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なぜ私たちは公有地について気遣うべきなのか

by ハンス・コール

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アメリカの公有地がどのように管理されるべきかについての討論は、1900年代初期にテディ・ルーズベルト大統領が既存のシステムを築いたときからつづいています。意見の相違の原因は、しばしばエネルギー/資源開発と野生の場所をレクリエーションと野生生物のために保護することのバランスです。パタゴニアは私たちが最も大切にしてきた野生地を保護するために何十年も戦っています。これらの地域は手付かずのままにしておけば最も高い価値をもたらす、卓越した特徴を抱く場所です。これまでの数え切れない戦いにおいて、私たちは連邦政府の公有地がすべてのアメリカ国民に属し、この国の遺産の核を成す一部であるという基本的な考えのもとに結束する草の根団体と地元の人びとを支援してきました。

【 バーミリオン・クリフ国定記念物は滑らかな砂岩と緩やかな台地の地形 。楽観的に再導入されたこの場所には、カリフォルニアコンドルが巣作り、アメリカ西部屈指の夕焼けを誇る。写真:Bob Wick/Bureau of Land Management 】

実際、アメリカ国民の圧倒的大多数が公有地の保護を支持しています。ハーバード大学ケネディ政治学大学院の2016年の調査によれば、全国で93%以上の回答者が歴史的な場所、公有地、そして国立公園が現在の、そして未来の世代のために保護されることが重要であると述べています。

しかし最近、私たちの公有地を弱体化させようとする考えがふたたび浮上しています。これらの試みが使用するのは、「州の権利」という誤解を招く訴えと、短期的な利益を抽出するために最も特別な場所のいくつかに対する保護を取り除くための欠陥のある経済情報です。パワフルな化石燃料と採掘産業の利害によって支援されたこの体系的かつ上手く組織化された多角的な運動は州レベルにはじまり、現在は政府の最上レベルで支持を受けています。

こういった考えが根付いてしまえば、私たちはアメリカの最も独特かつ不朽の伝統のひとつを失いかねません。これは政治的問題ではなく、子供と孫の世代のためにこの国の偉大な約束を守ることです。アメリカのバランスの取れた管理という伝統を弱体化させる試みは、公有地を保護することを望む一般の感情、公有地における娯楽の膨大な人気とその結果としての巨大な経済、そしてこの他多数の要因とは根本的に足並みがずれたものです。

いま、スポーツマン団体、地元ビジネス、アウトドア全体、全国および草の根環境保護団体、国中の個人といった広範囲にわたる連合が、アメリカの公有地という全国民のための遺産を、現在そして未来にまで保護するために声を轟かせています。

私たち全員が公有地の未来のための役割を担っており、誰もが関与する必要があります。この投稿が公有地についてのいくつかの鍵となる概念と、アメリカ国民全員へ最大の恩恵をもたらすようにそれらを管理することが何を意味するかについて、明確にできることを望みます。

PL_Chart【 イラスト: Field & Stream 】

 

連邦政府の公有地を所有するのは誰なのでしょうか。

それは皆さんです。50州全部にまたがる6億4千万エーカーにおよぶ連邦政府の公有地は、アメリカ人すべてによって所有されています。これらの土地はいくつかの連邦機関のプロの土地管理者により、私たちの直接の恩恵のため、そして未来の世代全部のために管理され、その責任は「スチュワードシップ」として知られています。これは州によって所有される、いつでも最高入札者に売却される土地とは対照的なものです。歴史的に、連邦政府が公有地を州に任せる際、その多くがそれらの土地を私企業や開発者に売って利益を稼ぐことを厭いませんでした。実際、州はこれまでに管理を任されてきた公有地の70%を最高入札者に売却してきました。

 

なぜ私たちは公有地について気遣うべきなのでしょうか。

公有地の所有者として、私たち全員にその未来に対しての利害関係があります。このシステムはアメリカのもっとも独特かつ永続する伝統のひとつです。つまり我が国の遺産が現在の市民にだけではなく、未来の世代すべてに属するという大胆な考えです。私たちの連邦土地体制には、森、湖、河川、砂漠、山、大地、湿地その他が含まれます。

