海の呼吸がとまる前に

by 赤井絵理(パタゴニア横浜・関内

マイクロプラスチック
「私たちがいま生きている地球は、もはやプラスチックスープどころではない。プラスチックスモッグだ」 これは昨年、日本で25年以上海洋ゴミとその環境保全の活動に深く関わってきた一般社団法人JEAN が主催、パタゴニアの環境インターンシップ・プログラムを通じて、私がその通訳兼運営スタッフとして参加した、第14回海ごみサミット三重会議で、アメリカの海洋環境研究所5Gyres 代表マーカス・エリクセンが行ったプレゼンテーションでの一幕。彼の言葉を聞いた瞬間、とっさに自分の呼吸を意識してしまったのを覚えている。地球の7割以上を占め、何百年という歳月をかけて循環し、酸素を作り、たくさんの命を宿す海は、まさに地球の心臓のような存在だ。

【 沖縄北部の嘉陽の浜で拾ったマイクロプラスチック。全写真:赤井絵理  】

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次の世代に繋ぐために

by 中山翔太(パタゴニア 東京・神田

夏の虫取り

幼いころ、何もない草原で虫とりをしたり、外で夢中になって遊んだ記憶はありませんか?昔は当たり前にあった自然も、いまでは「貴重」な自然になっています。足元にある小さな植物も、もしかしたら絶滅する危険性がある植物かもしれません。

【 夏の虫取り。子供たちがのびのびできる自然がここ三つ又沼ビオトープには残っています。 写真:松並三男 】

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小さな種を未来へつなぐ

by 佐藤 博美(パタゴニア 仙台)

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生命の多様性をもつ「固定種・在来種」が姿を消そうとしています。地球の未来に健全な生命を残すため、風土に合った郷土の種をふたたび生み出し、多くの方と共有して、未来の子供たちにつなげるために活動する――このミッション・ステートメントを胸に持続可能な農業を営む岩手県雫石町在住Cosmic Seed代表の田村和大さん。農業をはじめてから今年で丸5年、Cosmic Seedを立ち上げてからは4年になります。

田村さんが農業をはじめるきっかけとなったのは、毎日忙しく働き、過労で体だけではなく心も壊してしまった東京でのサラリーマン時代。そんな苦しいとき、いちばんの理解者であり、当時オーガニックの食材を扱う会社に勤めていた妻の佳世さんの支えにより体調が回復するにつれて味覚が戻ったとき、おいしいものを食べられる喜びから食の大切さを身に染みて実感したこと。それが大きな転機となりました。田村さんの実家は盛岡で農業を営んでいますが、野菜を作るために自分なりに栽培方法などを勉強し、2011年3月1日に実家のある岩手に戻りました。そしていざ農業をはじめようとした矢先の2011年3月11日、東日本大震災が起こりました。このときすべての物流がストップ、注文していた農業資材や種も入荷してこない状況に。種の自家採種、そして自然栽培という農法が最良だと考えた理由はその経験にありました。さらには作るのも食べるのも、その土地で長く栽培されてきた固定種・在来種の方が理にかなう、そういった思いもあり、地元の野菜の種を扱う種屋から種を自家採種してもよいという了解を得て購入し、固定種・在来種の栽培を開始しました。

【 写真上:紅いずみ大根の種採り作業。房の中にゴマより少し小さい種が一列に並びます。よく乾燥させてから、カラカラの状態で、足踏みや手でこの小さな種を採りだします。写真:佐藤 博美 】

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市民からはじまる小さなうねり

by 木村 芳兼(パタゴニア アウトレット東京・目白アシスタントマネージャー)

集合写真

「エネルギーを選択するということは地域に愛着をもつこと」 という言葉が心にストンと落ちた。2013年4月、パタゴニアの吉祥寺ストアで開催されたGo Renewable - 「いまあらためて再生可能エネルギーを活かして」 『シェーナウの想い』フィルム上映会&トークイベントで、元国立市長で脱原発を目指す首長会議の事務局長を務める上原公子さんがおっしゃっていた言葉だ。そのときに心がスッとなったと同時に背中を押してもらい、いまなお大事な支えとなっている。

2007年、渋谷ストアで働いていた私がストアの環境担当をしていた当時、宮下公園を出発点として青森県六ヶ所村における再処理工場建設反対のデモが行われていた。ストアから近かったこともあり、よく参加していた。宮下公園周辺を「NO NUKES」と書かれたプラカードを持って初対面の方と同じ言葉を叫びながら練り歩いた。そこからのつながりで原子力発電に関する反対運動のイベントなどにも参加するようになり、イベント後もかならずプラカードを持って歩いた。何かに反対したり、訴えるデモ活動は全国で大なり小なりあると思う。自分にとってはじめて行った社会活動はエネルギー問題だった。

