輝くアンバサダーたちと共有したシャモニの時空

by 谷口 けい (パタゴニア・アルパインクライミング・アンバサダー)

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先日クリーネストラインでご報告した、3月19~20日にシャモニで行われたパタゴニア・アルパイン・プレスイベントには、7名のアルパインクライミング・アンバサダーが参加していた。シャモニ在住イギリス人のマットとジョン、同じくシャモニ在住のカナダ人のマックスとアメリカ人ゾーイのカップル、ご近所のスロベニアからマルコ、アメリカ、コロラド州からスティーブ、そして日本からは私。

マックスとゾーイとマルコとはアラスカやスコットランド、シャモニなどで何度か一緒になったことがあるが、マットとジョンは初対面。彼らから受けた印象はとても強い。無条件に人を惹きつける輝きをもっているとでも言おうか、話しているとお互い笑顔でいずにはいられなくなる。人と山と自然が本当に好きなんだって思うし、冒険的クライミングと人生を楽しんでいる部類の人たちだと確信する。

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いまこの瞬間を最大限に抱くこと - シャモニで出会った登攀と人と偉大なる自然の芸術

by 谷口 けい (パタゴニア・アルパインクライミング・アンバサダー)

モンブラン・デュ・タキュール東面

疾風のごとく過ぎ去ったシャモニでの日々。持ち時間は5日、そのうち2日間はパタゴニア・プレス・イベント。残された3日間でどこまでこのすばらしい花崗岩と雪と氷のフィールドを遊びつくせるか。スロベニアのパタゴニア・アルパインクライミング・アンバサダー、マルコ・プレゼリと語ったことは、「限られた時間」と「明確な目的」が充実した結果をもたらすということ。さらにマルコは「選択肢がいくつもあったら、あれもこれもと色目が出て、結局どれもモノにならない」と話していた。まさにその通り、我々は3日間のフリーと2日間のイベントを遊びつくした。

日本を発ってシャモニに着いたのは夜中。友人宅でウェルカム・ディナーを受けてベッドに倒れ込む。時差ボケなどと言っている場合ではなく、朝焼けのモンブランを拝む時間に飛び起き、街で買い出しのあとエギーユ・ド・ミディへ。フランスでの山の楽しみ方は、山小屋での時間(2時間かける食事を通して会話を楽しみ情報交換すること)にあるというフランスの友人の言にしたがい、ペラペラの財布をはたいて優雅に山小屋〈Refuge des Cosmiques〉にチェックイン。ドイツから来ていたスキー縦走のおじさん2人組に彼らの冒険行を聞いたり、オーストリアの若者クライマー2人組とは明日はどこへ登攀しに行くか話したり、スイスとスウェーデンの2人組スキー縦走家には想像したこともないようなスキーツアーの話を聞いたりする。それからイケイケな感じの若いガイド君にモンブラン・デュ・タキュール東壁のルートのコンディションや雪の状態を聞くと、壁の状態は良いけど、頂上稜線は雪崩れる可能性が高いから行くなと言われた。もっと年配の素敵な感じのガイド氏に意見を賜ると、やっぱり雪崩の危険があるからタキュールの稜線はヤバいということだった。

[ モンブラン・デュ・タキュール東面 全写真:谷口 けい ]

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『Tributaries(トリビュタリーズ)』:対照と共通についての国際フライフィッシング映画

by RC・コーン

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いま私は、撮影後のスクリーンを凝視する過酷な時間の真っただ中にいる。それは髪をかきむしり、目が腫れる経験だ。今日もまた14時間労働で、新鮮な空気が必要になる。私は満天の星の下を長い散歩に出かけながら、バハマ、アイスランド、そしてパタゴニアの夜空を思い浮かべる。

前作『Breathe(ブリーズ)』のあとにやりたかったのは、フライフィッシングの含蓄するものを広義に探求することだった。このスポーツは世界にどのように溶け込んでいるのか。このコミュニティは世界中でどのようなものなのだろうか。世界規模での相違点と共通点は何なのだろうか。個人的な旅ではなく、世界中の釣り場となる水とそこにある文化を探求したかった。

私を魅了する場所や魚について考えて、そして飛行機を予約した。所有物の90%を倉庫に入れ、携帯電話のサービスをキャンセルし、トラックのバッテリーケーブルを外して、別れのビールを飲み干した。

 [写真上:ボーンフィッシュを追うプレスコット・スミス。バハマのアンドロス島マスティック・ポイントの干潟にて。全写真:RC・コーン提供]

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オーストラリアで手に入れたもの

by 進士剛光(パタゴニア・サーフィン・アンバサダー)