テディ・ルーズベルトは雄弁に次のように語りました:「我々は人類が受け取った最も壮大な遺産の相続人となった。この国がその幸運を授かるにふさわしいことを示したいのであれば、我々は誰しもその役割を果たせばならない」

Giant_sequoia【 ジャイアント・セコイア国定記念物は、世界最大の種でシェラネバダの西側の山麓わずか60マイルにわたって自然に生息する34の古代の森を保護している。現在、これらの壮大な木々はわずか70ほどの森で生存し、カリフォルニアコンドルの巣を支えるのに十分の大きさを有する唯一の既知の木だ。野生の最後のつがいはこの国定記念物付近で発見されている。これらの木の年輪は過去数千年の環境の変化を記録している。写真:Jerome Gorin 】

 

公有地はどのように管理されているのでしょうか。

アメリカ国民を代表して、米国政府は私たちの連邦政府の公有地を管理する責任があり、それにはどの土地が何の目的のために使用されるのかについての決定を下すために一般と科学者からの意見を収集するという、法律によって定められた工程をも含みます。私たちの法律によって、そして20世紀初期以来のアメリカの伝統によって守られているように、スチュワードシップという厳粛な概念は現在のアメリカ国民全員のためだけでなく、未来の世代すべての長期的な恩恵を考慮することを意味します。

たとえば、米国土地管理局(BLM)の公のミッションは「現在そして未来の世代が利用し、楽しめるように公有地の健康、多様性そして生産性を維持する」です。

連邦政府の土地の一部は開発に適しているものもありますが、他の手つかずの、あるいは何百万人ものアメリカ国民に娯楽の場として人気のある脆弱な生態系を有す地域は、強力な保護を受けるべきです。簡潔に言えば、多くの場所は環境劣化の恐れがなければ、最も偉大なる総合的価値を提供します。

Papahanaumokuakea【 ハワイ諸島の北西部に位置するパパハナウモクアケア海洋国定記念物の保護された沿岸水は、すべての国立公園を合わせた地域を超える大きさだ。この地域は7千の海洋生物の生息地であり、その半分はハワイ諸島にのみ存在する。1,400万の海鳥が生息するこの地域はまたポリネシア文化の理解に重要な自然風景を提供する。写真: Ian Shive 】

 

私たちの公有地が現在直面する主要な脅威にはどのようなのもがあるのでしょうか。

抽出産業による公有地の保護を廃絶するための州レベルの圧力が、近年国家政策の主流になってきています。いくつかの鍵となる懸念は私たちの警戒と行動を要します。

土地譲渡提案:反公有地提唱者はこれらの土地は地元レベルでその用途が決定されることが許容されるべきと主張して、「州の管理に戻されるべき」だと議論します。しかし、州が土地を所有するということは、アメリカ国民によって所有されなくなるということです。私たちの土地を公共の手にではなく、少数の裕福な特別利益の手に管理させることは、狩猟や釣りを含む娯楽のための利用を厳しく制限することになり、これはアメリカ国民からの窃盗に値します。また7,600万のアメリカの職を支えている繁栄するアウトドア・レクリエーション経済を著しく破壊することになります。

・真実:この種の連邦土地譲渡は以前に起こっています。州がアメリカ合衆国に加入する際、1億5千600万エーカーの土地が託されてきました。これらの州は今日までにその70%を最高入札者に売却しました。

国定記念物保護の除去:トランプ政権はこれまでに前例のない内務長官による見直しを通して27の国定記念物の保護を取り除く、あるいは減少させると脅かしています。現在、メイン州からハワイ州にまたがるこれらの土地と水は、現在そして未来の世代のために巨大な娯楽と生態系価値を提供しています。国定記念物の指定が取り除かれる、境界線が変更される、あるいは保護の削減が起これば、それらは開発に開かれ、永久に変わってしまいます。

