四度目の大平山

by 狩野恭一 (パタゴニア・スキー・アンバサダー)

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これで四度目の大平山の旅がはじまった。何度目かの長く暗いトンネル歩きも、はじめて持ち込んだブレオのスケートボードのおかげで、通過するのがいまから楽しみで仕方がない。だが今回はベースを設けてじっくりと向き合う計画なので、その分快適性を追求しすぎた大量の荷物運びに苦労している。メンバーは、ここ4年ほど一緒に行動しているパタゴニア日本支社勤務でスプリットボーダーの島田和彦利尻戸隠と厳しい山行に同行してきたアフロスポーツ所属カメラマンの松尾憲二郎、一緒に北海道バックカントリーガイズでガイドとして働いているスキーヤーの塩崎裕一、昨年の戸隠にも参加したスキーヤーの中島力と僕の5人。まだ山は見えてはこないが、天気も良くなる方に向かっているみたいだ。そして結果からいうと今回、僕は十分満足できる良いラインを残すことができた。

【 ダイレクトに尾根を目指して稜線上の岩に取り付く島田と狩野。島田がリードに変わった直後の、3日間で最高の天気のもとでのこの核心部の登りは、左に日本 海、南に太平洋を望むという北海道南西部ならではのパートだった。滑るラインの全貌も見え、気持ちは否応なしに高揚する。全写真:松尾憲二郎/アフロスポーツ 】

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素晴らしき友:トロピキャットの「アメリア」

by スウェル号船長 リズ・クラーク

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これまでの9年のあいだ「スウェル号」に乗船したペットは何匹かいた。そのほとんどは勝手に乗り込んできた連中だった。蓄えのバナナによく現れるヤモリなどは気にしない。ヤモリはいつも隠れているので、滅多に見ることはないし無害のうえ、夜になると可愛く咳をしたりする。数々のアリをもてなしたこともあった。微毛で覆われた小さな黒アリから巨大で艶やかな赤アリまでいろいろ。ときどき飛びまわるスズメバチの集団がスピンネーカー・ポールに棲むことがあるが、互いに干渉しないようにしている。かつて、どこからとなくコオロギが現れたこともあった。その姿を見たわけではないが、夕刻に奏でるセレナーデに酔いしれた。いつかその音色は聞こえなくなったけれど。カリフォルニアへ旅に出ていたあいだには、スウェル号を停めていたボートヤードからネズミの新婚カップルが乗り込み、麗しい4匹の赤ちゃんネズミを出産して育てあげた。ネズミたちは船首から船尾にいたるまでスウェル号船内を探索し、嚙みつぶし、糞を散らかした。ただこのネズミたちの物語はかなり残酷な結末で終わることになった……私と一緒にキリバスまで航海した多産なゴキブリ家族も同じだ。

写真上:「スウェル号」に戻る途中のリズ・クラークと猫のアメリア(船には水嫌いのアメリアが誤って海に落ちたとき登れるよう、猫用はしごを装備)。写真:Jody MacDonald

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第6回ウインタークライマーズミーティング:三重県・御在所岳で開催 

by 花谷泰広(パタゴニア・クライミング・アンバサダー) & 日置太郎(パタゴニア名古屋

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今シーズンで第6回目となったWinter Climber’s Meeting(WCM)。今年は公益社団法人日本山岳協会株式会社ゴールドウィン、パタゴニア日本支社の協賛で、三重県・御在所岳で開催されました。以下、パタゴニアから参加したアルパインクライミング・アンバサダーの花谷泰広と、名古屋ストアの日置太郎(以下、日置)に話を聞きました。

花谷:WCMがはじまったのは、2007年に馬目弘仁と横山勝丘が、英国登山評議会(BMC)がスコットランドで開催しているInternational Winter Climbing Meetに参加をして刺激を受け、日本でもクライマーの交流の場を作ろう!と呼びかけたことによる。これまで明神で2回、米子不動で1回、足尾で2回開催され、御在所岳での開催は今回がはじめてである。僕としては、はじめて顔を合わせるクライマーとのクライミングや夜のセッション(つまりは飲んで、語って)が楽しくて、都合がつくかぎり参加させてもらっている。また御在所で冬のクライミングを楽しんだことがないので、これを機会にこの地の概念や山の様子を知っておきたかった。

