2015年~16年パタゴニア・シーズン「パタゴニア・ドール」賞

by ロランド「ロロ」ガリボッティ

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先シーズン、パタゴニアでは多くの歴史的登攀がなされたが、僕の「パタゴニア・ドール」賞は私心のない、そして永続する、ある非登攀に贈りたい。

その勢いは2014年後半、僕にe-mailをくれたクライマーのステファン・グレゴリーとともにはじまった。「僕は来シーズン、チャルテンに戻るつもりですが、お返しのために自分の時間をいくらか割きたいと思います。排泄物管理についての計画は何かありますか? 私は既存のプロジェクトを支援するために助成金申請の書類を作ることができます」

写真上:セロ・フィッツロイから下降すると、写真中央右側にラグナ・カプリが見渡せる。チームはウィルダネス・ラトリン・トイレの設営に、ハイカーに人気でエル・チャルテンに比較的近いラグナ・カプリを選んだ。アルゼンチン領パタゴニア。写真:Dörte Pietron

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The Vida Patagonia : パタゴニア・ライフ

by ロランド・“ロロ”・ガリボッティ

ロロと、そして興奮気味のパタゴニアのアンバサダーと数人の仲間たちが、パタゴニアの登攀シーズンからの写真とストーリーをシェアしてくれます。こちらの遠征ページでご覧ください。この地域での登攀遠征を計画中でしたら、皆様の写真に#VidaPatagoniaのタグを付けていただくと、本ページに掲載されます。

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チャルテン山塊の山々はその空を突き抜けるような切り立った岩峰により、世界でも最も印象的なものだ。それらは優れた花崗岩から、ユニークながらも野性的な霧氷の形状まで、クライマーが切望するすべてを有し、東にはパタゴニアの限りない草原、西には広大な氷冠と太平洋のフィヨルドへと落下する巨大な氷河のネットワークという劇的な環境に位置する。

山塊の天候は「吠える40度」と呼ばれる南太平洋を吹き抜ける西向きの卓越風の影響を受け、その困難さと急激な変化で悪名高い。この地域の恐るべき評判は多くのクライマーを寄せつけないが、なかにはそれを刺激的だと感じる者もいる。南半球が夏のあいだ、地球上で最も素晴らしく強烈で楽しいアルパインクライミングを求め、世界中のクライマーがエル・チャルテンに集う。

写真上:パタゴニア2015年シーズン。写真:Mikey Schaefer

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解体

by オースティン・シアダック

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汗まみれの体にホールバッグを担ごうともがくと、それはブタのごとく甲高い抗議のうなり声を上げた。俺はそれよりもさらに大きなうめき声で対抗する。1か月のビッグウォール遠征に必要なロープ、カム、ピン、ビーク、ポータレッジ、テント、食料、燃料、その他諸々を詰め込んだ30キロ以上の重みが、背骨に深く食い込む。俺はすでに、同じようなホールバッグを担ぎ、ベースキャンプまでの約25キロメートルを2往復していた。そんな重荷を背負った俺たちは皆、花崗岩の上で膝をよろめかせ、疲労困憊で重い足を引きずっている。

「あれを見ろよ!」と誰かが興奮して叫んだ。パタゴニアを象徴するトーレス・デル・パイネのビッグウォールが岩だらけのモレーンから突き出し、雲ひとつない青空にサメの歯のようなギザギザの輪郭を描いている。どの面も険しい花崗岩と雪で形成され、尖峰がまぶしい太陽に向かって900メートルもそびえている。俺たちは喜びと信じられない思いで喚声を上げた。1年以上頭のなかを占領してきた岩壁の下についに立ち、夢が実現するのを感じる。いよいよ登攀だ。

写真上:この場所にたどり着き、この風景を見るためにかけた1年もの執着と計画がついに実った瞬間。エル・チャルテンへの道にて。アルゼンチン、パタゴニア Matthew Van Biene

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愛すべきクライミングバカ、今井健司

by 横山勝丘 (パタゴニア・クライミング・アンバサダー)

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ネパールヒマラヤ、チャムランという山の北壁に魅せられた今井健司は、その壁の基部にいくつかの痕跡を残したまま、姿を消した。ヒマラヤの壁のソロ。それが夢だったという。いつもワイワイと楽しく登っている姿からは、まさかそんな夢を抱いていたなんて、想像さえできなかった。ぼくの知らないケンシがまだまだたくさんいたのだと、思い知らされた。

