新しい砂防ダムよりずっといい:スリット化で一石三鳥

by 山口高広 (パタゴニア 白馬/アウトレット

【白馬村にある平川の砂防ダム 撮影:田口康夫】

川の近くでキャンプをしたとき、渓流釣りをしたとき、また山歩きの休憩でふと小川に立ち寄ったとき……、上の写真のようなダムを見たことがあるのではないでしょうか。

ダムには貯水、治山、発電など、さまざまな用途がありますが、上の写真は川の下流へ急激に土砂が流れ込むのを防ぐ、いわば土砂災害を防ぐための砂防ダムです。砂防ダムは土砂を川の途中で貯め、下流まで一気に流れ込むのを防ぎます。しかしやがてそのダムも土砂でいっぱいになります。いっぱいになるとその川底が緩やかになるため、土砂の供給量が抑えられて急激な流れを防ぐという働きもあります。下流への土砂の急激な供給は抑えられるものの、砂防ダムが貯めることのできるその調節量は極めて少なくなるため、同じ川にまた新たな砂防ダムを建設して機能を保たなくてはなりません。下流に住む人びとの生活を守ろうとすると、砂防ダムの建設に終わりはありません。

では一方で、砂防ダムによって下流への土砂の供給が抑えられてしまうことで、どういう問題が発生するのでしょうか。現在起きているいくつかの影響を紹介します。

【 白馬村にある平川の砂防ダム 写真:田口康夫 】

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パリ・プロジェクト:国連気候変動会議の第1週を振り返る

by イーサン・スチュワート

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昨年11月のほぼ1か月、全世界がパリに注目していた。まず、感謝祭のわずか2週間前に起きた平和を打ち砕く純然たる野蛮行為が、僕ら全員の心の中心に光の都を照らし出した。そしてまだその傷が生々しく世界中の人びとを恐怖に陥れるなか、近代において最大ともいえる環境のための集会が開かれた。この地球において記録上最も温暖な2015年(そしてそれは同じ栄誉を獲得した2014年のわずか1年後)が終わりを告げようとしていた。好むと好まざるにかかわらず、この惑星は変化し、世界中から194か国がそのために何かを試みようとパリに集った。

写真上:会議中は警備上の懸念から公衆の集まりは中止されたが、アーティストたちのコミュニティが多くの人に声をもたらすクリエイティブな方法を創出。アーティスト兼研究者のヤン・トマによるディスプレイ、#HumanEnergy 写真:Kodiak Greenwood

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いちグローバル企業としていまもTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に反対します。

by ローズ・マーカリオ、パタゴニア CEO

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環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)が高額な医薬品価格の保護を抑制し、タバコ会社が地元の反喫煙法案を負かす援助をする法的制裁を削除したというのはうれしいことです。長年吹聴されながらも一連の貿易協定では施行されなかった、より優れた労働者の保護や、野生動物を経済的搾取から保護することも新しい協定の一部かもしれません。

しかし、TPPが行政による調整、ビジネスと一般からの支持獲得のためのホワイトハウスの活動、そして最終的な連邦議会での投票という次の段階に入るなかで、TPPに反対する私たちの立場は依然として変わりません。12か国にわたる地域での潜在的な関税削減による経済的恩恵を得られるとしても、です。

最大の問題はTPPの秘密対応です。ファスト・トラック認可は部分修正もないまま議会で信任投票され、そして法律となるまで交渉は非公開で、一般からのコメントも受け付けないまま行われることができます。だからこの協定について私たちの誰もが知ることは、すべて又聞きであり、良いニュースも悪いニュースも推測に過ぎません。これは透明性とは正反対で、薄弱な民主主義といえます。いまから20年後、私たちの子供たちが、この慣行がかつて容認できるものと考えられたことに首を振る様子が想像できます。

地図:フットプリント・クロニクル

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変わらないジャンボ

by アレックス・ヨーダー

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迷った感覚。救援からはるか遠くの場所にいる感覚。店からもモーターエンジンからも人間からもはなれたところに存在する感覚。僕は理解をはるかに超えた巨大な世界にいる。目に見えるものだけが存在するすべてで、まだ見ることのできない何かを発見するために生きている。1日は明と暗の2種類の時間しかなく、食事は肉体の燃料であり、舌のダンスのためのものではない。寒さは身を裂き、太陽は叱る。それは近代技術が必須でないものや便利なものを紹介しはじめる前がどんな暮らしだったかをうかがわせる。

その一方で、いまは2015年。僕は自分の居場所を知らせる機器を持つ。不慮の事故が起きれば僕の声を宇宙の衛星に反射させて救助を求めることのできる携帯電話を持っている。それでも僕の心にはすべての快適さと非常用装置を抹消させるだけのロマンスが存在する。心のなかでは、僕は自由で野生で迷うただの動物だ。

写真(上):ジャンボ峠付近のアレックス・ヨーダー。カナダ、ブリティッシュ・コロンビア州 写真:Steve Ogle

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シエラ・ハイルートでの災難スタイル

by ルーク・ネルソン

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凍えて目覚めるというのは何か不安を掻き立てるものがある。僕は寝返りを打ち、1ダースほどの腹筋をして体を暖め、ふたたび眠りにつこうとした。僕の動きで目覚めたコーディが腕時計のライトを押した。