[ 静岡県地球温暖化防止活動対策推進センターが主催する『地域の自然エネルギー活用と温暖化防止を考える』温暖化防止研修会終了後の集合写真 写真:〈しずおか未来エネルギー〉 ]

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アルバトロス・アドベンチャー

by 加藤 ゆかり(パタゴニア アウトレット東京・目白スタッフ)

アルバトロス

その羽は白くて柔らかそうで、でもその翼はとてつもなく長くて、そして力強かった。私の見た、野生のアホウドリの最初の印象だ。

私は2014年11月、日本の小笠原諸島の小さな島、聟島(むこじま)に再び降り立った。パタゴニアのインターンシップ・プログラムを利用して絶滅危惧種のアホウドリのモニタリング調査をするためだ。朝から夕方までのタイムシフト制で、交代で繁殖地から浜を隔てて300メートルほど離れた観察サイトから行動を15分おきに記録し、特徴的な行動が見られたときは望遠レンズの付いたカメラで撮影する。

親鳥がわが子を羽毛の下に包み込んでやる。寒さや風や外敵からわが子を守る。昔のヒトはこれを「羽ぐくむ」と呼んだ。それは給餌とともに、親鳥がひなを育てるうえで欠くことができないこと。私はアホウドリが健気に卵を抱くようすを、何時間でも見ていることができた。

[ 長くて白い翼を力強く広げるアルバトロス 写真:山階鳥類研究所 ]

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サーフィン、フィッシング、トレッキング……私たちのアウトドアアクティビティと日本の9万基のダム問題

by eコマース(丘、福島、森竹)

野営ー大a【美しい星空の下。その野営地に立ちはだかる砂防ダム】

皆様は「砂防ダム」という言葉をご存知だろうか。上の写真が砂防ダムである。トレッキングやフライフィッシングやキャンプなどに出かけたとき、一度くらい目にしたことがあるのではないだろうか。

砂防ダムは日本全国に約9万基ある。その圧倒的な数の存在とそれがもたらす悪影響を、私たちはあまり知らずにいた。滝のようなその姿の人工物を砂防ダムと呼ぶということを知ったのは、環境インターンシップ・プログラムを利用してサポートしている<渓流保護ネットワーク・砂防ダムを考える>の田口さんとお会いしてからだ。前述したように砂防ダムは日本全国に約9万基あり、その建設目的は土砂を貯め、災害を防止し、下流にある貯水ダムの堆砂を防ぐことにある。小学校では砂防ダムは土砂災害を防止するものであり、人びとの安全を守るためだと教えられる。一基の建設に数百億ほどもかかり、村をまるごとつぶしてしまうような貯水ダムとは違って、数億から数十億程度で建設できる砂防ダムは一基の予算が低く、貯水ダムのように問題が表面化されにくい。だがそれゆえにおびただしい数が建設されるため、環境や私たちの生活への悪影響という点では砂防ダムも見過ごせない。

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荒川の大草原を守るために:グループインターンシップでの取り組み

by パタゴニア 東京・神田
 
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今年度、 神田ストアではインターンシッププログラムを利用してNPO法人「荒川の自然を守る会」へのサポートを実施することになりました。神田ストアは「ボイス・ユア・チョイス」を通して過去4年にわたりこの草の根団体を助成してきました。インターンシップの期間は2014年6月~2015年4月で、ストアスタッフ全員で所定の時間を共有し、有給でこの団体の活動に参加します。

今回サポートすることになったNPO法人「荒川の自然を守る会」は、荒川周辺に残された自然を21世紀に生きる子どもたちに引き継ぐ大切な財産として保全していくことを目的とし、埼玉県上尾市を中心に20年以上にわたり地道に活動をつづけてきた市民団体です。

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パタゴニア国立公園の建設:パタゴニア社との10年にわたるパートナーシップ

by コリン・パイル&アリソン・ケルマン

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ここアメリカ北東部にもやっと春が訪れ、花が咲き、鳥が戻り、ついに防寒着を脱いで日光を楽しむことができるようになりました。パタゴニアから戻ってきてひと月が経ついまも、自分の一部を置いてきたような気がしています。今年の2月と3月、アリソンと私はコンセルバシオン・パタゴニカで3週間のボランティア活動をしました。私たちは責任あるビジネスと環境危機への解決策を講じることに忠誠を抱くアウトドアウェアの会社、パタゴニアで働いています。この旅をするまで私たちは一度も会ったことがありませんでしたが、公園で他のボランティア・グループのメンバーたちに加わったとき、この仕事のコネクションは私たちを古い友人のような気にさせました。

