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サーフィンにおける体のメンテナンス

by 進士 剛光(パタゴニア・サーフィン・アンバサダー)

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どんなスポーツでも、アスリートになればなるほどスポーツ時の前後のウォーミングアップとクールダウンは必要不可欠で、トップ選手になればなるほどその時間も長くなる。ケガの防止、パフォーマンスの向上と維持、メンタルのコントロールなど、あらゆる面において重要な役割を担う。もちろんトップアスリートにかぎらず、一般的にスポーツを楽しむ人たちにも同じことが言える。普段あまり体を動かさない人がいきなり体を動かすと、またそのスポーツが激しければ激しいほど体に痛い場所がでる。エクササイズやストレッチや体操など、なんでもいい。まず体と対話をする時間を少しだけでももつことに損はないだろう。

ところがサーフィンは、海に着いたらそのまま海に入る。よくても簡単な体操をして入水という人がほとんどだ。真剣にサーフィンに取り組んでいる人でもメンテナンスの重要性を知る人は少ないだろう。「サーフィン=スポーツアスリート」というイメージが少しでも定着するようサーフィンがオリンピック競技に加わり、テレビでひんぱんに放送される……そんな日本の文化に浸透すべきスポーツであると心から思うからこそ、そのアプローチのひとつとして僕はメンテナンス/ケアの必要性を伝えている。

サーフィンは「どこでもすぐできるスポーツ」と言うにはほど遠い。まず海に行かないとできないし、道具も大きくて取りまわしのいいものではないので、移動方法や置き場所も考えなければなない。いざ海についても波待ちや波を追いかける時間で少なくとも半日はかかる。けれども、それ以上の魅力がサーフィンにはあるからこそ、一生涯のスポーツとして愛してやまない人たちがあとを絶たないのは言うまでもない。そんな環境のサーフィンに少しでも体の調子の良さや上達するコツが加われば、さらに楽しくて素晴らしいサーフィンライフを手に入れることができるだろう。サーフィンをつづけてきた僕ならではのメンテナンス方法を少しでも多くの人に実践してもらって海に入ることで、パフォーマンス向上の手助けとして、また海に入る時間のなかなか取れない人にもスキルが維持できるトレーニングに役立てばうれしい。

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さまざまな体形、年齢、環境などが組合わさり、それぞれにケアの方法もちがってくる。メンテナンスのアドバイスとしては、とにかく本人のやりたいこと、状態、もちろんサーフィンそのものを見て判断することがいちばん良いやり方だと思うが、誰にも共通してやってほしいエクササイズのひとつに「スタンドアップの反復練習」がある。直接アドバイスするときはまずこれを薦めている。大人になればなるほど海に入る時間を取るのがむずかしい。海の近くに住んでいたとしても毎日波があるとはかぎらない。サーフィン上達の壁に当たってどんな練習をすればいいのか分からない。そんなときにどこでもできるこの練習法が役立つ。

まず床にまっすぐなラインを描き、サーフボードのストリンガーに見立てる。その上にうつぶせに寝そべり、サーフィンをしているイメージでパドリングをはじめる。リラックスしながら大きくゆっくりとパドリングをすること。パドリングは早く強くやればいいと思われがちだが、それだと手のひらから水が逃げてしまい海のなかでの行動力が大幅に減少してしまう。波はいろんな動きをするので、アゴを少し上げることで、パドリング中の水上からの高さを保ち、視野を広げてコントロールできるようにする。厚い波やほれた波に対応できる状態になってくるといろんな波に乗ることがむずかしくなくなり、少しずつそる波のクオリティもあがってくる。それからサーフィンと同じようにライン上に素早く足が乗るように立ち上がる。足の位置が決まりづらいときやスタンスの気になる上級者にはゆっくり確認のできるいい方法である。これを繰りかえすことで必要最低限の筋肉もつくし、いきなり海へ入っても対応できる体のしなやかさも備わる。そして立ち上がったときの姿勢も重要で、基本的には軽く膝を曲げて腰を落とし、肩の力を抜いてリラックスして手を横に軽く広げ、目線はつい足下に行きがちなのでなるべく遠くを見るように心がける。これが一連の動きである。

このメンテナンスは数あるエクササイズの初歩のひとつにすぎないが、たとえば1時間海に入って乗れる本数が5~10本だけということも少なくないなか、陸で1分行うだけでそれが簡単に補えてしまう。週末にしか海に入れない人でも、毎日空いた時間でこれを行えば毎日海に入っている効果が得られるのだ。そういうイメージで少しでもサーフィンに時間を使ってみるだけで、こんなにも上達が早くなるのか、体の動きがよくなるのかとびっくりするはずだ。

他にも道具を使ったり、いろんな意識をしたりといったメンテナンス方法を教えているが、上級者、初級者に関わらず大切なのはそれが何のために効くのか、自分に合っているのか、あるいはいまの自分に必要なレベルの練習やメンテナンスの方法は何なのかということを理解してもらうこと。子どもたちのレッスンで毎回思うのが、子どもは本当に素直に忠実にこなす。逆に親御さんからは本気で頑張りたい状況のときなど、何をしたらいいのか分からないと相談を受けることがある。学校の授業にも出てこない、教科書もない状況でいい選手は育たないと言う人もいる。たしかにそのとおりで、その部分は未来のサーファーのために、サーフィンのできるいい環境や機会、またサーフィンの素晴らしさを根本から伝えていかなければならないとつくづく思う。自分なりのメンテナンスやサーフィン文化が定着し、さらなる自己サーフィンへの扉を見つけやすくなる手助けができればと思っている

Syoshinnsya

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進士 剛光
JPSAプロサーファー、またトラベルサーファーとして活躍する傍ら、地元の伊豆でサーフィンスクールを開講、サーフィンの楽しさや体のメンテナンスの重要性を伝えている。http://rine.secret.jp/rain/toppupeji.html

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