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すべての山はいまだ見ぬ山に通ず

by 狩野恭一(パタゴニア・スキー・アンバサダー)

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ここは国道393号の脇にある、小さな山の斜面。2月の北海道にしてはめずらしく4日間も晴天がつづき、最高気温もプラス7℃の予報がでていた。先シーズン利尻を登った島田(パタゴニア日本支社)、松尾(カメラマン)と僕の3人で新しい山への挑戦を考えていたが、日程とパウダーのタイミングがずれて、行き場所に悩まされていた。プラス気温に晴れが4日間もつづくと、いい雪は北海道でも北向きの限られた斜面にしかなくなり、僕らの望む「むずかしいけど楽しい登りを含んでぎりぎり滑れる」斜面は少ない。そんな要望を満たしてくれるところはないかと地図を見ながら考えているとき、遠くに行かなくてもすぐそばにあるじゃないかと思いついたのが、僕が働くBCガイズのロッジ裏山だった。この裏山は短いながらもクーロアールあり、クリフありピローありで、とてもわくわくさせてくれる。そこでねらうはいちばん斜度のある光の当たらない斜面。どうせならと欲張り、手前のクーロアールを登って目的の斜面を滑り、そしてクリフバンドのあいだを登ってから最初のクーロアールを滑って戻る。日帰り日程ということで利尻メンバーだった塩崎(スキーパトロール)も新たに加わり、計画を立て直した。

【全写真:松尾憲二郎】

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私たちがNo Nukes Go Renewableと言う理由:地域分散のネットワークが日本の経済を盛り上げる

6a0134876739c6970c01a51186efd1970c-250wiby 金子勝(経済学者/慶應義塾大学経済学部教授)  

原発は火力より高い

政府は、福島第一原子力発電所事故の原因も究明されず、事故収拾もままならない状態にもかかわらず、原発を「重要なベースロード電源」とする新エネルギー基本計画を出しました。「ベースロード電源」には「発電(運転)コストが低廉」という意味が含まれていますが、本当に原発は安いのでしょうか。

政府や原発推進派は現在の燃料費が3兆円ほど増加していることを原発再稼働の理由としてあげています。しかし、これはシミュレーションに基づいて作った数字で、福島原発事故後に進んだ節電分が入っていません。また東京電力の再建計画において、年間6500億円の燃料費の節約が出されているように、割高なガスを購入しています。

一方原発への新規制基準に基づく追加安全投資は、安全審査申請中の17基だけで約1.6~1.7兆円に及んでいます。さらに、賠償・除染費用が10兆円もあります。燃料費の増加とは比べものにならないくらい大きいのです。政府も原発依存を出来るだけ下げるとしていますが、原発は40年で減価償却し、廃炉の引当金を積むことになっているので、もし途中で廃炉にすると、原子力発電施設と核燃料の残存簿価、廃炉引当金の不足が生じ、特別損失として計上しなければなりません。現時点で原発50基をすべて廃炉にすると、少なくとも4.4兆円かかり、電力会社の経営が成り立たなくなります。だから、電力会社は安全軽視で原発を再稼働させたくなるのです。

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『シンプル・フライフィッシング』訳者あとがき

by 東知憲

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カリフォルニアのハンボルト郡とメンドシーノ郡の海岸部はロストコースト(失われた海岸)と呼ばれる。100年ちかく前、あまりの交通の便の悪さによって人がほとんど住まなくなったからだ。カリフォルニアを縦断して人を運ぶハイウェイ1号線はイール川にぶつかって突然終わる。海岸線に出ようと思うなら、101号から別れるアップダウンのダートロードを強引にゆくしかない。打ち寄せる波は大きく、人はいない。

もう中年の域にきっちりと入ったフライフィッシャーの私が、決して会うことのできなかった師匠を3人選ぶとするなら、ホテリエのシャルル・リッツ、キャスティング・チャンプだったジョン・タランティーノ、そして伝説の釣り人ビル・シャッドとなる。

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私たちがNo Nukes Go Renewableと言う理由:いまを見つめ、未来を選ぶ

@110x110by 武藤類子(福島県民)

「・・・私たちは、なにげなく差し込むコンセントのむこう側の世界を、想像しなければなりません。便利さや発展が、差別と犠牲の上に成り立っている事に思いをはせなければなりません。原発はその向こうにあるのです。人類は、地球に生きるただ一種類の生き物にすぎません。自らの種族の未来を奪う生き物がほかにいるでしょうか。・・・」

―「さようなら原発5万人集会」での武藤類子氏スピーチより

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いまを見つめる

東京電力福島第一原子力発電所事故から三年。しかし事故の収束は遠く、放射性物質は海へ空へ、大量に漏れ続けています。そんな中で、国や自治体は除染と帰還を進めており、避難区域の再編が行われました。

帰還困難区域、5年以上は帰れませんというところに指定された飯館村のある地区では、2013年夏、立ち入り禁止のゲート付近の地面が毎時103マイクロシーベルトと線量の高い状態でした。その隣り浪江町の、5年以内には除染をして帰りましょうという居住制限のある家は、地震後、家を片づけられないうちに避難を強いられました。そのままずっと帰れずに片づけがされることのなく、ベッドにはねずみのおしっこのしみがあり、においが充満しています。他の家でも豚がソファーで子どもを産んでいたり、牛が入った跡があったり、果たして5年経って帰れるのか。原発より20から30キロメートルの間のところにある川内村は、2012年いち早く「帰村宣言」をして、国の直轄の除染が入り、全員帰りましょうと宣言をしました。けれども地域を除染した後の放射性廃棄物がつめこまれた袋が何段にも積まれている景色が広がります。