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今まで感じたことのない時間を味わうこととなったオーストラリアだった。この歳になって1か月半も日本をはなれて生活するなんて、贅沢な時間の使い方だと思う。僕も「休みは週一」という生活を長年していたから、そのことは心から感じる。絶対にこの大切な時間を無駄にしないように、必ず何かを手に入れるために行こうと心に決めていた。そして計画した。

僕がオーストラリアに通っていたのは10代のころだ。そのほとんどはコンテストのためで、宿泊先と海の往復を繰りかえすのみだった。そのときはもちろんそれで十分だった。だが大人になると違ったものにも興味が沸きはじめる。今回は色々な場所に足を運び、見て、聞いた。オーストラリアの個人的な印象も、10代のころはいい波があり、少し田舎ののんびりした空気が流れていて、ゆったりとした時間を過ごすことができるというようなものだった。だが10数年前に比べると、オーストラリアはかなり変わっていた。車の数も建物の数も高さも格段に増え、人の数もとにかく多くなっていた。もちろん海のなかも大混雑。ポイントは多いので、サーフィンするには場所を選ばなければ、そして贅沢を言わなければ、空いている場所でもできるが、やはり有名な場所ではポイントパニックになっていた。

【有名なサーフポイントでのサーフィン。毎日のようにいい波、そしてサイズのある波で練習ができる 全写真:進士剛光】

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九頭龍山に描いたライン

by 松尾憲二郎

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まずは島田が最後の下見へと張り出た尾根に向かった。そのときに舞い上がった雪煙でコンディションの良さを確認できた。尾根の先端にあるマッシュラインを島田は横から観察している。だがその後ろ姿からは、あまりいい感触はつかめていないように見てとれた。狩野は島田の横を進み、自らのドロップポイントに向かって、さらに奥へとスキーで移動する。2人のどちらかがスタートを切ると決めた時点で、僕は予定のカメラポジションへ向かいたかった。

【全写真:松尾憲二郎

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私たちがNo Nukes Go Renewableと言う理由:豊かで創造的な地域生活を生む

6a0134876739c6970c01a51186efd1970c-250wiby 飯田哲也 (認定NPO法人 環境エネルギー政策研究所(ISEP) 所長)

いま「ご当地電力」が熱い

福島の会津電力、小田原のほうとくエネルギーをはじめ、北海道から沖縄まで、地名を冠したご当地電力が、とりわけ311後に続々と立ち上がっている。まず「ご当地電力」とは何か、ここで定義しておくと、国際的にほぼ共通な「コミュニティパワー」と同じ定義をベースに、私が拡張した定義によれば、以下の3つの原則から成っている。

・ 第一原則:地域コミュニティによるオーナーシップ

・ 第二原則:地域コミュニティの参加と意思決定

・ 第三原則:地域コミュニティが便益を享受すること 

第一原則の「オーナーシップ」とは、狭義には資本金の過半数以上をもつことによる「当該地域エネルギー事業の所有」となる。けれども、、広義には当該地域エネルギー事業に関して地域コミュニティが当事者意識(「我がこと」と感じる意識)をもつことも含まれている。第三原則の「便益」とは、経済的な便益のみならず、社会的な便益(たとえば誇り、共通の良い思い出など)にも拡張して捉えるべきものである。

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すべての山はいまだ見ぬ山に通ず

by 狩野恭一(パタゴニア・スキー・アンバサダー)

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ここは国道393号の脇にある、小さな山の斜面。2月の北海道にしてはめずらしく4日間も晴天がつづき、最高気温もプラス7℃の予報がでていた。先シーズン利尻を登った島田(パタゴニア日本支社)、松尾(カメラマン)と僕の3人で新しい山への挑戦を考えていたが、日程とパウダーのタイミングがずれて、行き場所に悩まされていた。プラス気温に晴れが4日間もつづくと、いい雪は北海道でも北向きの限られた斜面にしかなくなり、僕らの望む「むずかしいけど楽しい登りを含んでぎりぎり滑れる」斜面は少ない。そんな要望を満たしてくれるところはないかと地図を見ながら考えているとき、遠くに行かなくてもすぐそばにあるじゃないかと思いついたのが、僕が働くBCガイズのロッジ裏山だった。この裏山は短いながらもクーロアールあり、クリフありピローありで、とてもわくわくさせてくれる。そこでねらうはいちばん斜度のある光の当たらない斜面。どうせならと欲張り、手前のクーロアールを登って目的の斜面を滑り、そしてクリフバンドのあいだを登ってから最初のクーロアールを滑って戻る。日帰り日程ということで利尻メンバーだった塩崎(スキーパトロール)も新たに加わり、計画を立て直した。

