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足元の確かなフィッシング

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いまから45年前、イヴォン・シュイナードはハンマーと鋼鉄を手にまったく新しい概念のクランポンを鍛造し、アイスクライミングの未来を変えました。フロントポイントを硬くしたデザインは垂直な氷上での可能性を広げ、クライミング界に大変化をもたらしました。

ベンチュラにあるパタゴニア本社の鍛冶作業場はいまも1967年当時とほとんど変わらず、その中では同じ男が作業しています。生来の釣り人であるイヴォンは、スキーナ・リバーのつるつるした、でこぼこの石の上で滑ったり転んだりするのにこりごりし、以前クライミング仲間にそうしたように、今度は釣り仲間のために優れたグリップ力を備えたクランポンを開発しようと、ブリキ小屋にこもりました。

イヴォンは試作品を作ってはみずからスキーナ・リバーをはじめとする危険な川でテストを繰りかえしましたが、改良を重ねるにつれてクランポンは重く、複雑になり、機能もしにくくなってきました。そんなあるときイヴォンは、ベンチュラで金属の扱いに長けた工房を見つけました。この工房の手助けが大きな力となり、登山用のクランポンからヒントを得た、優れた「リバー・クランポン」が誕生したのです。

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パタゴニア社員へのインタビュー:リペア部門勤務、袈裟丸千晴に聞く

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編集前記:パタゴニアが製造する製品をすべてリサイクル可能な製品にするというゴールを目指して2005年に開始した「つなげる糸リサイクルプログラム」を、より包括的なアプローチへと拡張して2011年にはじまった「コモンスレッズ・イニシアティブ」では、製品のひとつひとつを最大限有効に利用するため、リペア(修理)が重要な役割を担っています。今回はそうしたリペア部門でリーダーとして長年にわたって働く、袈裟丸千晴へのインタビューです。

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製品を修理するという日々の業務において、いちばん苦労するのはどんな点ですか?
外見や機能、そして着用時の着心地を考えながら、お客様がリクエストされる部分を修理するために解体していく手順と、それを現状に戻していく手順をひとつひとつ考えていく作業でしょうか。修理方法のマニュアルはありませんから。また同じ素材やカラーの材料の在庫がない場合も多く、さらにそれらを日本国内で調達することができないため、代わりとなる素材やカラーの選定をするのもなかなか大変です。

【たくさんの修理材料に囲まれたリペア部門のオフィスで仕事をする袈裟丸千晴 写真:パタゴニア日本支社】

修理に出される製品に傾向のようなものはあるのでしょうか?
新旧の製品にかかわらず修理依頼はあります。古いものはシュイナード・イクイップメント社(パタゴニアの前身)時代のものなどもありますよ。単純にたくさん販売された製品は、数年遅れてから修理の依頼が増えますね。

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グランド・キャニオン、ウラン採掘禁止令を勝ち取る

by  タイラー・マキノン

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オバマ政権は原生地区と野生動物に贈り物をすることで新年を迎えました。その贈り物とは、今後20年間グランド・キャニオン国立公園周辺の国有地100万エーカーで新しい採掘を禁止する法令です。これは新しいウラン採掘鉱区が急増するなか、新たな鉱区を取り止め、現時点で「有効な採掘権」のない鉱区での試掘と採掘を禁止するものです。そしてこの地域の鉱区の大半はこの「有効な採掘権」がありません。河川を汚染から、そして多数の動植物を採鉱廃棄物から守るこの決断は、グランド・キャニオンというアイコン的景観にとって歴史的な出来事です。

編集者記:この素晴らしいニュースは祝福すべき出来事です。私たちは昨年2月にジョナサン・ウォーターマンによるビデオで、そして4月にももう一度、皆様に行動に起こすよう、お願いしてきました。そしてその皆様の声が届いたのです。ありがとうございました。
写真: James Q Martin

この決断が好評なのは明らかです。内務省へ禁止を要請した人の数は、90か国から約40万人に上ります。成立以降、この禁止令はグランド・キャニオンの環境や観光面での経済効果を重要視するインディアン部族やビジネス、議員、科学者、アウトドア愛好者のあいだで高い評価を得ています。

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『グラウンドスウェル』の予告編をご覧ください

by クリス・ダリモント

世界最大の工業プロジェクトの発案によって危機にさらされる海洋ほ乳類とその他の生物に、どうすれば発言力を与えられるのでしょうか。結局のところクジラやイルカやその他の動物たちは、どんなに高い知性を備えていても石油産業からみずからを守ることはできないのです。

グラウンドスウェル(予告編)

 

最大手の石油会社エンブリッジとその国際提携会社は、何百もの魚の生息地である川やファースト・ネイションズの原住民の居住区にわたる、カナダの野生地区1,040キロの距離にノーザン・ゲイトウェイ・プロジェクトと呼ばれる巨大なパイプラインの建設を提案しています。これはアルバータ州のタールサンド(油砂)を西のブリティッシュ・コロンビア州のグレート・ベア・レインフォレストに送る提案で、原油はここからアジア、そして潜在的にカリフォルニアまでタンカーにて輸送されます。

