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パタゴニアの環境助成金プログラム ~助成先から届いたその後のストーリー

パタゴニア  /  2012年5月17日  /  読み終えるまで8分  /  アクティビズム

放射能測定。写真:彩の国資源循環工場と環境を考えるひろば 。

パタゴニアでは環境問題解決の支援として、1985年より現在まで総額4,600万ドル相当の寄付を、1,000以上の環境活動グループに行っています。日本支社でも「環境助成金プログラム」を通じて、日本国内の草の根環境グループを支援しています。

また私たちが関心を持っている環境問題にお客様にもかかわっていただくための機会に、「ボイス・ユア・チョイス」があります。昨年秋に実施した「ボイス・ユア・チョイス Fall 2011」では全国のパタゴニア直営店およびウェブサイトにご訪問いただいたお客様5,668名に投票のご協力をいただき、全国34の団体に総額 5,950,000円の助成金の寄付を行いました。東京・神田ストアでは助成先として、〈彩の国資源循環工場と環境を考えるひろば〉と〈荒川の自然を守る会〉の2団体を選出しました。今回はこの2団体から届いた活動報告と、「ボイス・ユア・チョイス」に参加しての感想をご紹介します。

パタゴニアの環境助成金プログラム ~助成先から届いたその後のストーリー

神田ストアで開催された「ワールドカフェ@助成先のその後」写真:パタゴニア 東京・神田

〈彩の国資源循環工場と環境を考えるひろば〉/加藤晶子氏
2004年よりごみの処理時に周辺に与える環境影響について取り組んでいます。大気、地下水、河川などです。けれども私たちは環境や化学の専門家ではなく、たまたま近くにリサイクル産業廃棄物中間処理群があるというだけの、一般市民です。知識もお金もないなか自分たちのできることを探り、サクラの花びらに出る異常の調査、VOC簡易測定器をレンタルしての大気調査、また水生昆虫の種類やパックテスト、さらに電気伝導度計や比色計による水質調査などをしています。

地道ながらもやることはたくさんありますが、会員が10人強のため、実際に測定調査に参加するのは2~3人というかなりこじんまりしたものです。この参加者が少ない、というのがいまの課題です。どうしたら多くの人に知ってもらえるのでしょう。ごみ問題はいわゆる「南北問題」と似通っていて(大沼淳一先生に教えていただきました)、彩の国資源循環工場のある埼玉県は産業廃棄物流入が全国一で、そのなかでも3分の1が東京都からのゴミです。東京の方にもぜひここに来て、水生昆虫調査や水質調査に参加し、自分たちの生活の1シーンで出るゴミがこのような施設で処理され、周辺に影響を与えているということを実感していただきたいと思っていました。それは、パタゴニアの「ボイス・ユア・チョイス」という助成金プログラムに参加したことで、少なからずとも東京の方がたにもこの問題を知ってもらえるきっかけをいただきました。

そんななか3.11の福島原発による放射能汚染が関東圏まで広がり、自治体の焼却炉から出る焼却灰や上下水道の汚泥から高濃度の放射性物質が検出されています。彩の国資源循環工場では埼玉県内外の自治体からの焼却灰や汚泥をさらに燃やし、再生砂にしたり肥料を作ったりしています。限られた情報公開請求できた期間では、上は3,830ベクレル/kgのものが450トン、千葉県の自治体から入っていたのをはじめ、関東圏の自治体から入っています。上水道汚泥から数万ベクレルが検出されてメディアを騒がせていたのが2011年5月ごろのことですから、情報公開ができなかった昨年春から秋ごろはさらに高濃度のものを処理していたと推測できます。

パタゴニアの環境助成金プログラム ~助成先から届いたその後のストーリー

放射能測定。写真:彩の国資源循環工場と環境を考えるひろば 。

周辺への放射能の影響はどうなのでしょうか。パタゴニアからの助成金でナリカ空間線量測定器を購入しました。各工場の周辺を月1、2回測定していますが、2011年10月~2012年3月のあいだに9回測定(地上から約1メートル)したところ、広大な敷地内で線量の高いところと低いところが出てきました。高いところの平均は、0.14μS/h、低いところの平均は、0.12μS/h。その後、周辺住宅地との比較のために敷地内と外を測るようになりました。今年4月の状況は彩の国資源循環工場のある三ヶ山内の平均の値は0.14μS/hで、周辺では0.11μS/h。敷地内の方が、周囲よりも若干高いようです。この敷地内に何らかの原因がある、ということが推察できます。これは彩の国資源循環工場だけのことではなく、関東圏以北の同じような施設で起きていることです。3.11当初は福島という1つの地域から拡散しましたが、いまではがれき処理や一般廃棄物処理、そしてそのさらなるリサイクル焼却などによって、各地で再拡散されてしまっているというのが、日本の現状だと思われます。