【全写真:松尾憲二郎】

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私たちがNo Nukes Go Renewableと言う理由:地域分散のネットワークが日本の経済を盛り上げる

6a0134876739c6970c01a51186efd1970c-250wiby 金子勝(経済学者/慶應義塾大学経済学部教授)  

原発は火力より高い

政府は、福島第一原子力発電所事故の原因も究明されず、事故収拾もままならない状態にもかかわらず、原発を「重要なベースロード電源」とする新エネルギー基本計画を出しました。「ベースロード電源」には「発電(運転)コストが低廉」という意味が含まれていますが、本当に原発は安いのでしょうか。

政府や原発推進派は現在の燃料費が3兆円ほど増加していることを原発再稼働の理由としてあげています。しかし、これはシミュレーションに基づいて作った数字で、福島原発事故後に進んだ節電分が入っていません。また東京電力の再建計画において、年間6500億円の燃料費の節約が出されているように、割高なガスを購入しています。

一方原発への新規制基準に基づく追加安全投資は、安全審査申請中の17基だけで約1.6~1.7兆円に及んでいます。さらに、賠償・除染費用が10兆円もあります。燃料費の増加とは比べものにならないくらい大きいのです。政府も原発依存を出来るだけ下げるとしていますが、原発は40年で減価償却し、廃炉の引当金を積むことになっているので、もし途中で廃炉にすると、原子力発電施設と核燃料の残存簿価、廃炉引当金の不足が生じ、特別損失として計上しなければなりません。現時点で原発50基をすべて廃炉にすると、少なくとも4.4兆円かかり、電力会社の経営が成り立たなくなります。だから、電力会社は安全軽視で原発を再稼働させたくなるのです。

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『シンプル・フライフィッシング』訳者あとがき

by 東知憲

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カリフォルニアのハンボルト郡とメンドシーノ郡の海岸部はロストコースト(失われた海岸)と呼ばれる。100年ちかく前、あまりの交通の便の悪さによって人がほとんど住まなくなったからだ。カリフォルニアを縦断して人を運ぶハイウェイ1号線はイール川にぶつかって突然終わる。海岸線に出ようと思うなら、101号から別れるアップダウンのダートロードを強引にゆくしかない。打ち寄せる波は大きく、人はいない。

もう中年の域にきっちりと入ったフライフィッシャーの私が、決して会うことのできなかった師匠を3人選ぶとするなら、ホテリエのシャルル・リッツ、キャスティング・チャンプだったジョン・タランティーノ、そして伝説の釣り人ビル・シャッドとなる。

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私たちがNo Nukes Go Renewableと言う理由:いまを見つめ、未来を選ぶ

@110x110by 武藤類子(福島県民)

「・・・私たちは、なにげなく差し込むコンセントのむこう側の世界を、想像しなければなりません。便利さや発展が、差別と犠牲の上に成り立っている事に思いをはせなければなりません。原発はその向こうにあるのです。人類は、地球に生きるただ一種類の生き物にすぎません。自らの種族の未来を奪う生き物がほかにいるでしょうか。・・・」

―「さようなら原発5万人集会」での武藤類子氏スピーチより

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いまを見つめる

東京電力福島第一原子力発電所事故から三年。しかし事故の収束は遠く、放射性物質は海へ空へ、大量に漏れ続けています。そんな中で、国や自治体は除染と帰還を進めており、避難区域の再編が行われました。

帰還困難区域、5年以上は帰れませんというところに指定された飯館村のある地区では、2013年夏、立ち入り禁止のゲート付近の地面が毎時103マイクロシーベルトと線量の高い状態でした。その隣り浪江町の、5年以内には除染をして帰りましょうという居住制限のある家は、地震後、家を片づけられないうちに避難を強いられました。そのままずっと帰れずに片づけがされることのなく、ベッドにはねずみのおしっこのしみがあり、においが充満しています。他の家でも豚がソファーで子どもを産んでいたり、牛が入った跡があったり、果たして5年経って帰れるのか。原発より20から30キロメートルの間のところにある川内村は、2012年いち早く「帰村宣言」をして、国の直轄の除染が入り、全員帰りましょうと宣言をしました。けれども地域を除染した後の放射性廃棄物がつめこまれた袋が何段にも積まれている景色が広がります。

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クリーネストライン

アウトドアウェアを製造/販売するパタゴニアの社員、友人そしてお客様のためのブログです。パタゴニアについては patagonia.com/japan をご覧ください。

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