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パリ・プロジェクト:国連気候変動会議の第1週を振り返る

イーサン・スチュワート  /  2016年2月1日  /  読み終えるまで9分  /  アクティビズム

会議中は警備上の懸念から公衆の集まりは中止されたが、アーティストたちのコミュニティが多くの人に声をもたらすクリエイティブな方法を創出。アーティスト兼研究者のヤン・トマによるディスプレイ #HumanEnergy Photo: Kodiak Greenwood

昨年11月のほぼ1か月、全世界がパリに注目していた。まず、感謝祭のわずか2週間前に起きた平和を打ち砕く純然たる野蛮行為が、僕ら全員の心の中心に光の都を照らし出した。そしてまだその傷が生々しく世界中の人びとを恐怖に陥れるなか、近代において最大ともいえる環境のための集会が開かれた。この地球において記録上最も温暖な2015年(そしてそれは同じ栄誉を獲得した2014年のわずか1年後)が終わりを告げようとしていた。好むと好まざるにかかわらず、この惑星は変化し、世界中から194か国がそのために何かを試みようとパリに集った。

公式には、このイベントは「国連気候変動会議」、頭字語の好きな人には「COP21」として知られる。それはパリの北すぐにあるル・ブルジェ・コンベンション・センターで2015年11月30日、月曜日にはじまった。満場のサッカーの試合でテロリストが爆弾をしかけたスタット・ド・フランスから地下鉄でたった2駅の場所だ。目的は、世界の二酸化炭素排出量を積極的に減らすため法的拘束力のある国際協定を構築し、それによって2100年までに世界の気温上昇を摂氏2度までに抑えること。つまり僕らがずっと親しんできた自然世界を救う法律を制定する試みだ。

その試みはこれまでにない数の世界中のリーダーがル・ブルジェに集い、大小150以上の国々の大統領や首相がこの過程に誓約し、この2週間の会議のはじめにパワフルな団結力を示すことで封を切った。COP21では事務局長クリスティアーナ・フィゲレスが月曜日にリーダーたちに向けた冒頭の挨拶で、「これほど重大な責任がこれほど少数の手中にあったことはありません。世界は皆さんに期待しています。世界が皆さんを頼りにしているのです」と語った。

僕は写真家のコディアック・グリーンウッドとともに、会議がはじまる1日前からここにいた。この旅について心配や懸念がなかったわけではない。新生児の父親であり現実的な世界市民として、11月13日の傷心と恐怖のあとにパリへ旅することに不安がかなったといえば嘘になる。しかしジャーナリズムは僕らの仕事であり、とくに新生児の娘のおかげで未来が新しく、より感動的に照らし出されるなか、これは僕が絶対に逃すことのできない、そして逃したくない歴史的瞬間だ。僕は偉大なるアウトドアを熱愛する人間で、これらの会議は僕の小さな娘ソイヤーが確実にシェラネバダ山脈の奥深くでパウダーの崇高な抱擁に包まれ、地元の南カリフォルニアの海岸で魂を掻き立てるような柔らかな季節雨にキスされながら成長することができる、最後にして最大のチャンスかもしれない。ときには、何かを目撃することだけで心が癒されることもある。しかし、この官僚のロディオが終わるころに何を目撃するのかは、まだまるっきり宙に浮いたままだ。

パリ・プロジェクト:国連気候変動会議の第1週を振り返る

パリのすぐ北で開かれた 気候会議に到着したときの光景。Photo: Kodiak Greenwood

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会議と交渉のすべてが行われるル・ブルジェ・センター内。Photo: Kodiak Greenwood

その過程

それでCOP21とは何なのか? それは気候変動への取り組みを専門とする21回目の年次国連メンバーの締結国会議だ。京都議定書(最後の偉大かつ巨大な複数国による環境合意)の満了後、それをより強固かつ野心的なもので置き換えることが目標だ。その努力は過去6年、勝利と、そのような協定がどのようなものなのか、アメリカや中国のような大国やインドのような発展途上国、マーシャル諸島やモルジブ、バングラデッシュなどの小国、北極圏に暮らすほぼすべての人などにとって何を意味するかについての言い争いといった敗北を経験してきた。僕らの生涯における地球のために最も重要な協定の条件について、これほど異なる利害が格闘するなかで妥協策を見つけるというプロセスは冗談のように骨の折れる仕事だが、それこそがCOPが目指すこと。

そして、ここパリでは、「パリ協定」といわれる草案が会議の終了する12月11日までに各国の交渉チームによって煮詰められ、全員に締結される状態まで合理的かつ比較的シンプルな草案にすることが目標だ。とりわけ草案は各国の明らかな二酸化炭素排出削減目標を識別し、増々悪化する気候変動のカオスを経験する恵まれない国々の必要性を満たすための資金繰りを定義することだ。

これを書いている会議中盤の週末の日曜日の時点で、驚くべきことに、そのゴールに向けて真の前進が見られている。草案書類(現時点では各国の欲するすべてが含まれている)は過去5日間で縮小を見せており、それは前進の分かりやすい証拠である。より端的にいえば、各国間および緩やかに組織された同盟によって熾烈に闘われた部分が良い方向に向かっているということだ。言うまでもなくなされるべき仕事はまだたくさん残されているが、僕のような楽観主義者にとっては、すでに並外れた量の仕事が達成されている。前進している……

パリ・プロジェクト:国連気候変動会議の第1週を振り返る

近代世界の歴史上これほど多くのリーダーたちがひとつ屋根のもとに集ったことはない。あるいは、事務局長クリスティアーナ・フィゲレスの冒頭の挨拶を借りれば、「これほど重大な責任がこれほど少数の手中にあったことはありません。世界は皆さんに期待しています。世界が皆さんを頼りにしているのです」 Photo: Kodiak Greenwood

