走りゆく公園

by ケイティ・ミラー

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起きぬけのボーッとした状態で寝袋に入ったまま、 足元のジッパーだけを開けてキャンプのキッチンに ヨロヨロと歩み寄り、仲間と朝の挨拶を交わした。 肌寒かったけれど、荷物を軽くするためにウェアは 最小限しか持ってきていなかった。

私は寝袋から手を出して、温かいコーヒーを握った。すると東の霞のなかに、2頭の雄のバイソンが姿を見せた。高く生い茂った草のあいだをぶらつく彼らを、私たちは無言の驚嘆で見つめた。待ち受ける長距離のことを考えると、これは幸先のいいス タートに思えた。私は驚嘆するのが大好きだ。

私たちはランナー、写真家、ローカルから成る チームで、メンバーはジャスティン・アングル、ウォーカー・ファーガソン、ボー・フレッドランド、フレド リック・マームセイター、私の5人。モンタナ州クッ ク・シティからイエローストーン国立公園の中心地オールド・フェイスフルまでの225キロメートルを5日間で走る、バックカントリートラバースをしていた。前日に出発した私たちは最初の48キロメートルを消化。「野生」の意味の世界共通の概念を象徴する、この野生の縮図のなかで展開する環境や政策にまつわるストーリーを、現場で直接体験することが目的だった。

【 5 日間で 225 キロ メートルを走る旅には、類い稀な 地形がたっぷり含まれている。 ショショーニ・ガイザー・ベースン を駆け抜けるケイティ・ミラー、 ボー・フレッドランド、ウォーカー・ファーガソン、ジャスティン・ アングル。ワイオミング州イエローストーン国立公園 】

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ランニング・アップ・フォー・エアー:空気のために走る

by ルーク・ネルソン

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僕は息もたえだえに手を伸ばし、笑顔で立っている4人のボランティアとハイファイブをする。2月だというのに山頂の救護ステーションに立ってくれている彼らに、喘ぎながら感謝する。ステーションを回り込み、下の谷につづく急な雪のステップを早足で4歩か5歩目駆け下りると、雪の地面が抜け落ち、足全体が埋没する。前転した僕はひっくり返ることを余儀なくされ、あわや他のランナーと接触するところだった。なんとかコントロールを取り戻すと、前屈みになって危険を顧みない奔放さで下山する。数キロ、ほぼ標高差で1,000メートル降りると、僕は天場エリアに滑り込んだ。そこは「ランニング・アップ・フォー・エアー(Running Up For Air: 以下RUFA)」と呼ばれる無謀なイベントのスタート地点、救護ステーション、チェックポイント、そしてゴールとなる場所だ。

【 2017年のランニング・アップ・フォー・エアーのスタートラインに一斉につく参加者たち。このイベントで集まった資金は〈ブリーズ・ユタ〉に寄付される。イベント当日は、空気は驚くほど澄んでいたが、大気汚染が酷い日にマスクをかける人たちとの結束を示すために参加者はスタート地点でマスクを着用した。写真:Andrew Burr 】

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最悪の発想

by ルーク・ネルソン

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「狂気は必要じゃないけど、助けにはなる」というのがタイの口癖だ。長年にわたる僕たちの無謀な遠征が何度この言葉で語られてきたか……は、もう数えても無駄なので止めていた。そのときは、とにかく現況を生き延びることに集中しようとしていた。

ランニングらしき行為はすでに何時間も前に終わっていた。日は差していたが、寒かった。氷点下32 度という寒さだ。僕たちが向かっていた暖を取るための山小屋へとつづく道は、数キロ前で整備も途絶えていた。午前中に2 台のスノーモービルが追い越して行ったものの、その軌跡も役には立たなかった。僕たちの体重を支えてくれたかに思えた軌跡はときに何の前触れもなく、片脚を股までズボッと雪のなかへと吸い込んだ。雪面に残ったもう片脚を雪に埋もれさせないよう、なんとか脚を抜き出すために格闘するのは、体力を消耗した。

【 上:外が摂氏マイナス30 度に近いときは、できるだけ時間をかけて地図と相談するのも悪くない。今後のルートをゆっくりと練るタイ・ドレイニーとルーク・ネルソン。ワイオミング州ソルト・リバー山脈。写真:Fredrik Marmsater】