【 ベースとなった藤内小屋にて集合写真。 全写真:ウィンタークライマーズミーティング提供 】

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知床の断崖に懸かるであろう氷瀑を探して

by 谷口けい(パタゴニア・クライミング・アンバサダー)

ソリを引いて入山

昨夏、新谷暁生さんと知床シーカヤック一周の旅をさせていただいたときのこと、その海の旅は羅臼側の相泊からはじまった。台風をやり過ごして知床岬を順調に越え、もの凄い風が吹くと脅されていた緊張のルシャを越えると、宇登呂までは断崖つづきで上陸できる場所はない。しかしその断崖には、大小いくつもの滝が海へと落ちていた。難所も越え、余裕の出てきた私の頭に浮かんだのは、「この断崖の滝は、冬になったらぜんぶ凍って氷瀑となるのだろうか」という素敵な幻想。「新谷さん、この滝、冬になったら全部凍るんでしょうか?」「お~、誰も見たことねえからわからねえけど、凍るんじゃねえかぁ」

その瞬間から、ワクワクの冒険計画が私のなかで育ちはじめた。見たことのない流氷への憧れ、誰も見たことのない断崖の氷瀑、流氷を歩いて知床のオホーツク海側を探検して見つけた氷を登りまくる……。なんて素敵な冒険行だろう。しかし身近な友人から、かつて流氷を歩いて知床一周をしようとして流され、はるか沖からレスキューされた話を聞き、流氷アプローチはあえなく断念。こうなったら、知床の温泉にベースキャンプ(BC)を構え、毎日偵察と登攀をしてはBCに戻り、温泉に浸かって宴会、という次なる素敵な妄想計画が形作られた。はじめの温泉計画はカムイワッカを標的にしたのだけれど、雪の多いこのシーズンの知床。カムイワッカまでたどり着けるかどうかが問題だったし、川となって流れているカムイワッカの湯温は高くない。それよりは岩尾別温泉の露天風呂を目指して我がBCを設営しようと計画変更。

[ ソリを引いて入山 写真:谷口 けい ]

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私たちのDWR加工の問題点

DWR

パタゴニアは、他の高品質アウトドア・アウターウェア・メーカー同様、長年にわたり耐久性撥水(DWR)加工を採用してきました。これはレインウェアの表面についた水分を水滴にして分散させる化学構造(下記参照)で、表面の飽和状態を防ぐために防水性ジャケットにも不可欠な加工です。表面を濡れたまま放置すると、実際に水分が浸透していなくてもべったりと湿った肌触りになってしまいます。パタゴニアが基準として採用してきた長鎖(C-8)フッ化炭素ベースのDWR加工は、非常に効率が高く、並外れた耐久性を誇ります。しかし残念ながら、その副生成物は有毒で難分解性のため、環境中から消滅しません。したがって完璧な性能にも関わらず、容認できないものです。世界各国の政府は化学薬品会社にC8 DWRの製造中止を要請し、高品質アウトドア・アウターウェア・メーカーはDWRに匹敵する性能を備えた代案を模索しています。

この10年間、パタゴニアはフッ化炭素不含有のあらゆる代案を入念に調査、そしてテストしてきました。ワックスやシリコンをはじめとする数々の撥水性加工は、生地の表面張力を下げ、水分を水滴として表面にとどめて飽和を防ぎますが、泥や油で汚れやすく、有効性が急速に失われてウェアの効果的な寿命が縮められてしまいます。

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リサイクル・ポリエステルをこえて

by リック・リッジウェイ

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私たちは誰もが衣類を着つづけ、買いつづけるが、長持ちする高品質のものを買い、修理が必要になったら直し、使わなくなったら譲るか売るかし、本当に駄目になったものはリサイクルをすることにより、フットプリントを削減することができる。