【 写真:横山勝丘 】

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アルパイン・クライミング・アンバサダー 谷口けい

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私たちは今日またひとつ、悲しいお知らせをしなければなりません。 

パタゴニアのアルパイン・クライミング・アンバサダーである谷口けいさんが北海道大雪山系の黒岳北稜で遭難、12月22日に亡くなられました。

谷口さんがパタゴニアのアンバサダーとなったのは2013年のこと。記憶に残る数々の冒険、未知への可能性のクライミング、自身のやりたいことをとことん追求する姿勢、そしてあの笑顔で、私たちに多くの勇気と力を与えてくれる、かけがえのない存在でした。私たちは今回のことが残念でなりません。

 谷口さんのご家族、ご友人、そして谷口さんを思うすべての方々に心よりお悔やみを申し上げます。

 

今井 健司、パタゴニア・クライミング・アンバサダー

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「チャムラン北壁。1981年にR・メスナーとD・スコットというレジェンドたちによって登られた(このときは残念ながら山頂までは行けなかった)巨大な北壁は、その後長いあいだトライされることなく静寂を保ってきた。しかしアルパインクライマーの記憶からこの美しい壁が忘れ去られたわけではなく、現在でも一部のクライマーのあいだでは「古くて新しい魅力的な課題」として、パソコンの遠征候補フォルダーの一角に存在している。かく言う僕もそんな数少ないクライマーの一人だった。この壁をもし一人で登れたらどんなに素晴らしいだろうか……。胸の高鳴りを抑えることが出来なくなった僕はこの秋、未登のラインからこの壁に一人でトライする。」

パタゴニア・クライミング・アンバサダーの今井健司さんが、チャムラン峰(7319メートル)を登攀中、事故に遭いました。未踏の北壁への挑戦のための単独での偵察中のことでした。捜索は11月10日に打ち切られました。

今井健司さんのご家族、ご友人、クライマーの皆様、そしてこの悲しいニュースに胸を痛めるすべての方に心からお悔やみを申し上げます。

今井さんがパタゴニアのアンバサダーになったのは今年2015年の5月でした。冒頭は、12月10日に『チャムラン北壁単独登攀:初登頂を目指して』と題して行われる予定だったトークイベントに際し、いただいた原稿です。

【 写真:中島ケンロウ 】

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バーティカル・セーリング・グリーンランド2014:パート3「文明社会への帰還と登攀概要」

by ニコ・ファブレス 写真提供:ワイルドな一団

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2か月ぶりのシャワーはどう表現したらいいのだろう……うーむ。

グリーンランドの文明社会にたったいま戻ったところ。この3週間はいろんな意味でとにかくエキサイティングだった。冒険的なクライミング、ホッキョクグマとの近接遭遇(しかも丸腰)、そして吹雪のなかで巨大なうねりに揉まれながらのグリーンランドまでの超怖い横断。永遠につづくかのように見えるこの種の旅は、熱いシャワーを浴びてはじめて冒険の終わりを実感する。その分シャワーの気持ちいいこと。

(編集者記:シェプトン船長とワイルドな一団の旅のパート1パート2もお読みください。)

3週間前、僕らはサム・フォード・フィヨルドを出てギブス・フィヨルドの探索へと向かった。サム・フォード・フィヨルドの強烈な天候はついにやわらぎ、青空が顔を出した。デッキで気持ちよく日光浴をしながら山々やビッグウォール、フィヨルドに浮く氷河や氷山の神秘的な景色を満喫した。しかし9月初旬だったので日に日に気温が下がり、日焼け止めを塗る部分はどんどん小さくなっていった。

写真上:ギブス・フィヨルドのプランク・ウォールで雪に埋もれていない「Walking the Plank」のオフィズスを楽しむニコ。

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バーティカル・セーリング・グリーンランド2014:パート2「悪天候、船上コンサート、夜間の登攀」

by ニコ・ファブレス 写真提供:ワイルドな一団

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バフィン島に着いてから3週間が過ぎた。(編集者注:パート1はこちらをご覧ください。)最初に出会った地元住民は海岸から何キロメートルもはなれた叢氷の上を漂流している8頭のホッキョクグマだった。深い霧のなかで砕けた叢氷の合間を縫うように走っているときのことだったので、かなり驚いた。