これまでこのほぼ手つかずの荒れた海岸線に、原油タンカーが入ったことはありません。船舶のほとんどは、海岸線にまばらに存在する原住民の村からの中規模の漁船です。こうした人びとは海が与える豊富な資源に依存して生活しています。そして当然ながら、彼らのエンブリッジとノーザン・ゲートウェイへの反対はすさまじいものです。

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個人向けグリーン電力証書「えねぱそ」 ~自然エネルギーに頼ることは難しいことではない、いますぐ1人からできるアクション~

by 竹村 英明 (エナジーグリーン株式会社取締役副社長)

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東日本大震災から1年が経ちました。震災では電気、ガス、水道などがことごとく破壊され、これまでのインフラシステムがいかに弱いものであったかを教えられました。代わって注目されたのが自然エネルギーです。送電線やガス管がなくても電気や熱を供給できる仕組みだからです。日本の自然エネルギーの潜在的な可能性は、日本の一次エネルギーすべてをまかなえるほど大きいものですが、いまはまだそれが十分に活用できていません。それでは、自然エネルギーの発電所が少なく完全な電力自由化のできていない現在の日本では、個人が自然エネルギーによる電気を使うのは難しいことなのでしょうか。

自然エネルギーの電気を選ぶ
ヨーロッパでは電力が自由化されています。つまり個人が太陽光発電や風力発電の電気を選んで買うことができるのです。『ミツバチの羽音と地球の回転』という映画のなかでも、「えーっ、日本ではまだ電気が選べないの」とびっくりされるシーンがありました。

けれども日本の電力も部分自由化はされています。契約電力6,000ボルト、50kW以上の高圧電力契約をしている需要家には、電力会社ではなく特定電気事業者(PPS)からも電気を購入することが認められています。全需要家のうちの63%が該当しますが、実際にPPSのシェアは1.5%程度しかありません。日本はヨーロッパと異なり送電線は電力会社の持ち物で、地域独占の枠組みもそのままだからです。またPPSには送電線を借りるための「託送料金」や、送電線に一定の電圧と量で電気を送る「30分同時同量」などの制約があります。そのため変動の大きな自然エネルギーはほとんど増やすことができないなのです。

つまり、高圧電力の需要家でも自然エネルギーの電気を選ぶことは難しい状況です。それではまして個人が、自分の好きな自然エネルギーを選ぶなどというのは夢のまた夢なのでしょうか。

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アルパイン・メンターズ:若手アルピニストのためのユニークなチャンス

by スティーブ・ハウス

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ほぼ2年前の2010年3月25日、マウント・テンプルの北壁を登攀中にホールドが欠け落ちて、僕は25メートル滑落した。それは肋骨を20か所と骨盤を2か所折るのに十分な距離だった。

パートナーのブルースのそばに横たわっていると、すぐにひどい寒気に襲われた。体が手足の血液を胴部と脳に迂回させているからだ。無数の骨折によって胸部が血であふれていくにしたがって、呼吸がどんどん短くなる苦悩を感じた。

このときすでにブルースは携帯で救助を呼んでいた。2時間後には、偶然にも友人のカナダ公園局の局長が操縦するヘリコプターに救助され、ケーブルに吊られて30メートル下を飛んでいた。

2時間というのは色々考えるのに十分の時間だ。2時間のあいだにはアドレナリンも消え、それはとても長い時間に感じられた。自分の人生の後悔について考えるのに、僕が感謝していることすべてをブルースに伝えるのに、そして愛するすべての人たちの名前を口にするのに、十分の時間だった。

その後の数か月の回復期のあいだに、救助を待っているときに思いめぐらせたある質問を思い出した。「まだやっていない登攀でやっておきたかったものはなかったか」 鎮痛剤と車椅子、理学療法漬けの生活で、不鮮明な頭のまま夏が過ぎていくなかで、その質問への答えはいつも同じだった。「いや、僕の人生から欠けているのはより多くの登攀ではない。欠けているもののリストのうち、おもなものは僕がコミュニティーに貢献することだ」 そしてその意図から生まれたのがアルパイン・メンターズだ。

[写真上:1996年のマウント・ロブソンのエンペラー・フェイスへの遠征時のスティーブ・ハウスとバリー・ブランチャード、ジョー・ジョセフソン。「登攀は失敗に終わったが、遠征は先輩たちとの高度なアルピニズムの果てしない世界に僕を導いた」写真:Steve House Collection]

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横浜・瀬上沢の森を守ろう!寄付者1万人アクション ~100円寄付で横浜に残る貴重な緑地を未来へ~

by 角田 東一 (NPO法人 ホタルのふるさと瀬上沢基金 理事長)

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横浜南部に残された瀬上沢の貴重な自然が、開発で失われようとしています。神奈川県内でも極めて良好な生物相が残されている森を全面保全しようと、行政や議員、事業者など各方面に、強力な働きかけをしています。その後ろ盾となるのは市民の強い意志表示です。トラスト基金への寄付で意志を示すため、「瀬上沢の森を守ろう!寄付者1万人アクション」を展開しています。