2010年パタゴニアはリデュース(削減)、リペア(修理)、リユース(再利用)、リサイクル(再生)の4つの「R」を中心に構築された「コモンスレッズ・パートナーシップ」を発足した。そのアイデアは、会社とお客様が共同でパタゴニア製品のライフサクルに責任を追うというものだった。私たちはそれを「コモンスレッズ誓約」と名付けた。

その時点ですでに私たちはリサイクルに関してはかなり前進していた。1993年からペットボトル製のフリースとアンダーウェアを提供していたし、ポリエステル製品のリサイクル・プログラムも5年ほど順調にやって来ていた。お客様はリサイクルのためにパタゴニアの直営店にウェアを持参してくださり、その量は27トンにものぼった。

しかし、最初の「R」が最大の課題だった。パタゴニア側からは長持ちする製品を、そして可能であれば多用途に使えるものを作ることによってそのフットプリントを削減することを誓約した。ではお客様側からは?パートナーシップが議論を招いたのはこの点だった。なぜなら私たちは必要なものだけを買うようにお客様にお願いしたからだ。

【 写真:Tim Davis 】

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Go Renewable 2015:自然エネルギーでまちづくり。全国に広がる「ご当地電力」

高橋真樹(ノンフィクションライター)

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ぼくは、全国各地に広がっている自然エネルギーを通じたまちづくり、いわゆる「ご当地電力」と呼ばれる活動を精力的に取材してきました今年、その取材をまとめた新刊『ご当地電力はじめました!』(岩波ジュニア新書)を出版したばかりです。その経験から、いま各地で起きている変化についてお伝えします。

独占されたエネルギーを取り戻す

これまで電気や熱といったエネルギーについては、国や電力会社がやるべきことで、一般の人はせいぜい日々の節電などごく狭い範囲のこと以外にはやれることはないとされてきました。でも、3・11の原発事故を受けて、「このままエネルギーを誰かに依存していてはいけない、自分たちでも積極的にエネルギーに関わらないと!」と感じた人たちが行動を始めています。

人々は地域のコミュニティで、仲間たちと一緒に小さな電力会社を設立します。例えば、太陽光発電や小水力発電などの自然エネルギー設備を設置して、売電をはじめたのです。この動きの意義は、単に地域で発電するようになったということではありません。

エネルギーが自分たちとは関係のない、遠い存在になってしまったために、多くの人は日本全国の海岸に原発ができても無関心になっていたという要素もあるでしょう。でも、つい100年ほど前までは山間部で住民自らが出資をして、水力発電機を設置、地域で発電するということが行われていました。自分たちで、自分たちのエネルギーをあたり前のように手がけていたのです。「ご当地電力」の動きは、今では独占されてしまったエネルギーを、もっと一人ひとりの手に取り戻そうという活動なのです。

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Go Renewable 2015:ウランや化石燃料では資源小国、自然エネルギーでは資源豊かな国、日本

by 大林みか (公益財団法人 自然エネルギー財団 事務局長)

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東日本大震災・東京電力福島第一原子力発電所の事故から四年経っても、日本のエネルギー政策は混迷したままだ。自然エネルギー拡大を阻止するような動きが始まり、将来に向けた目標値も決まらず、電力システム改革(発送電分離)の歩みも遅い。

大きな原因は、原発再稼働だけが日本のエネルギーの最重要課題であるかのように検討されていることにある。すべての原子力発電所が止まって一年半が経とうとしているのに、「(原発が復帰したら)系統が一杯になるので自然エネルギーを導入できない」、「(原発がまだ動き始めてないので)将来のエネルギー目標は定められない」、「(原発が動く確証がないので)電力会社の経営状態が厳しく、競争に入れない」などと、当たり前のように語られている。