・真実:西部の有権者の80%が公有地の国定記念物指定をそのままにしておくことを望んでいます。15%の差で、有権者はベアーズ・イヤーズの国定記念物指定を良いこととみなしています。

土地管理局の土地における石油と天然ガス開発の優先化:化石燃料と採掘産業から政治献金を得ている議員の支持によって増強している現政権は、傷つきやすい公有地を石油/ガスと鉱業賃貸に大幅に解放する準備をしているようです。トランプは公有地管理を担う主要な機関のミッション自体を、化石燃料産業を強調するよう変更しました。しかし公有地における石油とガス開発活動はすでに広範囲におよび、毎年何十億ドルもの収益を政府にもたらしています

・真実:西部の有権者の2分の3以上(68%)が公有地の保護を優先させることを支持しています(これに対してエネルギー生産の優先を支持するのは22%)。

長期にわたって確立された超党派の連邦法の弱体化:1906年の古文化財保護法、1964年の原生地法、1970年の国家環境保護法、1973年の絶滅危惧種保護法、そして1976年の連邦土地政策/管理法などのような、公有地の責任ある管理を体系化/可能とした法律は、大幅な超党派の支持のもとに通過しました。アメリカ合衆国は環境の優先を連邦法により法制化した、世界でも最初の国のひとつです。しかし、履行の欠如、抜け穴、公有地保護の影響についてのあからさまな虚偽により、これらの法律はますます損なわれています。

・真実:アメリカ国民の大多数である90%が絶滅危惧種保護法の保持を支持し、60%以上がエネルギー産業を支えるために野生生物保護、空気および水の保護法を弱体化させることは不当だと考えています。

San_gabriel_mountains【 ロサンゼルスから望めるサンガブリエル山脈はその人目を引く地理と生態系の多様性により、いまも野生で高度文明世界からは遠いように感じられる。山脈はアメリカ先住民、スペイン宣教師、初期の開拓者たちにとっても重要な場所である。何百万人もの人びとが毎年そのトレイル、小川と渓谷を利用する。写真:Taylor Reilly 】

 

公有地の最も一般的な問題は何なのでしょうか。

私たちの公有地は娯楽に大幅に利用されており、アウトドア・レクリエーションの根本的なインフラです。アメリカにおける71%のクライミングと43%のパドリングの場を提供し、また約32万キロのハイキングと20万800キロのマウンテンバイクのトレイルも含みます。

その結果、アウトドア・レクリエーションはアメリカの第4位の産業で、年次8兆870億ドルの消費者支出と(石油/ガス抽出産業の18万職に比較し)760万の職を生み出しています。アメリカ人は電化製品、医薬品、あるいは自動車によりも、アウトドア・レクリエーションにお金を使います。

連邦法が明確に要求しているのは、公有地は複数の用途のために管理されることで、その定義は「公有地およびそのさまざまな資源価値は現在そして未来のアメリカ国民の必要性を最善に満たす組み合わせにて利用されるように管理」することです。それはすなわち、公有地はその特徴に基づいてエネルギー開発、家畜放牧、鉱業、材木生産、野生生物管理、科学研究、文化資源保護、そしてアウトドア・レクリエーションを含むあらゆることのために使用されることを意味します。

明確に述べるなら、公有地における石油およびガス田賃貸と開発は事欠きません。2015年にはそれらの活動はアメリカ政府のために2千300億ドルの歳入をもたらしました。その一方、全公有地のうち、連邦議会によって国立景観保存システムという最高レベルの保護を受けているのはわずか6分の1です。

 

公有地の保護は経済を発展させるのでしょうか。あるいは後退させるのでしょうか。

保護されている公有地はアウトドア経済に8兆870億ドルと760万の職をもたらすだけでなく、その近隣地域の経済を大きく支えています。研究によれば、西部の連邦政府の保護地域に近隣する遠隔地は、一人当たりの国民所得と雇用を含むさまざまな経済の計測方法において、連邦政府の保護地域のない地域に比べて有利であることが示されています。

