スケート・デッキに乗っての4,500キロトレッキング:『ロング・トレックス・オン・スケート・デックス』
パタゴニアのウェットスーツの開発者であり、スポーティング・セールの共同発明者であるビリー・スミスが、スケートボードで世界を旅する『ロング・トレックス・オン・スケート・デックス(スケート・デッキに乗っての長期トレッキング)』の友人たちを紹介してくれました。彼らの写真やビデオや製品レビューから明らかになったのは、彼らがパタゴニアのハードコアなユーザーというだけでなく、まだ名もないようなことにチャレンジしているという事実でした。彼らのスポーツに対する型破りな姿勢はリアルであり、私たちにインスピレーションを与えてくれます。アーロン・エネヴォルセンによるモロッコの40日間の旅を綴ったこの投稿では、人力のみによる交通手段には、これまで考えていたものよりも多くのものがあることを証明してくれました。
次の旅の交通手段がモーター無しでなくてはならないとしたら何を選ぶか?…ロングボードが頭に浮かぶことは、おそらくないだろう。
もし君が2010年はじめにハイアトラス山脈を横断していたら、とてもハイテクなスケートボードをプッシュするひどく汚い3人の男たちの姿を目にしただろう。その3人とはポール・ケント、アダム・コルトン、そしてこの男、アーロン・エネヴォルセンである。「ロング・トレックス・オン・スケート・デックス」の名のもと、僕らは長距離スケートボードとドキュメンタリー映画製作を組み合わせたパイオニアだ。
ロングボード、バックパック、人力による交通手段、そしてビデオカメラに対する情熱とともに、僕たちはペルー、ボリビア、モロッコの通算4,500キロをロングボードで旅してきた。僕たちの2か月におよぶ旅は、ロングボードが実行可能な交通手段であることを証明したのだ。僕たちが持つのはそれぞれホイール1セットと、ベアリング2セットだけで、サポートしてくれる車もない。バックパックのなかには小さな道具キット、救急箱、必要最小限の服、地図、そして軽量のキャンプ用品が入っているだけ。旅に持って行くものはすべてこのバックパックに収まる。調理器具は重いために省いたので、現地の食料を頼りにするほかない。クッキーやソーダ、あるいはさまざまな種類のフラットブレッドといった小さな町で調達した加工食品で、何日もしのぐことがあった。このような栄養不良の状態は消化器官に多大な負担をきたすこともある。
ちろん、このような旅には無限の危険性があることは間違いない。普通の自転車の車輪の12分の1程度の大きさしかないホイールで、ブレーキもなく、路肩のない狭い道を進んでいくのだ。僕たちが坂を下る平均速度は、山道をシフトダウンして下る輸送トラックよりも速い。思いやりのないドライバーやミュール、犬、バイカー、イラついた運転手や家畜…これらすべてのおかげで僕らは道からはじき出された。バックパックの重さはヘアピンカーブを時速40キロで曲がるには煩わしい。ときには何時間(いや、何日間というべきか?)もつづく上り道を、このバックパックを背負って登るのに耐えてくれた膝には感謝しなくちゃいけない。アンデス山脈の最初の峠では上りが3日もつづいた。飢えと睡眠不足に襲われながら、僕らは 標高4,390メートルの山頂までずぶ濡れの荷物を背負ってプッシュしつづけた。
彼らが体験したことや、この極限の旅のなかでの彼らのユーモアを本当に理解するには、ドキュメンタリー映像(いくつかの放送禁止用語にご注意を)をご覧ください。彼らのペルーとボリビアの旅の予告編はこちら。
年内公開予定のモロッコ編に乞うご期待ください。