海が変えた僕の人生について

by 眞木勇人(パタゴニア・サーフィン・アンバサダー)

IMG_7213

先日、キース・マロイ監督の映画『FISHPEOPLE(フィッシュピープル)』を観る機会に恵まれました。映画はパタゴニア・アンバサダーでもあるキミ・ワーナーやタヒチのビッグウェーブサーファーのマタヒ・ドローレなど、「海」によって人生が変わった6名の人物のリアルライフスタイルドキュメンタリー。今回この映画を見て思ったのは、海と関わる皆それぞれが「海」との特別なリレーションシップがあるということ。私も例外ではなく、海から多大なる影響や恩恵を受けている。今回は私自身と海との関係について少し書いてみようと思います。 

【 台風スウェルの沖縄にて。波は、海と大自然からのおくりもの。写真:Daichi Sato 】

続きを読む "海が変えた僕の人生について" »

ナノグリップと私の「脱げない」関係

by 岡崎友子

IMG_7117

私にとって水着とは、普通の服よりも多くの時間をともにする関係と言っても言い過ぎではない大切なもの。サーフトリップ、いやじつは普段から下着をつけるのはあまり好きではなく、代わりに水着を着ていることはしょっちゅう。だから脱げません。そして出掛ける用事や人と会う約束がないときなどは、海から帰ってきてシャワーを浴びたらもうパジャマみたいな格好が多いので、人前で着るもののなかでは水着にいちばん気を使います。

まあ、言ってしまえば仕事着のようなものでもあり、自分がやっていることをサポートし、よく見せてくれる手助けもしてくれる大事なものでもあります。だからこそ、水着にはこだわりたい。多くの女性が服のおしゃれにこだわるように、自分に似合う、自分らしい色やデザイン、体型をカバーするデザインを選びたい、動きやすくずれないこと、そして何よりハッピーになれる、モチベーションを上げてくれるくらい気に入っていて脱げないものを着たいと常々思っています。

そんなことから大学生のころ、水着を作りはじめました。誰も着ていない柄で作りたいけどオリジナルのプリントなど作れる資金も規模もなかったので、一枚一枚ハンドペイントでオリジナルの柄を描いて作っていました。自分の体型(チビ、お尻が大きいのに扁平で垂れている、大根足、腕が太い)をカバーし、少しでも格好よく見えるカッティングなどを研究し、一年中見る景色やふとした出来事などから柄を考えることも、大変ではあったけれどとても好きでした。

【 25年くらい前、私がデザインした柄のラインアップ。ハイレグなのが時代を物語るけど、じつは今年、ワンピースやハイレグがカムバックしている。流行はめぐり巡ってくるから、Worn Wearも取っておくのは正しい。全写真:岡崎友子 】

続きを読む "ナノグリップと私の「脱げない」関係" »

ルートはつづく

by ソニー・トロッター

Top
「ソニー、ホールドがなかったらルートにはならないよ」アレックスがそう下で叫んだ。ハーネスを着け、気楽な様子で笑顔を浮かべて、俺を眺めている。僕はア レックスが握っている9ミリロープの先の空中18メートルあたりで、傾斜のきついのっぺりとした青白い石灰岩に突起らしきものを探していた。背後には谷底までの約300メートルに広がる森が、曲がりくねった青緑色のボウ・リバーに縁取られている。氷河からの水に満たされたこの川は、壮大なカナディアン・ロッキー山脈の真んなかにあるバンフ国立公園の、その真んなかにあるバンフのダウンタウンの、さらに中心を流れている。息を呑むほどの絶景の山々に囲まれているにもかかわらず、僕が凝視しているのは頭上にある次の1.5メートルの岩の盾だった。

「大丈夫、アレックス。ハードだけど絶対にやれるって!」と叫び返してから、 「俺がやるんじゃないけどね」と小声でつぶやいた。

【 「ザ・パス(5.14r) 」上のアレックス、地上から 最初のトライ。カナダ、バンフ 国立公園、レイク・ルイーズ。写真: Ken Etzel 】

続きを読む "ルートはつづく" »

2007年にホクレアが日本にやって来て、今年でちょうど10年になる。

by 金子 duke

ニコン 029
僕はいつも海に出るたびに、ホクレアからの宿題をいまでも自分に問いかけつづけている。

陸のスピードに流されて生きていないだろうか?
テクノロジーという箱のなかだけで生きていないか?
僕らは海とつながっているだろうか?