パタゴニアの会社名はパタゴニアの地にちなんで付けられています。このような野生の地形にふさわしいウェアやギアを作りたいという望みから生まれたのです。パタゴニアとコンセルバシオン・パタゴニカとのパートナーシプにより、私たちは人生最高の旅をするチャンスを得ることができました。毎年数名の社員が(最高で2か月間も!)仕事をはなれ、非営利の環境団体でボランティア活動をするチャンスが与えられます。活動を終えて戻ってきたときに職を失う心配をする必要もありません。

 [写真上:まもなくパタゴニア国立公園となる場所。写真:Colin Pile] チャカブコ・バレーの上でグアナコ・トレイルを歩く。写真:Colin Pile  

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大根からグリーンピースへ:インターンシップ・プログラム活動報告

by 寺倉聡子 (パタゴニア日本支社 マーケティング部)

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東日本大震災のあった年の秋、気仙沼の仮設住宅へ、つづく道を歩いていたとき、民家の庭先に青々とした葉を茂らせた大根を見た。新鮮で、いかにも美味しそうだった。しかし、放射性物質で汚染されているのかもしれない……と考えた。五感で察知できない放射性物質という危険物を右脳が理解した。その瞬間、身の毛がよだつような恐怖に襲われた。あのとき、再生可能エネルギーを増やして脱原発へ向かう、自分にできる行動を「実際にやらなくては」というエンジンがかかった。

その後、地元鎌倉で地域からエネルギーシフトを目指すサークルに参加し、節電のためのアンペアダウン活動やミニ太陽光発電キットを作るワークショップなどにも参加した。しかし平日はフルタイムでパタゴニア社での勤務がある。脱原発を目指すさまざまな活動のニュースを横目に見ながら、「いま、私はこの仕事をしていて、いいのだろうか?いま、やらなければならないことが他にあるのでは?」と自問することもあった。そして国際環境NGOグリーンピース・ジャパンで活動するためにパタゴニア社のインターンシップ・プログラムに応募し、同団体での勤務が承認された。申請が受理されたというメールを見たときの喜びはいまでも忘れない。これで平日の昼間であっても再生可能エネルギー普及のための活動をすることができる。大げさなようだが、心が解放され、気持ちが楽になった。

【 上:マイクロ小水力発電機「すいじん3号」を開発中の(株)マルヒの皆様 全写真:寺倉聡子 】

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奇跡の海 - 上関の海と人に魅かれて

by 齊藤 知子(パタゴニア日本支社ダイレクトセールス)

上盛山から長島と祝島

山口県熊毛郡上関町。この町にある長島という島の先端の田ノ浦には、冬のとても短いあいだ海のなかに黄色いお花畑が広がる。『風の谷のナウシカ』に出てくる「金色の大地」のような景色だが、もしかすると今年かぎりで見られなくなってしまうかもしれない危うい状況に置かれている場所だという。パタゴニアの『Fall 2010』カタログのエッセイで目にした、スギモクという海草の写真。原子力発電所建設予定地になっているこの場所に広がる景色を実際に見てみたいと思った。

上関町にはこの長島や有名な祝島の他に、宇和島や鼻繰島など小さな島がたくさんある。静かな瀬戸内海に島々がぽっかり浮かんだような景色を船から見ると、なんだか心が安らぐ。国立公園である瀬戸内海では自然のまま残る海岸線が約20%だが、長島の海岸線は約70%が自然のまま残っている。田ノ浦のすぐそばにある鼻繰島は、夕暮れどきの島のシルエットがとてもきれいで、どことなくパタゴニアのロゴのフィッツロイにも似ている。また室津から少しはなれた八島は、船をつけた港のなかでもとくに透明度が高く、魚がたくさん見えた。宇和島には希少種の海鳥、オオミズナギドリが生息する。本来は餌を探して700キロも旅をする鳥なのに、宇和島のオオミズナギドリは短距離しか移動しない。それはこの海の豊かさの証でもある。天然記念物のカンムリウミスズメや30年前と比べると数が一割ほどにまで減ってしまったというスナメリも暮らすことのできる場所。瀬戸内海にわずかに残された鳥や魚や小さな生き物たちの命のゆりかごとも言われる場所。長島のまわりの海は「奇跡の海」と呼ばれている。島々の海岸線がそのまま海へ落ちる。そんな島が幾重にも重なる奇跡の海をはじめて見たとき、神々しいという言葉がぴったりだと思った。

[ 上盛山から見た長島と祝島 写真:齊藤 知子 ]

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クリーネストライン

アウトドアウェアを製造/販売するパタゴニアの社員、友人そしてお客様のためのブログです。パタゴニアについては patagonia.com/japan をご覧ください。

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