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外部化されたコストを内部化する時代 「サステナビリティ3.0」

 /  2012年2月27日 読み終えるまで6分  /  コミュニティ

the-sustainable-economy

パタゴニア 創業者兼会長
イヴォン・シュイナード

ブル・スカイ 創業者
ジブ・エリソン

パタゴニア バイス・プレジデント
リック・リッジウェイ

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ビジネスが社会に及ぼす悪影響を減らすという側面では、我々は進歩しているとはいえない。むしろ、事業活動の負の影響は拡大し続けている。環境に悪影響を与える製品を買うほうが、環境への負荷が少ない製品を買うよりも概して安価だからである。すなわち、地球にとっては高コストでも、顧客にとっては高価格にならない。これは、事業活動によって地球にもたらされる損害を企業が負担しなくてもよいからだ。このような影響の多くは正確に測りにくい、あるいは個々の企業に公正に割り振りにくいため、そのコストは常に企業会計において外部的なものだった。しかし、このように外部化されたコストを定量化し、割り振ることができたとしたら、安いものを求める消費者心理が、健全で公正な世のなかを維持するビジネス手法と完全に合致し、強力な市場の力がサステナビリティの目標に資するようになる。幸いなことに、成功するビジネスが持続可能なビジネスと同義になるのは可能なばかりか、もはや必然である。

DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー』2012年3月号より

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DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー・ブログ
»DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー編集部によるブログ

企業活動と環境破壊、そして「サステナビリティ3.0」
ダイヤモンド社 2012年2月24日 @ 6:46 AM

「道徳的目的」と「経済的目的」、
「社会価値」と「経済価値」、
「社会目的」と「経済価値」、
私たちは、事業の目的や事業によって創出される価値に目を向けると、これら相対する二つの事項について、どちらを優先すべきか選択しなければならない場面に遭遇することがあります。そのなか、このブログでも紹介した「グレート・カンパニーの経営論」「インフォシス:尊敬される企業を目指して」などの今号の論文を読むと、特集のタイトルにある言葉「チェンジ」が示すように、これからはこの二律背反が同時に実現する時代になることが読みとれます。

もちろん、これまでにも企業は「企業活動」と「地球環境」の共生という、二律背反の解消に向けて取り組んできた部分もあります。ただ、これらは志高い消費者に向けた商品の開発など、どこか道徳心に訴えるものであったり、環境負荷低減を怠ったため被るリスクを低減するといった防衛的なものや、節電などによる目先の経費節減といったオペレーション上の関心ごとといった消極的な面がありました。

今号の「サステナビリティ3.0」では、そこから一歩前に進んで、「利益を生みだす」と「環境負荷を低減する」という二つの相反する目標を同時に実現させることは企業にとって必然である(もはやトレードオフではない)と主張しています。旧来の環境への取り組みを「サステナビリティ2.0」とするならば、この古い時代は終わり、いまは「3.0」に進化するときを迎えたといいます。では、「サステナビリティ3.0」とは何か。解説したのがこの論文です。

ところで、地球環境に目を向けてみると、地球には自然資源(森林、河川、湿原など)が豊富にありますが、これらの価値はいくらになるでしょうか。また、昆虫が行なう受粉はどのくらいの金額に相当する価値があるでしょうか。本稿が興味深いのは、このようなプライスレスで数値化しにくい事項について、あえて経済価値を算出しようと試みています。ちなみに、世界銀行は自然資源を44兆ドルと評価し、国連環境プログラムは昆虫が受粉するサービスの価値は年間2000億ドルと推測しています。

この価値は単に「すごく高い金額」では終わりません。たとえば環境破壊によって昆虫が死滅して受粉がおこなわれなくなると、2000億ドルのサービスが消滅したことになります。いま企業では、工場の製品原価を計算するときに、環境破壊による悪影響など、外部化されたコストは算入せずに計算しています。しかし、外部化されたコストが全部でいくらになるのか、計算が成り立つとなると、企業は外部化していた(企業が負担する必要はないと考えられていた)コストを定量化し、内部化する(企業に割り振る)道が開かれるかもしれません。そのほか本稿では環境に関する「見える化」として、VCI(バリューチェーン指標)といった指標が紹介されています。

これまでも、企業は管理会計のレベルで、環境負荷低減にかかったコストを定量化し記録はしてきましたが、外部化された環境関連コストを見える形にする活動はほとんどありませんでした。少なくとも、このような隠れたコストが透明化されると、消費者や投資家は製品の価格だけでなく、その商品を生みだすために与えた外部への環境破壊の影響まで数字で知ることになります。それがこの先、消費者や投資家がその企業に「お金を出すかどうか」の判断基準に大きな影響を与える可能性があることを、本稿から読みとることができます。

「サステナビリティ3.0」は、これまでの環境活動のように「志高くなりなさい」と説いて企業に負担を強いるのではなく、市場原理に基づいて消費者や投資家に起こり得る変化を解説しているところが興味深いといえます。経営者として、この環境への取り組みの新しい流れを知っておくことは、今後、変化が起こったときに備えるという意味で重要だと感じさせられます。

(編集部)

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