僕は、10年前のホクレアとの出会いによって、魂の、心の目が開かれ、自分を、世界をみる目が変わったのだった。

【 全写真:yaguraphic 】

続きを読む "2007年にホクレアが日本にやって来て、今年でちょうど10年になる。" »

にわか仕立て

by カール・ゾック

Top

僕らは切望していた。誰も通った形跡のないシングル・トラック、過酷な登り、冷や汗ものの下降、孤独、そして泥……。友人4人と、荷物満載のマウンテンバイク(速攻で詰め込んだサバイバル・スタイル)、曖昧な計画と限られた時間。濃縮された時間のなかで制限を付けずにトレイルがどこへつづくかを見てみようということで、全員が同意していた。1か月どころか、1週間でもない。にわか仕立ての1泊という時間で、僕らはなんとか求めていたものを見つけることができた。コロラド州クレステッド・ビュート必見のトレイルのちょいと先で過ごした時間は、僕らの欲望を十分に満たしてくれた。それは無論、次回までの話だが。

【 ダウンヒルをかせぐリンジー・プラント、ザック・スミス、タラ・アバティキオ。スター峠までの上りはほぼ4キロのスムーズな下降と、笑顔で痛くなる顎の筋肉という巨大な見返りをもたらす。写真:Carl Zoch 】

続きを読む "にわか仕立て" »

ウーリー、きみはもういない。

by スティーブ・ハウス

Top
世界中のクライミングのコミュニティと同じように、パタゴニアも著名なスイスの登山家、ウーリー・ステックが2017年4月30日にネパールで逝去したニュースに深い悲しみを抱いています。アルピニストのスティーブ・ハウスが彼への思いを綴ってくれました。

「ある程度のリスクを冒す価値のある夢もある」
—ウーリー・ステック

ウーリーは僕にとってこれまで、そしてこれからもリーダーでありつづける。彼は改善し、鍛錬し、自分に試練を与え、再発見しつづけるための絶え間ない動機を内に秘めたビジョナリーだった。ウーリーは人生そして登攀についての偉大かつ深淵なストーリーを綴った。彼は自身の人間性、謙虚さ、誇り、そしてエゴをよく知るようになった人間で、この世界では稀な、ある種の体得した知恵をもっていた。彼は僕らに多くを教えてくれた。彼の物語の突然の終焉により、この世界は貧しいものとなった。人生の次の40年でアルピニズムを通して彼が学んだことを、僕らは聞く必要があったのだ。

【 フレンチ・アルプスのモンブラン・デュ・タキュール(4,248メートル)のスーパークーロワールを登るウーリー・ステック 】

続きを読む "ウーリー、きみはもういない。" »

スリランカへの再訪

by ベリンダ・バグス

Top

ほぼ10年ほど前、永遠に割れつづけ、見渡すかぎり人っ子ひとりいない神秘的なポイントの話を耳にしました。そんな話を聞いてぜひとも行ってみたいと思わないサーフィン中毒者がどこにいるでしょう。それがたとえ渡航勧告を無視し、内戦によって不安定な状況がつづく地域に足を踏み入れることであっても。

若くて経験もなく、ほぼ間違いなく愚かだった私は、数人の友人とともに旅に出て、アルガムベイで人生最高の波を体験しました。そこはスリランカの南東沿岸に位置し、時間が緩やかに流れる漁村でした。2004年のインド洋大津波から1年が経っていた当時、長年の武力紛争に苦しんできたこの地域は、やっと一般市民に開放されたところでした。

軍による検問はひんぱんにありました。車内で昼寝をして目を覚ますと、AK-47ライフルを頭に突きつけられながら、車の上に積んでいる荷物について質問を受たりもしました。それはこの旅は間違っていたと思うに十分な体験でした。でも車の上にあるのはサーフボードだけだと伝えると、彼らは笑顔とシャカサインで別れを告げていきました。これらはスリランカ人をうまく象徴している体験だと思います。彼らは戦争の真っ只中でも、笑顔を分かち合うことを忘れていませんでした。

【 「家を離れる私の旅の中心は、たいてい冒険と波の追求。この旅も、スリランカの暖かい水と神秘的なポイントブレイクの再訪として、ほぼ同じようにはじまったの。 でもパタゴニアがフェアトレード・サーティファイド製品をここから調達すると知って、それらがどのように作られているかを見る機会にも飛びついたわ」 写真:Jarrah Lynch 】