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3度目のパタゴニアで学んだこと

by 横山 勝丘 (パタゴニア・アルパインクライミング・アンバサダー)

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パタゴニアに来てからの2か月間で一度も目にしたことがないほどの透き通った青空が広がっている。その空に向かって延びる一本のクラック。リードするマスのハーネスから垂れたバックロープが、この壁の傾斜の強さを物語っている。見た目の美しさとは裏腹に、クラックの内側は粗い結晶に覆われている。そのクラックに手をねじ込み、上を目指す。手を保護するために巻いたテープの上から、結晶が食い込んでくる。手の甲にはあっという間に穴があき、血が滲む。そんな状況にもかかわらず、ぼくたちの口元はゆるみっぱなし。傾斜の強い壁には、一瞬でも休めそうなだけのスタンスさえも見当たらない。リードした仲間が作ったビレイポイントまでたどり着いても、そこは野郎3人がモゾモゾとうごめくのがやっとで、体を休めるなんてもってのほかだ。それなのに、もう目は次のピッチに向けられている。

「なんだ、またお前がリードか。面白そうだな、ちょっとオレに代われ」「いやいや、ジャンボ先生は最終兵器ですから」 そうやって、結局ぼくにはおいしいピッチはまわってこない。いつものパターンだ。まわりを見渡せば、名もなきピークに突き上げる一本のクラックが目に入る。そこを登る自分を想像した瞬間、この場所への再訪が決定的となる。そうやって、これまでいくつもの遠征をこなしてきた。

[ 左から:ジャンボ(横山勝丘)、マス(増本亮)、ユースケ(佐藤裕介)。パタゴニア 写真:横山 勝丘 ]

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Go Renewable -「再生可能エネルギーを活かして」2014:これまでの3年を数字で振り返る

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パタゴニアはエネルギー源としての原子力に対し、「私たち人類が化石燃料やウラン燃料といった再生が不可能で、しかも汚染源となるエネルギーに大きく依存している事実は、私たち自身を深刻な危機に陥れることになる」と考えてきました。そしてそれは2011年3月11日の東日本大震災で、ある意味証明されました。

日本全体がそうした脅威を体験したにもかかわらず、日本政府は2014年2月25日、新たな「エネルギー基本計画」案を決定。原発を昼夜問わず安定して発電する「重要なベースロード電源」と位置づけ、原発の維持・推進方針を明示したのです。福島第一原子力発電所事故の深刻な被害を十分に踏まえず、原発のもつさまざまなリスクや核燃料サイクルの問題点を軽視しているとしか言えません。

0:2013年9月15日以降、国内で稼働している原子力発電所の数(2014年2月現在)

現時点で日本で稼働している原発はありません。また自然エネルギー財団によると、日本における自然エネルギーなどは、2000年からの10年間では発電量に占める割合が0.6%から1.1%へと0.5%ほどの増大にとどまりましたが、3.11以降のわずか2年間で0.5%増加してその割合は1.6%になり、さらに2013年4月から9月までのたった半年間で、暫定的な分析ではありながらも、2.3%に急増大していることが報告されています。

2011年の震災から3年が経った2014年、パタゴニアは「Patagonia Says No Nukes Go Renewable」のメッセージを掲げ、原発から再生可能エネルギーへの転換が必要であることを訴えます。そしてこれまでの3年を振り返り、数字で明確に認識して、これからの3年の私たちの行動に活かします。

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Go Renewable -「再生可能エネルギーを活かして」2014:Patagonia says No Nukes Go Renewable

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この3月パタゴニアがGo Renewableの取り組みをスタートさせてから3年を迎えるにあたり、私たちは再生可能エネルギーを活かすためのさまざまな取り組みに対する皆様のご協力に心から感謝申し上げます。

パタゴニアはエネルギー源としての原子力に対し、「私たち人類が化石燃料やウラン燃料といった再生が不可能で、しかも汚染源となるエネルギーに大きく依存している事実は、私たち自身を深刻な危機に陥れることになる」と考えてきました。そしてそれは2011年3月11日の東日本大震災で、ある意味証明されました。

【「Patagonia says No Nukes Go Renewable」を表明するパタゴニア日本支社。鎌倉市 写真: Daisuke Hayashi】

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部屋を結ぶもの:イヴォン・シュイナードをフィーチャーした2014年度アメリカン・アルパイン・クラブの年次募金興行

by ケリー・コーデス

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「何てこった」 僕は独りつぶやいた。「ネクタイがたくさんいる」 そして優雅なドレスも…。

僕は最近、アメリカン・アルパイン・クラブが毎年主催する慈善夕食会に参加した。でも僕のような貧乏人が借りもののネクタイを締めて、上等な募金集めのイベントのVIP席で何をしていたのかって思うだろ。

いや、たまたまコネのある人を知っている人を知っていただけ…。種明かしをすると、このイベントのタイトル・スポンサーはパタゴニアで、イヴォン・シュイナードが基調講演をし、夕食会が開かれたのはエステス・パークにある僕のキャビンから1時間半のデンバーだったというわけさ。

僕は服の選択に悩んだ。そしてひとりの人間として、ジーンズとTシャツを選択することにした。だって外見なんかはどうでもいいだろう。でも文化的常識というものもあり、その常識がどれだけ馬鹿げたものであったとしても、誰かを侮辱するようなこともしたくはなかった。

[写真上:ウィ・アー・ファミリー…。ケリー・コーデスケイト・ラザフォードスティーブ・ハウスリン・ヒルイヴォン・シュイナードブリッタニー・グリフィスティミー・オニール。写真:Lee Pruitt]

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