Basin_and_range【 月面のような景観、ロックアート、アメリカ先住民の遺跡と19世紀の開拓地で知られるベースン・アンド・レンジ国定記念物。ロサンゼルスの約2倍のこの地域は、シェラネバダ山脈からコロラド台地にわたるグレート・ベースン地方で最も手つかずの場所だ。既存の国定記念物はクライミング、ハイキング、サイクリング、キャンピング、ハンティングに加えて、1万3千年の人類の歴史を保護している。写真:Tyler Roemer 】

 

国定記念物とは何でしょうか。

国定記念物にはアメリカの最も象徴的な場所が含まれます。これらは独特かつかけがえのない文化的、生態的、経済的および娯楽価値を有するため、永久的に保護されるべき自然、あるいは人工の場所です。国立公園と同じように、国定記念物は私たちの子供や孫のために保護する価値のある場所のリストの上位に位置し、また近隣地域に膨大な経済的恩恵をもたらし、より高い収入と雇用および人口増加を促進します。

連邦議会の決議を要する国立公園の創設とは異なり、国定記念物は1906年の古文化財保護法により権限を託されたアメリカ大統領によって指定を受け、公共および地元地域の大規模な意見聴取のもとに設立されます。国定記念物はいくつかの連邦機関によって管理され、ときとして共同管理されます。

アメリカの157の国定記念物は何百エーカーから百万エーカーの規模にわたり、その合計が占めるのは、64億エーカーの公有地のごくわずかです。最も人気のある10の国立公園のうち、アーカディア、グランド・キャニオン、ティトン、オリンピック、ザイオンの5つが当初、国定記念物として設立されました。

 

公有地の保護を支持しているのは誰でしょうか。

有権者:西部の全州において、68%の有権者がエネルギー生産(22%)ではなく、公有地の保護をさらに強化することを支持しています。そのうち70%がみずからを環境保護主義者であるとみなしています。

先住民族:多くの公共の景観はアメリカ先住民族にとって神聖な価値を有しています。最近、先住民族あるいはその同盟はベアーズ・イヤーズ国定記念物のような場所の保護キヤンペーンに指導的役割を果たしています。そして重要な自然および文化資源を守り、何千年もそこで暮らしてきたアメリカ先住民族の地域社会に欠かせない伝統的な利用のために土地を解放しておくため、連邦政府との共同による管理を提案しています。

スポーツマン:政党を超えた狩猟者とアングラーの81%がみずからを環境保護主義者とみなし、また90%が選出代表者の支援のために環境保護問題が重要であると答えています。

ビジネス:何百社もの企業が公有地の保護を提唱しています。そのビジネスがアウトドア・レクリエーションに依存し、また保護された野生地は社員に恩恵を提供し、最高の人材を惹きつける求人および社員の保持のためのツールとして有益だからです。

Carrizo_plain【 カリゾ平原国定記念物は壮大な野花の開花で知られ、いまもカリフォルニア州最大の自生の草原である。300年前、この地域は毎春、野花を食むアンテロープとヘラジカの放牧地だった。ロサンゼルスからわずか270キロの場所に位置するこの地域は、訪問者に多岐にわたる野生生物と植物種の経験を提供し、その多くが絶滅が脅かされるか危機に瀕している。写真:Zeiss4Me 】

 

私たちにできることは何でしょうか。

私たちには公有地のために声を響かせる機会があります。

内務省は27の国定記念物の指定を再検討しています。ライアン・ジンキ内務長官になぜ私たちの国定記念物をそっとしておくべきかを知らせてください。

公有地のために声を出す

 

ハンス・コールはパタゴニアのキャンペーン/アドボカシー・ディレクター。

 

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コメント

興味深く読ませていただきました。趣旨賛成。日本語だとわかりづらいところがあるので、原文を読むにはどうすれば?サイトを教えてください。

記事をお読みいただき、ありがとうございました。原文はこちらでお読みいただけます。

https://www.patagonia.com/blog/2017/07/why-should-the-public-care-about-public-lands/

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