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天然染料の試み

by ジョヤナ・ラフリン

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45年前、昔ながらの北米のアウトドアウェアいえば、基本的な色はカーキ、デニムブルー、オリーブグリーンでした。それらの色は単調というだけではなく、その染料は石油をベースにしていました。クラフト・ピンクという色を思い浮かべたとき、バシラリスの花ほど鮮明なクラフト・ピンクはないでしょうし、ベリーズの海岸沖の水ほど明るいガラー・グリーンもありません。あるいはハレアカラの夕焼けにインスピレーションを受けたスポーティ・オレンジも。すべてが変わったのは、パタゴニアが1970年代にラグビー・シャツを発表したときでした。それはビッグウォール登攀に適していただけではなく、イヴォン・シュイナードと仲間がツルツルの花崗岩に開拓したルートと同じように、大胆なストライプの色で染められていました。

今日、パタゴニアは「不必要な悪影響を最小限に抑える」というミッション・ステートメントに忠実に従いながら、自然のなかにある色を使うことを選ぶことで、未知の領域へと突入しています。これは自然のカラーパレットにインスピレーションを求めるというだけではなく、自然の染料を試すことも意味します。

【 インスピレーションは予期せぬ場所からやって来る。たとえば天然染料とスケッチングを交えたパシフィック・コースト・ハイウェイの自転車ツアーなどのように。カリフォルニア州。写真:Colin McCarthy 】

「私たちはミッション・ステートメントをフィルターとして使い、包括的なやり方で、すべての原料の開発、繊維の由来/加工、編み立て/織り、染色/仕上げを調べています」とパタゴニアのシニア原料/リサーチ・イノベーション・マネージャーのサラ・ヘイズは説明します。

Rugby【 1970年のスコットランドへの冬のクライミング旅行で、ロッククライミングに適していると考えたパタゴニアの創業者イヴォン・シュイナードは、正規のラグビー・シャツを購入した。写真:John Russell 】

パタゴニアの新しいクリーン・カラー・コレクションは環境への影響を削減する努力の結果です。「従来の大量の水と化学薬品を使う工程を避けたいと希望するパタゴニアにとって、環境への影響を削減した染料は、現在注目している鍵となる分野です」とヘイズは語ります。世界銀行の推定では、地球の水汚染の20%がテキスタイル加工に由来し、『Chemical & Engineering News』は、テキスタイル産業は毎年世界中で売られる4,000億立法メートルの布地を作るために、漂白剤(塩素)、合成洗剤、溶剤(揮発性有機化合物を放出する石油スピリットからトリクロロエタンなどのオーガニック溶剤まで)と重金属を多量に使用した染料や定着剤を含む、8,000以上の化学薬品を使用していると報告しています。

パタゴニアのスポーツウェア部門のグローバル・シニア・マーケティング・マネージャーであるジュリア・セルツァーは、テキスタイル産業のより明るい未来のためには代替策があるとみています。「パタゴニアでは環境のための過激な革新的会話を、つねに前面に打ち出そうとしています。クリーン・カラーの登場とともに、オーガニックコットンと無害な染色工程を使用したデニム(デニムは汚れたビジネスだから)をさらに押し進めています」と語ります。「2015年秋、パタゴニアは従来の合成インディゴ染色に比べて水の使用量を84%、エネルギー使用を30%削減し、二酸化炭素放出を25%抑えた進歩したデニムを導入しました。

クリーン・カラー・コレクションはパタゴニアの産業を変える試みの次の段階を意味します。「毎シーズン、私たちは環境へのフットプリントを削減するための新しい方法を模索することに取り組んでいます」とヘイズは語ります。「多くの場合、それは簡単な道ではありません」 (でも初期のヨセミテでの登攀、あるいはクライミング用のナッツを作るイヴォン・シュイナードの実験もまた簡単ではありませんでした) 「私たちはこれらの革新を、小さな『直接的な』のコレクションで発表します。なぜならそれらは試みだからです」とセルツァーは説明します。「理想的には、そのあとに、リサイクル・ウールでやったように、それらを製品ラインすべてに適用します」

ヘイズと彼女のチームはクリーン・カラー・コレクションを市場にもたらすための染料を見つけ、テストし、製品化するのにほぼ3年を費やしました。「サラと彼女のチームはパタゴニアの基準を満たす、原油をベースとしない染料を見つけるために多くの時間と研究を重ねました」とセルツァーは言います。この工程は元々、パタゴニアのインターンのハンター・ヘンドリックが、ヘイズとシニア原料マネージャーのコートニー・メリットとともに、天然染料の賛否と、既存のサプライチェーン内、そしてそれを超えた所に存在する商業化の機会の識別を、詳しく研究しはじめたことにはじまりました。次にこのプロジェクトは、特定のサプライチェーンのパートナーとの開発に焦点を当て、素材と染料の組み合わせを選定し、衣類テストサンプルを作りました。そして環境への影響を測定するため、ヘイズとメリットにニットの原料開発者のローラ・トリップと、テストと水準エンジニアのアリ・ラピエアーを加えた通常のチームに移行しました。

