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私たちのDWR加工の問題点【アップデート】

パタゴニア  /  2015年9月24日  /  読み終えるまで7分  /  デザイン, フットプリント

アップデート:この投稿の大部分は2015年3月18日に最初に投稿されました。私たちのサプライチェーンにおける化学薬品の安全性を改善するパタゴニアの取り組みについて、つい最近の情報とともにアップデートしたのが本日の投稿です。

パタゴニアは、他の高品質アウトドア・アウターウェア・メーカー同様、長年にわたり耐久性撥水(DWR)加工を採用してきました。これはレインウェアの表面についた水分を水滴にして分散させる化学構造(下記参照)で、表面の飽和状態を防ぐために防水性ジャケットにも不可欠な加工です。表面を濡れたまま放置すると、実際に水分が浸透していなくてもべったりと湿った肌触りになってしまいます。パタゴニアが基準として採用してきた長鎖(C-8)フッ化炭素ベースのDWR加工は、非常に効率が高く、並外れた耐久性を誇ります。しかし残念ながら、その副生成物は有毒で難分解性のため、環境中から消滅しません。したがって完璧な性能にも関わらず、容認できないものです。世界各国の政府は化学薬品会社にC8 DWRの製造中止を要請し、高品質アウトドア・アウターウェア・メーカーはDWRに匹敵する性能を備えた代案を模索しています。

この10年間、パタゴニアはフッ化炭素不含有のあらゆる代案を入念に調査、そしてテストしてきました。ワックスやシリコンをはじめとする数々の撥水性加工は、生地の表面張力を下げ、水分を水滴として表面にとどめて飽和を防ぎますが、泥や油で汚れやすく、有効性が急速に失われてウェアの効果的な寿命が縮められてしまいます。

ウェアの寿命が短くなるのはとくに心配されることです。飽和状態を防がなくなったレインシェルは、ウェアが摩耗するずっと前に、機能上ウインドシェルとなってしまいます。そのためウェアの買い替えの回数が増え、それ自体が環境問題の要因となります。新たなウェアの購入はエネルギー消費と水使用および廃棄物と温室効果ガスの排出という点で環境に悪影響を及ぼします。したがってウェアの寿命を犠牲にするという選択は許されません。

パタゴニアではC8フッ化炭素ベースの加工から短鎖(C6)の加工に切り替えるという一時的な対策を講じています。この方法は十分ではないものの、現段階で最善の選択肢であり、他のメーカーにも採用されています。C6も同じくフッ化炭素ベースですが、副生成物がより早く環境中で分解され、ヒトや野生生物や魚への長期的な潜在的毒性も少なくなります。

現在パタゴニアの大半のアウターウェアにC6 DWRが施されています。C8からの推移はこの秋ほぼ完了し、2016年春シーズンの製品にはC8はいっさい使用されません。

そして同時に、私たちは環境への影響を抑えながら優れた機能性を発揮するDWR加工の調査・開発に積極的に取り組みつづけています。私たちはこれまでに約12種類のフッ化炭素不含有の衣類加工をテストし、この目標達成に近づいていることを実感しています。これらのイニシアチブについて進展があり次第お知らせしますが、まだ特定できていない今後の道について約束することはためらわれます。この問題の複雑さを考えると、それはたんに公平ではないからです。

化学に投資する

この試みを後押しすべく、パタゴニアは「20 Million & Change」というベンチャーファンドを介し、惑星を援助するアウトドア衣類のための化学を開発するスイスの会社「Beyond Suraface Technologies」に戦略的投資を行いました。

「Beyond Suraface Technologies」の使命はパタゴニアのそれと合致しています。彼らは大手の化学薬品会社でのキャリアを捨てたのち、機能性と製品の寿命に妥協することなく自然の原材料に基づく布地加工が可能だという前提のもと、ビジネスを経営しています。私たちはこのパートナーが機能性と耐久性に妥協することなく、フッ化炭素不含有の安全な化学薬品を使用した防水性ウェアを作る新たな方法を考案する可能性に、大きな期待を抱いています。

パタゴニアの投資についての詳細はこちら、またはウェブサイトをご覧ください。

私たちは通常の領域外での解決策の可能性に投資することに加えて、既存の産業においても同様にフッ化炭素不含有の代案を熱心に探しています。

概して、パタゴニアは素材に含まれる化学薬品が安全上の危険をお客様にもたらさないようにするため、業界きっての厳しい要件を定めています。同業他社と協力して情報を共有および交換し、業界全体で製品の性能や品質に妥協するのではなく、強化しながら、一刻も早い改善の実現を目指しています。

サプライチェーン全体で化学薬品の害を削減する

パタゴニアは長年にわたって、パタゴニア製品の環境影響管理の先頭に立ってきました。1990年代はじめ、私たちは素材のサプライチェーンがパタゴニアの環境フットプリントの最大要因であるとみなし、環境調査を委任しました。その結果、素材の製造は大量の水、エネルギー、化学薬品を必要とするという、現在ではアウトドア業界の常識となっている事実が明らかになりました。そこで、バージン・ポリエステルの代わりにリサイクル・ポリエステル、従来のコットンに代わりオーガニックコットンなど、フットプリントを軽減する代替素材への切替えおよび開発をしました。またこれまで通りビジネスへのよりクリーンなアプローチを探すプロセスに従事しました。

2000年代には、パタゴニア製品に使う素材や付属品に含まれる化学薬品の調査をさらに掘り下げました。ブルーサイン・テクノロジーズと連携し、パタゴニア製品が環境、工場労働者、消費者に確実に安全であるようにと、化学薬品や染料や仕上げ加工の管理に協力してもらいました。

2007年、パタゴニアはブルーサイン・システム・パートナーズに正式加盟する最初のブランドとなりました。現在では300以上のブランド、製造業者、化学薬品サプライヤーがブルーサインに加盟し、その多くがパタゴニアの現在のサプライチェーンの一部であることを誇りに思います。これらの企業は資源を節約し、化学薬品の影響を最小限に抑えることによって環境パフォーマンスの向上を継続するという、パタゴニアの忠誠を分かち合っています。

2015年には、パタゴニアが使用するすべての素材がブルーサイン認証済みとなることを望んでいましたが、この目標は残念ながらまだ達成できていません。現時点では素材の年間使用量の56%がブルーサイン認証済みです。進展状況を分析したところ、私たちの当初の試みは問題の一部にしか向けられていなかったことに気づきました。サプライチェーン全体で資源を節約すると同時に、化学薬品の使用を制限するすべての試みを網羅する、より包括的なアプローチが必要だったのです。

これを受けて、パタゴニアはサプライチェーンの環境管理システムと化学薬品管理の改善を目指すための新たな厳しい目標を定めて達成するため、「化学的および環境的影響プログラム(CEI

P)」を制定しました。これは水とエネルギーの使用量や温室効果ガス/排気ガスの排出量と廃棄物を削減し、また最も厳しい国際消費者製品と環境規制を順守するものです。ブルーサイン・システムがCEIPの重要な構成要素でありつづけると同時に、〈サスティナブル・アパレル・コーリション〉の「ヒグ・インデックス」と〈アウトドア産業協会〉の「化学薬品管理モジュール」という新たなツールも加わっています。

私たちはこの協調的かつ多角的なアプローチがDWRを含むすべての化学薬品の管理に役立ち、そして何よりも、安全で効率的な代案へのより早い移行に有効であると確信しています。

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