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「家族肖像画」を楽しむオバマ大統領。裏舞台への出入りが許されたジャーナリストはわずか20人で、僕らはそのなかにいた。Photo: Kodiak Greenwood

ビル・マッキベンと〈350.org〉一団の励みとなるパワー

ここパリで起きていることは、決して紺のスーツに身をまとった官僚に制限されてはいない。事実は、それとはほど遠い。これは環境運動の「バーニングマン」のようなものだ。文字どおり何千もの非営利団体、科学者、アクティビスト、投機家、再生可能エネルギー関係者たちがここに来て、「公式オブザーバー」として監視役を務め、遠くからロビー活動をしたり、街中で行われているイベントで地球にフォーカスしたネットワークのコーラスに声を足したりしている。

しばしばこうした前出の人びとのなかから、最もインスピレーションをもたらし、実世界に根ざした瞬間が出現する。今週、〈350.org〉がまさにそんな機会をもたらした。「負の投資」の取り組みにおける最新のニュースを発表した瞬間だ。それは一般および民間企業と組織に石油、石炭、ガス産業への長期投資を廃止させるための運動だが、パートナー団体であるDivest/Investと仕事に取り組みながら、現時点で、おもに学生主導の大義が34兆ドルの投資資産を有す500以上の企業が自社のポートフォリオから全面的または部分的に化石燃料産業投資を撤退させることの支持を得たのだ。

人びとが石油や石炭へ反対することについての科学的および道徳的な理解や信条をつねに抱いているわけではないが、この経済的影響は最も敬虔な気候変動否定論者ですら注目せざるをえないニュースだ。それが示しているのは、明らかな「グリーン」指向者のみが負の投資運動に参加しているのではない。カリフォルニア州の年金基金、オスロとメルボルン市、ロンドンスクール・オブ・エコノミクス、そしてヨーロッパ最大の保険会社アリアンツなど、その名は着実に増えている(わずか14か月前、〈350.org〉と仲間は181の企業/組織と5,000万ドルの誓約を取り付けていた)。〈350.org〉の創始者ビル・マッキベンは「気候運動はいまやどんな勢力の前にも継続していけるだけの強靭さと強固さを備えている」と述べた。「私たちは負の投資と数々の最前線で継続している取り組みにより化石燃料産業をシャットダウンする過程にある」

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メディアの質問に答える〈350.org〉の創始者ビル・マッキベン。Photo: Kodiak Greenwood

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負の投資運動はおもに学生主導の大義だ。Photo: Kodiak Greenwood

テロ直後のアクティビズム

先月のテロ行為を受けて、フランス政府はCOP21の開催中すべての公衆の集まりを禁止する方向に動いた。あまりにも危険すぎるというのが理由で、気候正義の運動家もそれを否定できなかった。そうはいっても、2週間の会議は交渉終了日に予定されている「史上最大の環境行進」とうたわれるイベントを含む、多数の大規模行動の機会だ。行政命令はこのような国際会議の期間中に重要なバランスを提供する人びとの声を黙らせてしまう脅威となる。

幸いなことに、直前にアーティストたちのコミュニティがこの状況にクリエイティブな解決策をもたらし、数多くの人びとの気持ちに声を与えつづけた。会議がはじまる前日、比較的小規模な行動が催涙ガス噴射と2百人ほどの拘留へとつながったあとはアートによる抗議がつづけられ、ルーブル美術館と国民議会などの象徴的なビルの前面に掲げられた際立った映写装置から、パンテオンの前に時計のパターンに配置されたグリーンランドからの水の巨大な氷、そして街頭のシンプルかつパワルフなポスターによるキャンペーンまで、これらの努力は現行の法律が許す範囲内で現実を直視させることと同時にインスピレーションを鼓舞していた。

パリ・プロジェクト:国連気候変動会議の第1週を振り返る

「スタンディング・マーチ」はフランスの街頭アーティストJRとアメリカの映画制作者ダーレン・アロノフスキーによる映写アート。Photo: Kodiak Greenwood

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「アイス・ウォッチ・パリ」はオランダのアーティストのオラファー・エリアソンと地質学者のミニック・ローシングによる共同制作。12の分離氷山がグリーンランドのヌーク・フィヨルドの海水からダイバーによって収穫され、パンテオンの前に時計のパターンに並べられた。そのメッセージはシンプルで、「時間切れは間近」というもの。Photo: Kodiak Greenwood

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インドネシアはブラジルをしのぎ、世界最大の農地化のための森林破壊国となった。最近の(島の森林を伐採することを目的とした意図的な)火災で、アメリカを上回る温室効果ガスを排出した。Photo: Kodiak Greenwood

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大規模な映写装置からシンプルな街頭アートまで、アクティビストたちはメッセージを伝える方法をいつでも発見する。Photo: Kodiak Greenwood

経験を共有してくれたイーサンとコディアックに感謝します。近々投稿予定のパート2をお楽しみに。パリ・プロジェクトについての詳細は『Santa Barbara Independent』紙をご覧ください。

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Photo: Robin Howson

イーサン・スチュワート(左)は『Santa Barbara Independent』紙の総合監修者でThe Cleanest Lineのゲスト投稿者。ケープコッドで生まれ育ち、1998年のエルニーニョの冬以来サンタバーバラを第二の故郷と呼ぶ。インスタグラムは@thelast3daysで。

コディアック・グリーンウッド(右)はカリフォルニア州ビッグサー出身の写真家。インスタグラムは@kodiakgreenwoodで。

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