「もうすぐ4時だ」と僕はつぶやく。

「しばらく寒さに堪えていたよ」と彼が返事をした。

「僕も」と応える。「動きはじめようか」

そうしてみずから「災難スタイル睡眠システム」と名付けたエマージェンシー・ブランケット、ダウン・パンツ、ダウン・ジャケットから這い出し、ふたたび走る準備をはじめた。シエラ・ハイルートの314キロをなるべく早く完走するという旅の2日目で、僕らはこてんぱんにやられていた。

写真上:起床時間。全写真:Luke Nelson

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〈レインフォレスト・リリーフ〉:パタゴニアのソーホー店社員がアマゾンの熱帯雨林を救うためにコニー・アイランドを登った理由

by ヤシャ・ウォーリン

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1988年はヤンキースが24度目のワールドシリーズで全勝し、副大統領アル・ゴアが京都議定書に象徴的に調印し、スタンフォード大学の博士過程の学生2人がグーグルという小さな会社を設立した年。それはまたパタゴニアのソーホー店の前社員アーロン・ペッツとティール・アケレットが他の3人のアクティビストとともに、コニー・アイランドの75メートルのパラシュート・ジャンプタワーを登った年でもある。その目的は「ニューヨーク市の公園部署へ:ボードウォークとベンチのために熱帯雨林を殺すのを止めろ」と書いたバナーを掲げるためだった。それはブラジルの熱帯雨林を代弁するとても効果的な草の根キャンペーンとなった。

 

電子書籍s編集者記:今日は20年におよぶパタゴニアとビッグアップルの関係を記念する本『Living & Breathing: 20 Years of Patagonia in New York City(暮らし、息づく:ニューヨーク市のパタゴニアの20年)』からの抜粋をお届けします。パタゴニアのニューヨークの4店舗で印刷本を入手するか、またはデジタル版をダウンロードしてください。

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修理は急進的な行為

by ローズ・マーカリオ、パタゴニア CEO

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このホリデー・シーズン、私は地球という惑星のために少し早い新年の抱負を掲げます:一致団結して急進的な環境保護主義者になりましょう。

これは大掛かりなことに聞こえるかもしれませんが、そうではありません。必要なのはソーイグキットと修理マニュアルだけです。

個々の消費者として惑星のために私たちができる最善の行動は、モノを長持ちさせることです。適切な手入れと修理によって私たちの製品の寿命を伸ばすという単純な行為は、長期間にわたってモノを買う必要性を減らし、二酸化炭素の排出と廃棄物および製品を作るための水の使用量を削減します。

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愛すべきクライミングバカ、今井健司

by 横山勝丘 (パタゴニア・クライミング・アンバサダー)

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ネパールヒマラヤ、チャムランという山の北壁に魅せられた今井健司は、その壁の基部にいくつかの痕跡を残したまま、姿を消した。ヒマラヤの壁のソロ。それが夢だったという。いつもワイワイと楽しく登っている姿からは、まさかそんな夢を抱いていたなんて、想像さえできなかった。ぼくの知らないケンシがまだまだたくさんいたのだと、思い知らされた。

【 写真:横山勝丘 】

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アルパイン・クライミング・アンバサダー 谷口けい

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私たちは今日またひとつ、悲しいお知らせをしなければなりません。 

パタゴニアのアルパイン・クライミング・アンバサダーである谷口けいさんが北海道大雪山系の黒岳北稜で遭難、12月22日に亡くなられました。

谷口さんがパタゴニアのアンバサダーとなったのは2013年のこと。記憶に残る数々の冒険、未知への可能性のクライミング、自身のやりたいことをとことん追求する姿勢、そしてあの笑顔で、私たちに多くの勇気と力を与えてくれる、かけがえのない存在でした。私たちは今回のことが残念でなりません。

 谷口さんのご家族、ご友人、そして谷口さんを思うすべての方々に心よりお悔やみを申し上げます。

 

フリー・ザ・スネーク船団アクション!

 

去る2015年10月3日土曜日、釣り人、アメリカ先住民、農夫、シャチ愛護家、ビジネスオーナー、サーモン提唱者、カヤッカー、環境保護家など300人以上が、ワシントン州南東部にあるスネーク・リバー下流のローワー・グラネット・ダム付近に集いました。多岐に渡る人たちからなるこのグループは「フリー・ザ・スネーク船団」を形成しました。彼らはスネーク下流の4基の役立たずのダムの撤去を呼びかける世界中の何千人から成る運動を代表する人たちです。オバマ大統領/政権、議会とカギとなる州および連邦機関にこれらの有害なダムの撤去を求めて、13万人以上の人びとが嘆願書とハガキに署名しました。

カヤックや他の船で集まったこの思いもよらない行動家のグループは、スネーク・リバーの現状が受け入れられないものであること、そしてそれが毎年悪化していることに同意しています。今年の夏、絶滅の危機にある何千ものサーモンが水温の上がった川と貯水池で死に、オルカはその好物の餌であるスネーク・リバーのキング・サーモンがダムによって死滅することで栄養不足になり、そして過去30年間、おもに孵化場やその他の失敗した試みに政府が費やした90億ドルは、野生の絶滅危惧魚の遡上を回復していません。

写真上:「フリー・ザ・スネーク船団」。制作会社:ムーンハウス、ディレクター:ベン・ムーン、映画撮影/編集:ペイジ・スティーブンソン、空中撮影:ホイットニー・ハセット、音楽:ピーター・M・ムリーの「エクスプロージョン・イン・ザ・スカイ」

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クリーネストライン

アウトドアウェアを製造/販売するパタゴニアの社員、友人そしてお客様のためのブログです。パタゴニアについては patagonia.com/japan をご覧ください。

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