いつ動くかわからない原子力発電所の運転開始を待ってエネルギー政策の改革を遅らせるのは、日本にとって大きな経済的な損失ともなっている。というのも世界では、格安の自然エネルギーの拡大が今までにも増して加速しているからだ。

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Go Renewable 2015 : パタゴニア従業員がみずから行動する理由

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2011年の震災から4年が経った2015年、パタゴニアは昨年同様に「Patagonia Says No Nukes Go Renewable」のメッセージを掲げ、原発から再生可能エネルギーへの転換が必要であることを訴えます。

「私たちは私たちが愛し、遊び、楽しむ場とする惑星と野生の場所の破壊を早める現状や体制を拒否する」このことを明らかにすることは、いまの私たちの世代の仕事です。私たちの子供や孫を顧みず、自然が破壊されるのを傍観していることはできません。

だから私たちは圧力をかけつづけなければなりません。それは路上や街頭で、市庁舎や首都で声を上げ、存在を知らせることを意味します。そして最も大切なことは、選挙で私たちが危機に直面していることを理解する候補者に投票することです。それは地元のサーフブレイク、川、草原、山を守り、持続可能な農業を支援することになります。私たちは個人としての責任を取らなければなりません。そしてそれは消費を控え、よりシンプルで吟味された生活を送ることを意味します。

3月7日の土曜日、京都で開催される「バイバイ原発3・7きょうと」は日本のエネルギー政策の未来のために大きな声明を出すチャンスです。パタゴニアは従業員に参加する選択肢を与えるため、パタゴニア京都を午後5時まで閉店することに決めました。以下は京都ストアマネージャー、瀬戸勝弘からのメッセージです。

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2度目のダークセンダービー:いまやっていることと、これからやりたいこと

by 辰己 博実(パタゴニア・チェアスノーボード・アンバサダー)

バチュラー

昨年12月、前年に引き続き2度目の参加となるダークセンダービーに出場するためにアメリカ、オレゴン州マウント・バチェラーを訪れた。滑走日数が一番多いホームゲレンデのニセコの次に、二番目に多いのがバチェラーで、第二のホームだ。外に出ることによって得ることは多く、言葉の壁を感じることも少なくはないが、それでもこの町で過ごす数日は僕にとって特別な時間となっている。結果から言うと、今年も優勝出来ず2位だったがまた来年の課題にしようと思う。

ここ数年、アメリカのアンバサダーたちがよく日本に滑りに来ているから顔を合わす機会も多い。アレックス・ヨーダーはGENTEMSTICKのチームライダーだし、みなGENTEMSTICKに興味を持っている。ダービーにはジェリー・ロペスやペップ・ファスなどのスノーボード以外のアンバサダーも来ていて、ほかにも多くのローカルたちと同じ土俵で滑れるのがこの大会の醍醐味だ。今回は昨年動いてなかったトップリフトが動いていて、ヨーダーとジェリーさんの案内で一緒に滑ることができた。雪も少し降って快晴、一緒にリフトに乗ったローカルのおじさんが「今日は今シーズンで最高の日だ」って言っていたし、景色も素晴らしい。バチェラーは大きな山でリフト一本分の滑走距離が長く、地形も豊富で最高のロケーション。スノーアンバサダーたちが一同に会し、一緒に滑る機会はここでしかないし、当然ながら皆うまくて滑りながら自然と笑みがこぼれる。昨年来たことを覚えていてくれた人たちも多く、去年よりも誰かしら近くにいてワイワイ楽しくやれた。また今年新たに知り合った人たちも多く、皆が興味を持って話しかけてくれる。英語はあまりできないが、コミュニケーションは取れるし、みんなが「スゲーな」って言ってくれるのは単純にうれしい。日本よりもダイレクトな反応はとても刺激になるし、もっとやってやろうとモチベーションも上がる。

[ 2度目のマウント・バチェラー 写真:辰己 博実 ]

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クリーネストライン

アウトドアウェアを製造/販売するパタゴニアの社員、友人そしてお客様のためのブログです。パタゴニアについては patagonia.com/japan をご覧ください。

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