続きを読む "スリランカへの再訪" »

The More Things Change (変われば、変わるほど):ジェリー・ロペスのウルワツ・トークストーリー

by ジェリー・ロペス 

Top

ジェリー・ロペスがはじめてウルワツでサーフィンをしたのは1974年のことでした。バリの伝説的な波は美しく魅惑的で、辺りは閑散としていました(詳細は後述)。そして40年後、ジェリーはそこでヨガの合宿を主催し、教室の合間に波に乗り、ウルワツを次世代に残す保護活動を支援するため、戻ってきました。この短編ドキュメンタリーでは、ジェリーがウルワツとサーフィンを変化の隠喩として使いながら、ブキット半島、バリ、そしてサーフィンを越えた多様なメッセージを伝えています。ネイサン・マイヤーズ監督の『The More Things Change (変われば、変わるほど)』は、ジェリー・ロペス、デーブ・ラストヴィッチ、ロブ・マチャド、リザール・タンジュンのサーフィンにスポットを当てています。

【 ウルワツの崖を背景にボトムターン。この頃はまだ丘の上にホテルを建てようと考える者すらいなかったはずだ。写真:Dana Edmunds 】

続きを読む "The More Things Change (変われば、変わるほど):ジェリー・ロペスのウルワツ・トークストーリー" »

走りゆく公園

by ケイティ・ミラー

Top
起きぬけのボーッとした状態で寝袋に入ったまま、 足元のジッパーだけを開けてキャンプのキッチンに ヨロヨロと歩み寄り、仲間と朝の挨拶を交わした。 肌寒かったけれど、荷物を軽くするためにウェアは 最小限しか持ってきていなかった。

私は寝袋から手を出して、温かいコーヒーを握った。すると東の霞のなかに、2頭の雄のバイソンが姿を見せた。高く生い茂った草のあいだをぶらつく彼らを、私たちは無言の驚嘆で見つめた。待ち受ける長距離のことを考えると、これは幸先のいいス タートに思えた。私は驚嘆するのが大好きだ。

私たちはランナー、写真家、ローカルから成る チームで、メンバーはジャスティン・アングル、ウォーカー・ファーガソン、ボー・フレッドランド、フレド リック・マームセイター、私の5人。モンタナ州クッ ク・シティからイエローストーン国立公園の中心地オールド・フェイスフルまでの225キロメートルを5日間で走る、バックカントリートラバースをしていた。前日に出発した私たちは最初の48キロメートルを消化。「野生」の意味の世界共通の概念を象徴する、この野生の縮図のなかで展開する環境や政策にまつわるストーリーを、現場で直接体験することが目的だった。

【 5 日間で 225 キロ メートルを走る旅には、類い稀な 地形がたっぷり含まれている。 ショショーニ・ガイザー・ベースン を駆け抜けるケイティ・ミラー、 ボー・フレッドランド、ウォーカー・ファーガソン、ジャスティン・ アングル。ワイオミング州イエローストーン国立公園 】

続きを読む "走りゆく公園" »

無形資産

by ジョシュ・ワートン

Top
風が岩壁の上から雪の波を吹き落とし、すでに霜で 覆われた岩面にもう一層の滑りやすい雪しぶきを被せた。 俺は雪をかわすために頭を下げ、凍ったフィンガーロック に挟み込んだ血と雪にまみれた自分の指を見た。

指は実際そこにあるのだが、感覚はほぼ 1 日中まったくなかった。足の指は窮屈なクライミングシューズのなかでとっくに肉の塊と化している。相棒のスタンリーはダウン・ジャケットを何枚も重ね着し、ビレイ地点でうずくまっていた。おそらく、俺なんかに出会うんじゃなかったと後悔しながら。ジョン・ディッキーは右数メートルの空中でフィックスロープにぶら下がり、半狂乱でカメラを雪から守ろうとしている。いったいどうしてこんな愚かしい状況に陥ったのだろうか。

【 「ダン/ウエストベイ・ダイレクト」のジョシュ・ワートン。コロラド州ロッキー・マウンテン国立公園のロングス・ピークのザ・ダイアモンド。写真:Chris Alstrin 】

続きを読む "無形資産" »

クリーネストライン

アウトドアウェアを製造/販売するパタゴニアの社員、友人そしてお客様のためのブログです。パタゴニアについては patagonia.jp をご覧ください。

クリーネストラインとは

RSSフィード

Twitter

© 2013 Patagonia, Inc.