クリーン・カラー・コレクションは天然染料と96%再生可能な資源から成るバイオ染料(おもに農業廃棄物)の両方を含みます。「アークロマ社のアースカラーズはアドバンスト・デニムに似た染料プラットフォームです」とヘイズは言い、これらの染料は衣類に付着する方法、そして洗濯によって色落ちし、美しい色の効果を出す方法においては、それに対応する合成の硫化染料クラスのように機能すると付け加えました。

染料自体は古代のテクニックと現代のテクノロジーの混合です。例えばパタゴニアのクリーン・カルミン・ピンクのバラ色はコチニールカイガラムシをもとにしています。コチニールカイガラムシは厳密には羽や足をもつ甲虫ではなく、おもに中南米に生息するウチワサボテンの実を餌とするカイガラムシです。赤色は捕食動物を寄せ付けないカルミン酸をもつ雌の体内から抽出されます。実際、かつて非常に貴重だったこの昆虫は、アステカの皇帝モンテスマによって、特別税として徴収されたといいます。

Pink【 A. ウチワサボテン、B. 熟した実、 C. 花と未熟な果実、D. 成熟した種、F. コチニールカイガラムシ。イラスト:Sean Edgerton 】

Womenウィメンズ・クリーン・カラー・ブロック・ティー(クリーン・カルミン・ピンク)

薬草製品の廃棄物は、クリーン・パルメット・グリーンとクリーン・シトラス・ブラウンの豊かな色の原料となります。パルメットヤシに由来する原料は係留杭や清掃ブラシなどに使われ、その実はサラダに使っても美味です。クリーン・パルメット・グリーン染料はハーブ業界の副産物で、クリーン・シトラス・ブラウンの染料は苦橙皮と呼ばれる漢方薬の残留物を利用します。

クリーン・ポメグラネット・グレーの染料は食品の副産物、具体的にはイランから北インドのヒマラヤに自生するザクロの皮を原料としています。ザクロの皮から生まれる鮮やかな黄茶色は、かつてレザーの染色に使われていました。グレーの染料は食品として生産される果実の副産物から作られています。

緑色の染料を算出する植物は、皮肉にもなかなかないため、パタゴニアは中国のカイコの排泄物を使用しています。その深緑の色素は幼虫が食べつ新鮮なクワの葉に由来し、クリーン・マルベリー・グリーン染料のベースとなっています。

Green【 A. トウグワの枝、B. 雌の実、C. 雄の実、D. 雌花、E. 雄花、F. カイコ。イラスト:Sean Edgerton 】

Menメンズ・クリーン・カラー・ショートスリーブ・シャツ(クリーン・マルベリー・グリーン)

新しい技術には、いずれも多くの学習曲線があります。「包括的なテストと前進的なサプライヤーと仕事をしたにもかかわらず、予期しない問題も起こります」とセルツァーは言います。ヘイズはさらに、ことに天然染料は着色の問題が出ることがあり、合成染料に比べて色あせの仕方が違うと付け加えました。実際、パタゴニアはこの問題のために、コレクションから一色を抜きました。「この一色はオゾン(酸化)に対して予期しない反応を起こすことがわかったため、その問題を緩和する対策を模索しはじめました」とセルツァーは語ります。

クリーン・カラー・コレクションの衣類のお手入れは簡単です。常温水で手洗いコースを選び、同系色と一緒にマイルドな洗剤で洗い、低温でアイロンがけします。漂白とドライクリーニングは避けてください。天然染料は時間とともに、あるいは直射日光により、ゆるやかに色あせすることをご承知ください。

天然染料の使用に加えて、クリーン・カラー・コレクション製品はすべてオーガニックコットン製、またはオーガニックコットンと化繊の混紡です。さらにメンズ・クリーン・カラー・ジャケットとパンツ、メンズおよびウィメンズ・クリーン・カラー・ショーツはフェアトレード・サーティファイド工場にて縫製されています。

パタゴニアは将来も天然染料を使いつづけるのでしょうか。その答えはイエスです。「私たちは水の汚染源として最悪のもののひとつである合成染料の代替策の探求を止めることはありません」とセルツァーは語ります。パタゴニアが一貫して新しい技術を吟味しており、すでに次世代の染料を積極的に開発していると、ヘイズも付け加えます。パタゴニアのゴールは他社もこれに倣うことを奨励すること。「アパレル産業をより持続可能なものにする新しい方法を探るため、他のブランドの多くもますますこの試みに参加してくれることを期待しています」

本投稿はパタゴニアの依頼によるものです。クリーン・カラー・コレクションの全製品はpatagonia.jpをご覧ください。

ジョヤナ・ラフリンはグリーン・ビルディング、建築、デザイン、ヘルシーライフスタイルおよび天然の製品について執筆するフリーランス・ライター兼エディター。ジョヤナは裏庭であるワシントン州オリンピック熱帯雨林の麓にあるオリンピック半島でハイキングとバイキングを楽しむ。

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