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最後の暗闇:オワイヒー・キャニオンランズの170マイルを走る

by ジェフ・ブラウニング

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足の感覚がなかった。凍るような冷たい極寒の川を数え切れないほど渡った。狭い谷底に沿って進めるルートを探すため、柳の群生を押し倒しながらはい進み幾度ともなく川をジグザグに渡る必要があった。たった6マイルを進むのに3時間も要し、僕たちの能力では持て余すことに着手してしまったのではないかと思いはじめていた。とはいうものの、オワイヒーに冒険はつきものだ。今後10年のうちアラスカとハワイ以外の48州でミルキーウェイ全体がはっきりと見える場所はわずか3つになってしまうこと、そしてオワイヒーはそのうちのひとつになることが予想されている。ここは最後の暗闇なのだ。

【 写真:オワイヒー・キャニオンランズの1日目。岩だらけの旅の味を覚えるため、渓谷へと向かって進むジェフとジェシー。 FREDRIK MARMSATER 】

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愛するものを守るために、愛することをする:「マイル・フォー・マイル」キャンペーンが募金目標を上回る

by クリス・トンプキンス

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「行動なき感傷は、魂の荒廃である」
—エドワード.アビー

規模というのは捉えがたいものです。景観を理解しようと必死に地図を見つめたりします。しかしときとして、渓谷や山々の上を飛行機で旋回する機会があると、その地勢を真に理解しやすくなります。しかしまたときとして、自分の足で歩くことに勝るものはありません。一歩一歩、真の野生の広大さに足を踏み入れるのです。

私は足でパタゴニアを愛するようになりました。小さな町のはずれまで連れていってもらい、チリ南部の草原をはじめて歩いたときのことを覚えています。身につけた衣類と背負ったパックだけで、顔を風に吹かれながら。この地方の聳え立つ山々と好奇心にあふれた動物などを愛するようになるまで、何日とかかりませんでした。20年以上が経ったいま、個人の基金と多くの友だちや支持者の協力を得て、夫のダグと私は南米の脅かされた野生地のほぼ2百万エーカーを保護することに成功しました。2004年には世界最大の草原修復プロジェクトという人生屈指のチャンスにも恵まれました。これが未来のパタゴニア国立公園です。

写真上:〈コンセルバシオン・パタゴニカ〉の創始者クリス・トンプキンスにアヴィレス・トレイルで合流するウルトラランナー、ジェフ・ブラウニング、クリッシー・モールとルーク・ネルソン。チリ、パタゴニア公園。写真:James Q Martin

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シエラ・ハイルートでの災難スタイル

by ルーク・ネルソン

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凍えて目覚めるというのは何か不安を掻き立てるものがある。僕は寝返りを打ち、1ダースほどの腹筋をして体を暖め、ふたたび眠りにつこうとした。僕の動きで目覚めたコーディが腕時計のライトを押した。

「もうすぐ4時だ」と僕はつぶやく。

「しばらく寒さに堪えていたよ」と彼が返事をした。

「僕も」と応える。「動きはじめようか」

そうしてみずから「災難スタイル睡眠システム」と名付けたエマージェンシー・ブランケット、ダウン・パンツ、ダウン・ジャケットから這い出し、ふたたび走る準備をはじめた。シエラ・ハイルートの314キロをなるべく早く完走するという旅の2日目で、僕らはこてんぱんにやられていた。

写真上:起床時間。全写真:Luke Nelson

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湖から湖へ:パタゴニア公園の偉大な湖2つをつなげる

by リック・リッジウェイ、パタゴニア・パブリック・エンゲージメント副社長

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チリ南部の新しいパタゴニア国立公園の公式なオープンは11月末に予定されているが、すでにそれに惹きつけられている訪問者は何千もいる。パタゴニアのトレイルランニングのアンバサダー3名も1月に完成済みの100マイル以上のトレイルの一部を走った。パタゴニア社はその建設資金の一部を提供したが、ほぼ65万エーカーの広さとなることが計画されている新しい公園は、現在の既存のトレイルシステムの外に完全な流域を有する。

編集者記:「ローカリズムの新たなかたち」キャンペーンを進展させつづけるためには、以前のキャンペーンを再訪し、それらに新たな息吹を吹き込むことも大切です。今日、リック・リッジウェイがふたたび触れるのは、資金調達目標の半分のところまできた「マイル・フォー・マイル」。パタゴニア社は2015年末までに「マイル・フォー・マイル」にいただいた寄付と同額をマッチします。

3月、公園を両端から挟む2つの偉大な湖、北のラゴ・ヘネラル・カレーラと南のラゴ・コックランをほぼ直接つなぐ潜在的ルートを偵察するため、僕は2人の友人ジブ・エリソンとウェストン・ボイルスに同行した。この2つの湖はあまりにも素晴らしく、最初に目にしたときマックスウェル・パリッシュの絵のように神話的に映る。

