマの生息数も減少の一途をたどる。アメリカ地質調査所は、2050年までに3分の2のホッキョクグマが姿を消すと予測する。このホッキョクグマの親子たちは、北極圏国立野生生物保護区の岸辺に憩いの場を見つけることができた。写真: Florian Schulz 】

続きを読む "北極圏の遊牧民:写真家フロリアン・シュルツとのインタビュー" »

ティンシェッド・ベンチャーズ:次世代の責任あるビジネスへの投資

Top
パタゴニアでは、素晴らしい製品を作り、利益を上げ、惑星を保護するという3つの目的は、相いれないものではないと信じています。そこで2013年、私たちは志を同じくし、同じ使命のもとに働く新興企業を援助する投資基金を発足しました。

今日、私たちはこの基金を「ティンシェッド・ベンチャーズ」(前「$20 Million & Change」)と改名しました。この新しい名の下で、私たちはビジネスを手段として環境問題に対応する起業家に投資し、彼らを指導し、結びつけるという、パタゴニアの歴史を継続していきます。

【 イヴォン・シュイナード 写真:Tom Frost / Aurora Photos 】

続きを読む "ティンシェッド・ベンチャーズ:次世代の責任あるビジネスへの投資" »

『Let My People Go Surfing』

by イヴォン・シュイナード

Top
今年はパタゴニアの創業者イヴォン・シュイナード著『Let My People Go Surfing: The Education of a Reluctant Businessman』が刊行10周年を迎え、4割以上の新たな内容と、ベストセラー本『これがすべてを変える』の著者ナオミ・クラインによる新たな前書きを加えた完全改訂版(英語版)がペンギン・ブックスから出版されました。日本語版も2017年春発売予定です。

この改訂版でシュイナードが語るのは、世界中で景気の後退と悪化が進む、環境危機を特徴とした過去10年において、ビジネスおよび環境への彼の視点がどう進化したか、また彼の会社の前例のない成功について、そしてその途上でパタゴニアが直面してきた困難な課題と偉大な好機についてです。下記にて第2版からの序文をお読みいただけます。

【 上:表紙:リンコン・ポイントの冬のスウェル。写真:Steve Bissell、英語版書籍写真:Tim Davis 】

続きを読む " 『Let My People Go Surfing』" »

谷口けいと、カヒルトナ氷河の上で

by 鈴木啓紀

南アルプスでのアイスクライミング 2012年2月
他に誰もいないアラスカの氷河のベースキャンプで、ふたり差し向かいでウィスキーを飲んだことをよく覚えている。その遠征は、氷河を取り巻く壁のなかに1本、美しいラインを引くことはできたものの(それはたしかに素晴らしいクライミングだった)、全体としてみれば失敗で、遠征の最終盤に行われた飲み会での酒はとりわけ苦いものだった。

その遠征を迎えるまで、僕とけいちゃんとのパートナーシップはおおむね完璧だと思っていた。たぶん彼女もそう思っていたと思う。その遠征を控えた冬は、槍ヶ岳周辺の継続登攀、北岳バットレスのワンデイクライミング(厳密には24時間をだいぶオーバーはした)、戸隠P3尾根のワンナイトクライミング、錫杖前衛フェイスや明神岳の壁、といま思い返しても印象的で充実した登山をふたりで積み重ねたシーズンだった。

【 南アルプスでのアイスクライミング 2012年2月。 全写真:鈴木啓紀 】

続きを読む "谷口けいと、カヒルトナ氷河の上で" »

私たちが作る最も美しい製品

by マイキー・シェイファー

Top
パタゴニアでは、最も美しい製品を真にデザインするのは「着る人」だと考えています。裂け目や染みやテープの継ぎ当ては、まさに着る人とギアの絆の証拠です。パタゴニアの「WornWear」修理プログラムは、愛すべきウェアをより長く現役で使いつづけるようにするためのもので、最終的に着用できなくなったパタゴニア製品については簡単にリサイクルできる方法を提供しています。

長年のパタゴニアのアンバサダーであり、写真家でもあるマイキー・シェイファーは、毎年数か月間を南米のパタゴニアで過ごします。最近彼が持ち帰ったWorn Wear ストーリーは、私たちのお気に入りのひとつとなりました。

