すると2人がいた

by マイカ・バーハルト

2_cc_WEB_featured-1600x883-c-default

親愛なるキャズとイレナへ

あなたたちが生まれて今日で10か月が経ちました。冬のなごり雪が庭から消え去った今週、花開いたクロッカスは閉じ、あなたたちがその紫の花びらを食べる試みも間一髪で免れました。

一緒に過ごすはじめての冬、私はあなたたちをソリに乗せて引きました。私は繋ぎ止められてはいるものの、一人で歩くことができました。家の前に広がる森は私の運動とあなたたちのお昼寝、そして私たち全員の正気を保つ一石三鳥の役割を果たしました。 私たち3人は5か月間にわたって一緒に裏庭のトレイルの雪の状態を研究しました。60センチの深雪をラッセルし、雨で凍った表面をボーゲンで移動し、足首まである完璧なコーンスノーで心地よい音を立てて過ごしました。それらができないときはスノーシューで歩きました。

[ 4月のニューハンプシャーの吹雪の中のマイカとピーター、キャズ、イレナ。写真:Peter Doucette ]

続きを読む "すると2人がいた" »

「ニセコ雪崩事故防止協議会の報告書」より

by 新谷暁生(ニセコ雪崩調査所)

2

編集者記:待ちに待ったスノーシーズンがやって来ました。パタゴニアも、ミニマリストのデザインと確かな耐久性を備えた多様なスノー製品を取り揃え、元気いっぱいの子供から困難なルートを初滑降するスキーヤーまで、スノースポーツをさまざまに楽しむ皆様のための準備が整いました。そうした「身に着けられるギア」とともに遊びつづける、事故のない安全なスノーシーズンを願うパタゴニアは今日、私たちが信頼し、また雪山に関する豊富な経験と知識と技術をもち、雪崩問題に深く長く献身的に貢献しているひとりである、新谷暁生氏によるレポートをご紹介します。

【 全写真:ヒラフパトロール 】

続きを読む "「ニセコ雪崩事故防止協議会の報告書」より" »

不朽の偉人

by ディラン・トミネ(パタゴニア・フライフィッシング・アンバサダー)

Brucehill

長年にわたり僕はブルース・ヒルと幾度となく電話で会話していた。それはたいてい奇妙な時間帯で、内容は照り焼きソースのレシピ、イクラ、環境保護キャンペーン戦略、ギターのテクニック、家族のこと、個人的な問題や挑戦など、重要なことから些細なことまでさまざまだった。受話器を取ると彼がいつでも英知と慈悲、そして彼特有の親切さでそこに存在するという事実が、僕に確固たる安心感をもたらしてくれた。

【 友人で先輩のブルース・ヒルの英知を吸収するディランとスカイラ・トミネ。ブリティッシュ・コロンビアのインサイド・パッセージ。写真:Steve Perih 】

続きを読む "不朽の偉人" »

祖先の跡をたどって:タヒチからハワイへの航海

by カイウラニ・マーフィー

Hokulea
体を電荷が脈打って流れ、頬の涙を拭った。上腕二頭筋と前腕のあいだに閃いた一筋の青い光が目を刺す。マストの索止めを放し、仲間の乗組員と戸惑いの視線を交わす。耳をつんざくような雷鳴が頭上にとどろく。数日前に登ったばかりの堂々たるタフアレヴァ山の頂上に次の稲妻が火を点ける。

ラグーンから出ると、灰色の煙は炎の上に漂う暗雲と見分けがつかなくなる。ホクレア号が停泊したタヒチのタウティラ村の姿が遠ざかる。霞んだ水平線を稲妻が照らし、前方に無数のスコールが待ち受けているのがわかる。横殴りの雨と激しく打ちつける波で何もかもびしょ濡れだ。艤装を突風から守るために帆の開閉を繰り返す。疲れた体は寒さに震え、素手と素足はふやけてしわだらけだ。

あと 30 夜だけ、と何度も自分に言い聞かせるが、それは徐々に疑問にも思えてくる。

【 アオテアロアからオーストラリアまでの 12 日間の航路のほとんどで遭遇した 悪天候と、7.5 メートルの波に耐える乗組員たち。ホクレア号のシドニー港到着により、 このカヌーがはじめて太平洋の外へ出たことが記録された。写真:John Bilderback 】