クライド・リバーに立ち寄ってカナダへの入国手続きを終えたあと、サム・フォード・フィヨルドのビッグウォールに向かって出帆した。そしてすぐに巨大な岩壁の多さと、ここがほぼ手つかずの状態であることに驚愕した。ものすごくワイルドで、美しく、力強い。そしてそれとは対照的に僕たちは小さく、弱々しく感じる。

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バーティカル・セーリング・グリーンランド2014:パート1「ウマナックでのウォームアップと壁で過ごした24時間」

 by ニコ・ファブレス 写真提供:ワイルドな一団

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2014年7月15日。またまたエキサイティングな冒険に出発だ! 船長のボブ・シェプトン師は、僕たちワイルドな一団(ショーン・ヴィラヌエバ、オリビエ・ファブレス、ベン・ディト、そして僕)がジャムセッションとビッグウォール登攀のためにドドズ・デライト号に戻ってきたことをとても喜んでくれている。前回ボブと一緒にグリーンランドへ遠征してからすでに4年が過ぎていた。今回は船長のために楽器も釣り具もウイスキーもどっさり持ってきた。どれもバフィン島東岸のフィヨルドにある巨大なビッグウォールでの音響テストという新たな任務を全うするのに役立ってくれるだろう。

1週間前にアシアートを出航してから、良いときもそうでないときもあった。残念なことにワールドカップの決勝戦を見逃し、そしてまだ氷が十分に溶けていないためにバフィン島側へ横断できないのだ。船長がしびれを切らし、大変なリスクを冒してでも僕たちをバフィン島に連れて行くんじゃないかと気が気でない。万一、叢氷と押し寄せる潮流のなかで座礁したら、ドドズ・デライト号はほぼ間違いなくつぶれて沈没するだろう。とはいえ、僕たちの船長はこの手の状況は重々承知のはず。なぜなら船長はグリーンランドに2艘の帆船を持っていて、なんとそのうちの1艘は「水中深く」にキープしてあるのだから。

写真上:ドドズ・デライト号での前回の遠征から4年。ここに戻ってきたことに興奮しているワイルドな一団と船長のボブ・シェプトン師。

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ジャンボ・ワイルド:「我ら人民」

 by エリエル・ヒンダート

  

注意して見ていなければ見過ごしてしまうものがある。

朝日のなかでコロンビア・リバー流域からパーセル山脈を見渡していると、ラジウム・ホットスプリングスにある地方自治体事務所を通り過ぎてしまう。それは人間の存在がたんなる星印のように思えるこの限りない自然の世界ではむずかしいことではない。

編集者記:街頭デモからオンライン嘆願書への署名までアクティビズムにはさまざまな形態があります。私たちにできる最も重要で効果的なもののひとつは公聴会での発言です。今回の投稿はブリティッシュ・コロンビアに提案されているジャンボ・グレイシャー・リゾートについての今年はじめの公聴会からのもので、ジャンボ・バレーをめぐる25年の闘いのたったひとつのエピソードです。私たちはこのストーリーを、スウィートグラス・プロダクションとパタゴニアによる長編映画『Jumbo Wild』の発表にともないお届けします。映画のリリースとともにパタゴニアは地元の環境保護団体〈ワイルドサイト〉と密に協力し、ジャンボ・バレーの開発の阻止と永久保護に取り組みます。映画のツアー日程、予告編、ジャンボを野生のままに保つための行動についてはPatagonia.com/japanでご覧ください。

その建物は引き返すとやっと見つかる。オフホワイトで、小さな看板があり、公共施設というよりは住居のようだ。ここが最近できたジャンボ・ワイルド・マウンテン・リゾート自治体のための一般の意見聴取の足場。公衆が存在しない地域における公聴会のようなもので、提案されているジャンボ・マウンテン・リゾートの方向について懸念を抱く人びとが情報や意見を表明するのに5分が与えられる。

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クリーネストライン

アウトドアウェアを製造/販売するパタゴニアの社員、友人そしてお客様のためのブログです。パタゴニアについては patagonia.com/japan をご覧ください。

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