【 写真上:新品のジャケットを店で買っても、こんなに興奮する奴はいない。とことん着古した自分のジャケットが新たに継ぎ当てされ、再会を果たした瞬間のマーティン・ロペス・アバド。 Mikey Schaefer 】

続きを読む "私たちが作る最も美しい製品" »

野生に向かう保育園

by ニコル・マリー

Top
たくさんのひな鳥がさえずるある春の日のこと、子供たちと一緒にのんびりお散歩をしていると、近くでユキヒメドリの赤ちゃんが餌を求めて鳴いているのが聞こえました。私が耳に手を当てて、よく声を聞こうとすると、子供たちも同じ仕草をし、皆で鳥の声を聞きました。「探しに行こうよ!」と子供たちが騒ぎ立てました。私たちが歩き出そうとすると、ある男の子が声を上げました。「リア先生、ちょっと待って。カラスがいるかどうか確かめなくちゃ」 この男の子はカラスが私たちのあとについて来て、巣にいるユキヒメドリの赤ちゃんを食べてしまうかもしれないことを知っていたのです。私たちはあたりにカラスがいないかどうかを確認してから、歩きはじめました。ほどなく、親鳥から餌をもらっているひな鳥を見つけて皆で眺めていると、その男の子が私の袖を引き、「リア先生、行かなくちゃ。近くにカラスがいるよ」と言いました。

私にとってそれは、園児と自然との真のつながりを示された、喜ばしい瞬間でした。子供たちは人間以外の生き物同士にも多くの複雑な関係があることを理解し、自分たちはそれらを救うことも傷つけることもできるとわかっています。注意深く観察して自然の様式に気づくという、生涯を通して役に立つ技能を学んでいるのです。さらに重要なのは、子供たちが他の生き物を助けたいという思いやりをもっていることです。地球を救いましょうと誰かから言われる前に、彼らにはみずから地球を好きになる機会があるのです。世界が真に必要としているのは、その世界そのものを熱愛してくれる子供たちです。私たちがここでしていることの本質は、子供たちの力添えとなり、そして地球の力添えとなることなのです。

【 「ジャガーがシカをつかまえた」ごっこをして遊ぶ園児たち。青い服を着た男の子が「シカ」になることを選び、複数の「ジャガー」たちがそれを追いかけている。やがて演劇的な趣向たっぷりのなか、シカは捕まり食べられてしまうのだが、シカが「やめて」と言った途端、この遊びは終わりとなった。写真上:Kyle Sparks 】

続きを読む "野生に向かう保育園" »

フェアトレード:最初の一歩

by ローズ・マーカリオ

Top
「フェアトレード・サーティファイド」のシンボルを見たり、コーヒーやチョコレートの売上げの一部が生産者に直接届き、その地元地域に残るという保証について聞いたことがあるかもしれませんが、パタゴニアは、フェアトレードUSAとのパートナーシップのもと、その同じ恩恵を衣類にも提供します。

プログラムはシンプルです。パタゴニアは1点のフェアトレード・サーティファイド製品ごとに賞与(プレミアム)を支払います。この賞与は労働者が管理する口座に直接送られます。これは上から下へのプログラムではなく、民主的に選出された労働者から構成されたフェアトレード委員会が、その用途を決定します。それらは、プライベート・ヘルスケアや託児所などの社会的、経済的、環境的な地域事業のために使用されたり、あるいは労働者が生活賃金に近づけるようボーナスとして支給されます。

【 上:ハイダラマニ社のミヒラ(地球という意味)工場でパタゴニアのベター・セーター・ベストを縫う従業員。この工場はカーボン・ニュートラル、およびLEEDのゴールド認証とフェアトレード認証を受けたパタゴニア衣類の縫製工場。スリランカ、アガラワッタ。写真:Tim Davis 】

続きを読む "フェアトレード:最初の一歩" »

クリーネストライン

アウトドアウェアを製造/販売するパタゴニアの社員、友人そしてお客様のためのブログです。パタゴニアについては patagonia.com/japan をご覧ください。

クリーネストラインとは

RSSフィード

Twitter

© 2013 Patagonia, Inc.