2012年1月、事業者は都市計画提案制度による開発相談書を横浜市に提出しました。正式計画の提出は6月に予定されており、開発可否が2012年度中にも横浜市によって決定される段階にきています。開発が実施されれば、約11ヘクタールの緑地が切土/盛土で破壊され、生態系とそこに生息する生命や文化遺産が失われます。4年前にこのことを予測した私たちは、「ナショナルトラストで土地の取得や保全を行い、瀬上沢の大切な自然環境を子供達の世代へ残していく」ことを目的にNPOを設立しました。開発計画が具体化していなくても、会員と寄付者数は約1,500名に達していましたが、いま、さらに多くの声を必要としています。

[ 瀬上沢西の森。里山が削られ、谷戸が埋められて、商業施設や宅地となる 写真:角田 東一 ] 

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ひとこと・・・

by イヴォン・シュイナード

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セロ・トーレのコンプレッサー・ルート
に使用された極地法は、いかなる手段を用いても山を征服し、その後はハーケンやボルトやロープやケーブルも残置するという、アルピニズムにおける利己的な「マニフェスト・デスティニー(明白な運命)」哲学のおそらく最もはなはだしい例だと思う。これはルートの質を下げ、公平なスタイルで登る技術も精神力もない人びとにアクセスする手段を残す。これはアルピニストにとっては、ヘッドライトに照らされて動きが凍った動物を狩る容易さに等しい。

残念なことに、多くの場所でこの方法が残した破損がみられる。とくに1920年代に素晴らしいスタイルで初登されたドロミテは、いまでは数メートルごとにボルトが打たれている。

ヘイデン・ケネディジェイソン・クルックのようなアルピニズムの最高の本質を体現する若手クライマーがいることに感謝したい。壮大な南東稜が足かせを取り除かれたいま、セロ・トーレはどんな手段を用いても登頂されるべき山ではなく、登攀する勇気をもつ未来のアルピニストのインスピレーションとなるだろう。

[写真上:パタゴニアのダグ・トンプキンスとイヴォン・シュイナード。コンセルバシオン・パタゴニカのアーカイブより。写真:Rick Ridgeway]

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パタゴニアのオーナー兼創始者のイヴォン・シュイナードは、1968年にダグ・トンプキンス、ディック・ドーワース、リト・テハダ–フロレス、クリス・ジョーンズらとともに、チャルテン山塊の最高峰であるフィッツロイのカリフォルニア・ルートの歴史的初登を達成しました。1972年のシュイナード・イクイップメント社のカタログはクリーンクライミングの動きに多大なる影響を与え(本投稿の表題はその紹介文を回顧するもの)、最近のセロ・トーレをめぐる論争とも関連しています。何十年も過ぎたいまもイヴォンが人に説くことをみずから実践しているのをみるのは新鮮です。セロ・トーレの論争についてはケリー・コーデスの最近の投稿や、ラ・カチャーニャ新聞のウェブサイトに掲載されたダグ・トンプキンスがカルロス・コメサーニャに宛てた手紙(英語/スペイン語)をお読みください。

いまあらためて「再生可能エネルギーを活かして」

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再生可能エネルギーを選択することには、持続可能な未来を実現するための投資が含まれているとともに、人類と地球上に生息するその他すべての動植物が支払う代償を発生させないことにも寄与しています。

私たち人類が化石燃料やウラン燃料といった再生が不可能で、しかも汚染源となるエネルギーに大きく依存している事実は、私たち自身を深刻な危機に陥れることになります。さらに気候変動や地球温暖化、ますます劣化していく環境に加えて、こうしたエネルギーによる有害物質の拡散は、人類をはじめすべての動植物が依存している生物多様性や森林、淡水などにも影響をおよぼす、緊急に取り組む必要のある重要な問題です。

パタゴニア日本支社ではエナジーグリーン株式会社とグリーン電力証書の契約を結ぶという方法で、2008年4月からオフィスや店舗で使用するエネルギーを再生可能なエネルギーに切り替えました。そして2008月5月からの1年間、日本支社全体で使用する電力のすべてに鹿児島県のバイオマス発電所と大分県の地熱発電所で発電されたグリーン電力を導入。2012年2月現在はこれらに加えて、兵庫県のパルプ工場が運営するバイオマス発電所、鹿児島県の地熱発電所からも調達しています。

再生可能なエネルギー源はすでに存在しています。そしていまやそうしたエネルギーの使用を拡大するための取り組みに対する障害は、技術的な問題というよりはむしろ政治的な問題であることは、すでに多くの専門家も指摘しています。再生可能エネルギーを広げるための私たちのあらたな一歩はその流れを変え、未来に向けて進む道を探し出す選択なのです。

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クリーネストライン

アウトドアウェアを製造/販売するパタゴニアの社員、友人そしてお客様のためのブログです。パタゴニアについては patagonia.jp をご覧ください。

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