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着古されたパタゴニアのコットン製品は何に生まれ変わるのか

コットン繊維を酵素で糖化する前と後

今治駅に降り立つとロータリーの向こうに「ようこそ タオルと造船の町 今治へ」という標識が目に入ります。今日はその「タオル産業、造船の技術、そして最新の化学の3つが融合」したともいえるコモンスレッズ・イニシアティブの新しいパートナー、日本環境設計株式会社のリサイクル施設についてご紹介します。

日本環境設計は設立5年目と若い企業でありながら、革新的なリサイクル技術と仕組みの構築において産官学をリードし、著名企業/ブランドをプロジェクトメンバーとする繊維リサイクル・プロジェクト「FUKU-FUKUプロジェクト」や携帯電話のリサイクル・プロジェクトを立ち上げるなど、リサイクルの普及と循環型社会の形成を推進している企業です。パタゴニアでは2005年に帝人株式会社のケミカルリサイクル技術により、ポリエステル製品をバージン原料と同等の品質を持った原料に再資源化する仕組みをスタートさせました。その後、コモンスレッズ・イニシアティブの「パタゴニア製品が埋め立て地で眠らせない」というゴールに向かってさまざまなオプションを検討してきました。そのなかで、日本支社においてはリペア(修理)、リユース(再利用)したあと、最終的にぼろぼろになって寿命が尽きたコットン製品を、日本環境設計がもつ2つの技術を活用してリサイクル(再生)することにしました。

一度に最大500kgのコットン繊維を酵素を使ってグルコースに分解できる糖化槽
[ 上 - コットン繊維を酵素で糖化する前と後、下 - 一度に最大500kgのコットン繊維を酵素を使ってグルコースに分解できる糖化槽 ]

そのひとつがコットン繊維を原料としたバイオエタノールの生産です。「コットンがエタノールになるの?」と思われるかもしれませんが、百聞は一見にしかず。今治第一工場の発酵槽のなかでは、前工程を経たコットンがプクプクと発酵しています。匂いは良質な焼酎のよう。そうなのです。このリサイクル技術は、コットン繊維を酵素でグルコース(ぶどう糖)に分解したうえで、まさに焼酎を発酵させるように酵母で発酵させ、バイオエタノールを作るというものなのです。糖化槽に入れてから糖化するまでが72時間、さらに培養槽で移し替えて1日で発酵は完了。こうして出来上がるのが、濃度5%のエタノール水溶液です。現在このエタノール水溶液は、リサイクル施設が設置されている敷地内にある染色工場のボイラー用燃料として、C重油と混ぜて使用されています。ここでも多くの人が「水と油を混ぜて大丈夫なの?」と思われるかもしれません。通常は蒸留などの方法でエタノール水溶液からエタノールを分離させて使用するのですが、ここで採用されているエマルジョンシステムではエタノール水溶液のままC重油と混合しながら完全燃焼させることでC重油の燃焼効率を最大限に高めることに成功しています。このボイラーの炎の色はC重油を燃料としているボイラーの炎とは明らかに違います。

エマルジョンシステムを使用したボイラーの炎[ エマルジョンシステムを使用したボイラーの炎 ]

さらに、「タオル産業、造船の技術、そして最新の化学の3つが融合」の言葉どおり、このリサイクル施設には染色工場が使用していた染色用の未使用設備が再利用され、その加工には造船で培われた鉄鋼加工技術が生かされています。日本環境設計の岩元社長は「今治には造船と鉄鋼の職人がおり、中小企業の力はすばらしい。他の町ではこのリサイクル施設は実現できなかった」と話します。また今治では、タオル製造工場で発生するこれまでは焼却処分していたコットンのタオルくずを原料にしてバイオエタノールを生産し、そのエタノールを染色工場のボイラー燃料として使用しています。タオル事業者が環境配慮型タオルとしてブランド化した製品を製造/販売する「今治コットンリサイクルプロジェクト」も進んでいます。

岩元社長
[ ジーンズの糖化後に残ったコットン繊維以外の残渣について説明している日本環境設計・岩元社長 全写真:パタゴニア日本支社 ]

今後パタゴニア日本支社で回収された着古されたコットン製品やコットンの混紡製品は、このコットン繊維のエタノール化技術によってバイオエタノールに再資源化されることになります。コットン繊維以外の部分は残渣として発生しますが、残渣は日本環境設計のふたつめの技術により100%リサイクルされます。こうしてパタゴニア日本支社で回収されたコットン製品およびコットンの混紡製品は、コモンスレッズ・イニシアティブのゴールである「製品を埋め立て地で眠らせない」ことが可能になります。

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