ユーレックス:愛の物語
ハブ・ハバードはパタゴニア・サーフのウェットスーツ開発部のマネージャー。グアユールからウェットスーツを作ることについて、クリス・マロイが彼にインタビューしました。
クリス:はじめてグアユールについて知ったのはいつで、それからパタゴニアが初のユーレックスのスーツを作るまでにどのくらいかかりましたか?
ハブ:たしか2007年ごろだったと思います。(元サーフ部の)ジョーイ・サントリーと古いウェットスーツを新しい製品にリパーパスするプロジェクトに取り組んでいるときでした。サンディエゴで開催されたある博覧会から帰ってきた彼がすぐにユーレックスという新しい会社があることを教えてくれて、創業者のジェフ・マーティンを紹介してくれました。それから間もなくミーティングをもち、グアユール・ラバーでウェットスーツを作る可能性について探りはじめたのです。これはユーレックスの社員にとってはまったく新しい分野で、彼らはこの実現のために最適なパートナーを探していたところでした。僕はこれを達成するために、(もうひとつの雇用先で)舞台裏で細かい段取りをいろいろやっていましたが誰も開発資金を捻出したがらず、ボツになりました。しかしパタゴニアは躊躇しませんでした。これがパタゴニアが真に革新に投資し、現状維持を打破するという(数多くの)例のひとつです。
数年後、サーフィンをしているときにイヴォン・シュイナードとばったり出会いました。自己紹介をしてからユーレックスに共通の知り合いがいること告げると、彼はクスっと笑って、「ああ、それはうまく行かないだろうな」と言いました。彼が僕をからかっていたのかどうかはたしかではありませんが、8か月後に彼のもとで仕事をし、まさに最初のユーレックスのスーツを使うことになったのは本当に皮肉です。素材の開発はすべてテツヤとジェイソンのチームの仕事で、実際に関わってはいませんが、とくにそのはじまりを知っていた僕が最初に着るチャンスに恵まれたのはとてもエキサイティングなことでした。ユーレックスのメンバーはずっと連絡をくれていたので、いまパタゴニアで彼らとふたたび一緒に仕事をできるようになったのはうれしいですね。両社ともインスピレーションにあふれていますから。
クリス:ユーレックス・バイオラバーはどのように機能するのですか?グアユール製のウェットスーツの未来とはどのようなものでしょう?
ハブ:クロロプレン・ラバー(ネオプレン)で仕事をするのと変わりません。パフォーマンス面では違いは分かりません。開発のベンチマークははじめから、既存の最も伸縮性のあるネオプレンのパフォーマンスを満たすか、あるいはそれを上回るというものでした。さもなければ環境メリットがどうであったとしても、誰もそんなウェットスーツは欲しがらないので、やっても無駄です。僕は他のブランドもユーレックスのバイオラバーを採用してくれるだろうと楽観視しています。競争力のある値段にするためには結集した努力が必要です。そこから石油ベースのネオプレンからの真の移行がはじまるのです。
クリス:パタゴニアのウェットスーツ開発における全般的な目標は何でしょう?
ハブ:いつも念頭に置いていることのひとつは、これを友達に勧めるかどうかです。その答が100%「イエス」でなければ無駄です。ラモンやキースやフレッチャー、あるいは同僚や子供の先生にスーツを渡すとき、彼らがよろこんでくれることをひそかに願うのではなく、自信をもっていたいのです。誰かがパタゴニアのウェットスーツでサーフィンしているのを見ると意見を聞きたくなります。何がよくて何がよくないか。開発や修理などすべてを社内でやっているので、何かが機能していないときはすぐに分かるのです。
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