写真上:2日目、アヴィレス・ノルテにルートを発見する。チームはGoogle Earthの地図とiPhoneのアプリを使い、もしこのルートに沿って永久的なトレイルを敷くことになれば、パタゴニア国立公園が利用することになるであろう位置を記録した。

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マイル・フォー・マイル、パート2:ランニング

by ジェフ・ブラウニング

 

2日間の106マイルのストーリーを簡潔に語るにはどうすればよいのだろう? それはほぼ不可能だ。生態系を修復したり国立公園を建設するのと同じように、本当にたくさんのステップ、そしてたくさんのストーリーがあるから。

僕らのルートは新しいパタゴニア公園を走るもので、40万エーカーのヘイニメニ国立公園の端にある北のチリ・チコの町から出発し、1日目はヴァレ・チャカブコへと下る。2日目はヴァレ・チャカブコから公園本部へと走り、タマンギト山を登って超えて、タマンゴ国立保護区南部のブナノキの森からコックラン湖の西にある小さなコックランの町へと走り抜ける。

写真上:マイル・フォー・マイル:パタゴニアでのトレイルランニングと環境保護についてのフィルム。ビデオ:Rios Libresとパタゴニア提供

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外で会おう

by クレイグ・ホロウェイ

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シカゴに住んでいたころ、僕はまるで明日はないかのように走っていた。日曜日は長距離、月曜日はその2倍を走る火曜日の準備、水曜日はその週のエンドルフィンのハイライトでイリノイ大学のサークルキャンパスのトラックを脚が悲鳴を上げるまで繰り返し走った。一緒にトレーニングしていた友達がウルトラマラソンについて教えてくれ、挑戦してみたいと思った。僕にとってはじめての50キロのトレイルランニングはケトル・モレイン記念日に行われた。車を避けたり、歩行者の間を縫って走る必要もなく、ゼッケンを付けた選手だけが互いを励まし合いながら松の香りのするシングルトラックを走った。

このスポーツにより一層関わるようになると、100マイルレースでは家族や友達がクルーやペーサーとして参加していることを知った。クルーはエイドステーションで新しいシューズやギアを持って待ち、ペーサーは大きな登りや夜間に一緒に走行し、日の出まで走りつづけるようサポートする。しかしほとんどのレースではランナーは孤独で、誤って角を曲がり、どんなサポートもない場所へ行くこともある。シエラネバダ山脈での50キロで迷ってしまったとき、僕を見つけてくれたユニークなランナーについて話そう。

写真:Jeff Johnson

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マイル・フォー・マイル、パート1:新しいパタゴニア公園に到着【アップデート】

by ルーク・ネルソン

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突風が吹き、ヘネラル・カレーラ湖畔に打ち寄せる水がしぶきを上げる。目を閉じて立っている僕の日焼けした頬に噴霧がひんやりとする。目を開けるとパタゴニアはまだちゃんとそこにある。まるで夢のようだ。長年この場所を目にすることを夢見てきた。そしていま、僕はここですっかり圧倒されている。どんなところなのか、どんな匂いがするのか、どんなふうに感じるのかを何度も繰りかえし想像してきたパタゴニアは、まったく想像以上の場所だ。運転、空港、飛行、空港、ギアの積み込み、そしてまた運転に費やした39時間は霞のように過ぎ去り、いま静けさのなかに聞こえるのは湖に吹く風の音だけ。

4年前、僕はサーモン・リバーのミドルフォーク沿いにあるフランク・チャーチ原生地域の真ん中で非常に過酷なランニングを完走した。歴史的なサーモンの遡上の保護に取り組む〈セーブ・アワ・サーモン〉の活動に注目を集めることを目的に、タイ・ドランシーと一緒に途方もなく長い距離を走ったのだった。自信過剰かつ計画不足だったにもかかわらずイベントは成功し、僕たちが走った248キロのストーリーから多くの人たちが保護の取り組みについて学んでくれた。

写真上:はじめてパタゴニア公園のトレイルに足を踏み入れるパタゴニア・アンバサダーの、ルーク・ネルソン、ジェフ・ブラウニングクリッシー・モール。チリのアイセン地方にあるパタゴニア公園。写真:James Q Martin

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クリーネストライン

アウトドアウェアを製造/販売するパタゴニアの社員、友人そしてお客様のためのブログです。パタゴニアについては patagonia.jp をご覧ください。

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