続きを読む "祖先の跡をたどって:タヒチからハワイへの航海" »

ひだまり ~石木川がつなぐ未来への旅路~

by 東田トモヒロ(ミュージシャン)

WTK-667

去年4月に起きた熊本地震は僕にとってこれまでで最も身近で、最も大きな災害だった。多くの家屋や建造物が倒壊し、地割れや土砂崩れなどもあちこちで発生していたので、震災当初は何もかも失われてしまったかのような悲しい気持ちで過ごしていたように記憶している。石木ダムのことに出会ったのはまさにその頃だった。

長崎の山村、豊かな自然の残る美しい場所が、ダムと資本主義という洪水に押し流されようとしている。さまざまな価値観が花開き、豊かさの本質を自然の中に見いだそうというこの新世紀にあって、なんて意味の無いことがなされようとしているのだろう。瓦礫にまみれ、多くの人々が住処や働く場所を失った熊本、僕らが日々向き合っているリアリティ。同じときに隣の長崎では、そこに暮らす人々の気持ちを無視したダムの建設計画が押し進められようとしている。2つのできごとは僕の中でひとつに結ばれ、その中にこそこれからの未来や社会のあり方についてとても大切なことがあるような気がしてならなかった。これは僕が通るべき、向き合うべき旅路なのだと。

[ 昨年10月に野外イベント『WTK – WITNESS TO KOHBARU IN AUTUMN 失われるかもしれない美しい場所で』が石木ダムの水没予定地で開催された。 写真:SUNCloud. ]

続きを読む "ひだまり ~石木川がつなぐ未来への旅路~" »

まだ見ぬ水平線の彼方へ  

by 内野加奈子

IMG-Hoku 5

私が〈ホクレア〉という名のハワイの伝統航海カヌーの存在を知ったのは、海の魅力に惹かれ、週末ともなれば、伊豆や三宅島に通っていた学生時代のことだった。友達が手渡してくれた1冊の本に描かれた、星や月、波や風を読み、水平線の彼方の島を目指す伝統航海の世界。人はこんなにも深く自然を理解することができる。人と自然のかかわりに興味を持っていた私にとって、ホクレアは新しい扉を開く大きなきっかけになった。

ハワイ大学に進むことを決めた私は、2000年の6月9日、小さなスーツケースひとつでホノルルに降り立ち、その翌日、ホクレアの停泊する桟橋に向かった。初めて見る伝統航海カヌー、ホクレア。そのカヌーはひっそりと静かに美しく、海の上に浮かんでいた。桟橋にはクルーたちが忙しく行き交い、近くを通りがかった一人が、これからカウアイ島に向う準備をしてるんだ、と教えてくれた。カヌーの上には、伝統航海術師のナイノアの姿も。しばらくして、カヌーから下りてきたナイノアが足を止めてくれた。「伝統航海に興味があります」 どこから来たとも知れない外国人のその言葉を、ナイノアは真っすぐな眼差しで受けとめてくれた。今日まで続くホクレアとの関わりのはじまりの一日だった。

続きを読む "まだ見ぬ水平線の彼方へ  " »

『新版 社員をサーフィンに行かせよう:パタゴニア経営のすべて』

by イヴォン・シュイナード

1400x875_LMPGS
初版の登場から10年を経て、パタゴニアの創業者兼オーナー、イヴォン・シュイナードが2006年に書いた回顧録の傑作の増補改訂版『新版 社員をサーフィンに行かせよう:パタゴニア経営のすべて』が出版されました。約半分に相当する内容を増補し、新たに活動家であり作家のナオミ・クライン氏による序文が追加されています。

新版でシュイナードは、世界的な景気後退と加速する環境危機によって、またパタゴニアにとって未曾有の成功によって特徴付けられた、素晴らしくも厳しい機会と挑戦をもたらした過去10年間に、彼のビジネスと環境への見解がどのように進化したかについて説明します。