パタゴニアの環境助成金プログラム ~助成先から届いたその後のストーリー

写真:パタゴニア 東京・神田

〈荒川の自然を守る会〉/菅間宏子氏
「ボイス・ユア・チョイス」(以下、VYC)に参加する意義はいままでにはない分野や年齢層の方がたに活動を紹介し、活動への参加が期待できることです。また紹介方法や独りよがりになりがちな活動内容を見直す機会にもなります。VYCは助成金の使途に縛りがないため、2011年3月に発行した『上尾とその周辺の植物』の不足費用に使わせていただくことができました。2011年10月には顕微鏡を購入し、ミクロの世界を子どもたちに見せることもできました。

当会では「荒川は首都圏の大草原 多様な遺伝子の宝庫」、「都市林も川の源流・・野の花いっぱい里山再生プロジェクト」を掲げて活動しています。子どもたちの将来を保障するものは日本の多様な遺伝子であることを忘れてはなりません。しかしこれをどのようにしたら多くの人びとに伝えることができるのかがむずかしい点です。そんなとき、パタゴニアのイベントである若者から「菜の花がきれいでなぜいけないの?」と問われ、それまでの活動が説明不足だったことを知りました。

今年の春、上尾市内の堤防にヒガンバナが大量に植え付けられているのを見つけました。ここ5年ほど、この堤防にはすごい勢いでヒガンバナが増加していました。日本のヒガンバナは種子を付けないため、人間が植えないと増えません。9月になると「巾着田やどこどこの堤防でヒガンバナがきれいに咲きました」と必ずテレビで放送され、それはたしかにきれいです。けれども、ヒガンバナは中国原産の帰化植物で、花は9月でも、葉は冬から春に成長して球根が増えます。冬枯れの堤防にスイセンのような葉をたくさん茂らせてしまい、早春に日照を必要とする植物にとっては天敵となります。上尾市のこの堤防にはアマナという絶滅危惧種が大群落で生育しています。埼玉県の専門家がこれほどの大群落は見たことがないといいます。東京から直線で30キロメートルほどにある日本有数の大群落です。日照を奪われたアマナは花を咲かせることができなくなります。当会では堤防管理者である国に、帰化植物を撤去するようにという警告看板を設置してもらいました。今年植えた分は国が撤去してくれました。

パタゴニアの環境助成金プログラム ~助成先から届いたその後のストーリー

アマナ。写真:荒川の自然を守る会

今後、植えた方たちと話し合ってヒガンバナを減らしていきたいと思います。自然が本来あるべき山や里や川にさえ、自分たちの好みで桜やコスモスやポピーや芝桜などを一面に植える人びと。畑から逃げ出した菜の花を愛でる人びと。秋に美しいヒガンバナを土手いっぱいに咲かせ、多くの人に見てほしいというやさしい親切心をもった人びと。しかしながらこうしたことが自然を破壊し、在来種を減少させることになるということを、市民に知ってももらわないといけないのだということを、VYCが気づかせてくれました。

パタゴニアの環境助成金プログラム ~助成先から届いたその後のストーリー

写真:パタゴニア 東京・神田

パタゴニアの環境助成金プログラム ~助成先から届いたその後のストーリー

写真:パタゴニア 東京・神田

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パタゴニア日本支社の2012年度第2期(2011年11月~2012年4月)の助成先が決定しました。いずれのグループも環境問題の解決のために活動し、広く支援を必要としている市民による非営利団体です。寄付先を探している、ボランティアに参加したいなど、環境グループの情報をお探しの皆様もぜひ参考にしてください。また2013年度第1期の助成申請の締め切りは2012年 8月31日(消印有効)です。環境助成金プログラムの詳細はパタゴニアのウェブサイトをご覧ください。

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