下記にて新版からの序文をお読みいただけます。

【 上:表紙:リンコン・ポイントの冬のスウェル。写真:Steve Bissell、書籍写真:Tim Davis 】

続きを読む "『新版 社員をサーフィンに行かせよう:パタゴニア経営のすべて』" »

2007年にホクレアが日本にやって来て、今年でちょうど10年になる。

by 金子 duke

ニコン 029
僕はいつも海に出るたびに、ホクレアからの宿題をいまでも自分に問いかけつづけている。

陸のスピードに流されて生きていないだろうか?
テクノロジーという箱のなかだけで生きていないか?
僕らは海とつながっているだろうか?

僕は、10年前のホクレアとの出会いによって、魂の、心の目が開かれ、自分を、世界をみる目が変わったのだった。

【 全写真:yaguraphic 】

続きを読む "2007年にホクレアが日本にやって来て、今年でちょうど10年になる。" »

マラマ・ホヌア:ホクレアの希望の航海 パート5 ホクレアよ永遠に

by ジェニファー・アレン&ジョン・ビルダーバック

Top

風はなく、波は穏やかだ。双胴型航海カヌー「ホクレア」のまわりでさざ波を立てているのは、大きな円を描きながら子供たちが漕ぐパドルボードだけ。船首にはティリーフの花冠が掛けられ、帆は巻かれたままマストに結ばれている。ハワイの王のマントと同じ深紅に染められたこれらの帆は、強い風のなかでは 15 メートルにわたって広がる。

ホクレア号はすでに 1 週間ほど、ヒロの近くにある湧水の入り江パレカイに係留していた。商船、貨物コンテナ、石油タンクが溶岩石で囲まれた湾に並ぶなか、ホクレア号はまるで島のように、臆することなくしっかりと錨を下ろし、風が吹くのを待っている。

【 世界航海の開始にあたるヒロでの出航儀式中、レイを船首にかけるヒキアナリア 号の乗組員のエルヴェ・マラエタアタ。パレカイ(「防波堤」または「海から防御する こと」の意)での儀式は、旅立つホクレア号の乗組員を守り慈しむため、地元地域 からの温かさとアロハによって行われた。写真:John Bilderback 】

続きを読む "マラマ・ホヌア:ホクレアの希望の航海 パート5 ホクレアよ永遠に" »

マラマ・ホヌア:ホクレアの希望の航海 パート4 正しい方向

by ナイノア・トンプソン

Top

1975 年の進水以来この魔法のような船「ホクレア」の、地域と人びとを結び、刺激し、変える力を目撃してきました。そのデッキの上で太平洋の民は、それまで 600 年間も眠っていた天文航法、ウェイファインディング、遠洋航海のアートと科学をよみがえらせました。ホクレア号で航海してきたこの 40 年間私たちが教えられてきたのは、過去を振り返りながら未来への期待を強め、祖先の技術と知恵と価値観を現在に活かし、私たちが暮らすこの地球という島をより明るい目的地へとかじ取りする手助けをするよう呼び掛けることでした。

ホクレア号が 1970 年代の苦闘から生まれた希望の灯台であったように、困難の多いこの時代に最大級の環境的/社会的問題の解決に取り組む世界中の 100 以上の地域に希望の光を照らすため、私たちは史上初の世界航海に乗り出しました。

【グレート・バリア・リーフを抜ける航路にてマカアラ(覚醒)の状態を保つ、 ポゥ航法師のナイノア・トンプソン。ポリネシア航海協会の代表でもあるナイノア船長 は、人生の半分以上におよぶ 35 年間にわたってホクレア号の舵を取り、祖先の伝統 に習って星、風、月、波、鳥、魚を頼るべき指標としてきた。写真:John Bilderback 】

続きを読む "マラマ・ホヌア:ホクレアの希望の航海 パート4 正しい方向" »

クリーネストライン

アウトドアウェアを製造/販売するパタゴニアの社員、友人そしてお客様のためのブログです。パタゴニアについては patagonia.jp をご覧ください。

クリーネストラインとは

RSSフィード

Twitter

© 2013 Patagonia, Inc.